八月が爆ぜて夏が広がり
テトラポットの向こう側で
海と空が入り混じるのを
優柔不断がこうして感じている
グレープフルーツの清々しい香り
水飴を練るように濡れていく心
睫毛を伏せて呼吸を ....
ひとを責めずに全力を尽くそう
ひとを裁かずに全力を尽くそう
そしてなにものかにお任せてしてしまおう
なにものかはたたずんでいる
世界にみちて存在をしている
責めず裁かず全力を尽くして ....
あなたが無造作に
がたりと置いたので 本を
びくりとした私は
月を落とす
空に掲げようと
抱きしめていたのに
地に落ちたからには
もう
生まれる気配はない
あなたが口ずさんで ....
ふたり歩む小径にも
ふたりくぐるアーチにも
薔薇たちは咲き誇り 香りはあふれ
胸の想いも 互いの声音や眼差しも
薔薇の魔法を帯びて かなしいほど甘やかに染まり
この園がいっそ迷宮と化せばいい ....
夢に触れて憧れを育みながら
しなやかで たおやかに
言葉が歌になるまで
幸せな時間を過ごせること
渇いた希望にもどかしい争い
求めるばかりの全てが
繰り返しながら問いかけて
切なさ溢 ....
薄青色の空に
白い飛行機が飛んでいた
空にはめ込まれたように
それは刻まれていた
息苦しいほどに
きっちりはめ込まれたので
こほり とせきをしたら
点線が入って欠けた
白い飛行 ....
「書斎に於ける詩人」
それゆえに・・・・・
儂(わし)は雪の振る日の午下(ひるさが)り
水晶のやうに明るい牕(まど)ぎはの長椅子でこれを誦(よ)む
嗚呼(ああ) 書籍よ
爾 ....
表現主義の映画のような
歪んだ空間に入り込む
心身共に平衡感覚を失い
パタリと事も無げに倒れる
すくっと立ち上がりBreedを歌う
マグカップのスタンディング・オベーション
マグカップ ....
水たまりを跨いだら、一国の王になっていた。
捨て猫の声が聞こえてくる。何故、捨てられた猫であるとわかるかというと、猫の言葉がわかるわけではなく、捨てられた猫の啼き声は、激しく依頼してくるからであ ....
会社からの帰り道だった
ヨシミは歩道橋から群青を見つめていた
自殺する気などないのに死ぬならいずれこんな場所だと思った
じぶんのカルテ、
群青を見つめているとじぶんのカルテを見つめているようだ ....
いんざ だーくないと
背後からふくらはぎを
長い槍で突かれた
二の槍 三の槍飛んできて
背のドラゴンタトゥーの
両目を貫いていった
標本の虫みたく
アスファルトに磔になった
俺 ....
階段を降りる
チュニックのトップスに
風が吹き
ふわりと
ふくらむ
妊婦さんのようだ
もう
子をもうける
能力もないのに
なんだか
気がひける
チュニック ....
{引用=
不完全な過去 不確実な現在 無知な未来
・
カスタネットの赤と青が嫌だったから
いつも校庭のすみっこで地面に円を描いてた
繋ぎ目がゆるんで共鳴しなかったから
いつも答案用 ....
朝の交差点で
信号待ちの学生が、友達に言った。
「本当の時間割を知りたい」
昨日話した老父が、僕に言った
「人の体の内には、星の数程の
細胞が、再生を、繰り返している」
....
失礼な発言とは礼を欠いた発言で
男も女も針の言葉で傷つけていた
おまえの愛しさばかりが人生の
80%の思い出になっちまって
思い出ばかりが人生のような暮らし
いちにち24時間狂う時計みたい
....
大きな病院へ行く
今では車ですいすい行く
たくさんの科があるけど
私は間違えずに
いつもと同じ科に
しかるべき物を提出する
嗚呼待つのは嫌だ
いくら壁に素敵な絵が飾ってあっても
い ....
おまえが悪いおまえが悪いと
道往く人になじられる
いったい何が悪いのかと
自問自答してみるが
思い当たるふしがまるで無い
道往く人に何が悪いのかと問うてみても
全く聞いてもらえない
逆上 ....
看護師の知識と笑顔に救われる患者の闇に光を当てる
紙コップ片耳にあて糸電話壁にあてれば寒気する声
手作りの弁当箱に入れられた手作り色の好物並ぶ
あとがきの文字が見えればもう終る小さな ....
夜は去る
みなし児たちの
新しい夢を巡って
動かぬと明言した
その山が動く
あらんとするか
あるとするか
瀬戸際にこそ問いがある
あの雲の形は
あるときは鯨のよう
馬のよう ....
星が粗野に散らばっている
オリオンぐらいしかわからない俺は
星と星を線で結べなかった
晴れのちレインの光を集めて
天体の住む街をきょうもゆく
忘れた人生を忘れた指でなぞっ ....
緑濃き妻の花壇のアジサイは蕾ひらきて咲き出でむとす
チャイコフスキー?悲愴?響きて朝の花壇は潤いており
春風に風鈴が鳴る朝日さす椅子に坐しておもいはおおし
妻が植え吾は運びて共になす ....
兄夫婦が別居婚となった
義姉はひとりマンション住まい
兄は 母と同居
20数年前
見物人も出た
ピンクの豪邸は
人手に渡った
あぁ またやられた
兄といっても
双子の ....
古都に沈む日に対し
石壁の隙間は見事に
写し鏡の上下間違い
ピンホールカメラが
削り張り付けた人影
キャラバンのテント
広大な背後を恐れよ
砂にま ....
キュビズムの絵に描かれた
向かって右上に居る裸体の少年の
手の隙間からこぼれ落ちる種子が
発芽し庭を埋め尽くし
足の踏み場もない拒絶する自然に
対峙した私はひるむ心を尻目に
植物の中へダイ ....
神様が ドロップスの缶 シェイクして 巻き散らかした 薔薇の花園
序.
敵でもない相手に牙を向ける。惨めな徒労。みっともない愚行。敵になってくれるほど、親身な奴なんて、この世にはいないはず。みんな忙しいからね。でも勝手に、鋭く砥ぎすませばいいよ。手前の脳ミソの多く ....
世知辛い社会の中で
妬んで 憂いてたら
かすかで ほのかな
優しい温もりに 気付いたり
やるせない世界の中で
俯いて 人込を抜けられず
愛に縋り付いてみたり
季節に流されながら ....
この道を通るとぼくはいっぽんのペニスになるようだった
あなたにペニスを入れてゆくとき陥る懐かしさ
ひんやりとうるさいこの道を
肉の温もりと快楽のため息にたとえるとは
ぼくはいったいどういう淋し ....
朝の散歩に出かける
浜辺に梱包されたものが置かれている
私が梱包をほどいてしまったばかりに
宇宙の内側に居たはずの私達は
混沌とした宇宙の外側に放り出された
そこに収められていたピアノ
....
風なき日 湖底に沈む オルゴオル 目覚めたらしい やさしき波紋^^
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