高原にそよ吹く風も冷たく、歓喜に満ちた秋の午後だ。
遠くを走る小海線に乗客たちは陽炎のようで、
近くの白樺林をくっきりと現実のものとしている。
道端に咲くコスモスに子供たちの息吹を感じる。
 ....
挫けそうな心に運命が扉を叩く。
足音を忍ばせて私の部屋をうかがっている気配を感じる。
私はしばしものを書く手を休め煙草に火をつける。
天井に立ち昇る煙の中にポーの大鴉が浮かび上がる。

 ....
嗚呼朱く赤く紅く
秋に明け暮れ飽くことなし
移ろうものこそ美しい
去りゆくからこそ愛おしい
不変の美は仮庵から
渡り鳥のように飛び去るのだ


文字の檻に閉じ込めるなら
ソレハヒトツ ....
             131008

満員のスタジアムからはみ出した歓声が
ここまで聞こえてくる
敗者の立場がないと思うのだけど
彼処では誰もそんなことを気 ....
長い間育った母の胎内から
外にでいたあなたの前には
無限の白紙が広がり
あなたの人生が始まりました

あなたを記した最初の文字は
  二〇一三年 誕生  男 
  血液型 A型 RH+
 ....
寝て起きたら日常 私が子どもだった頃
十二色のクレヨンの中に「肌色」があった
その色を使って絵を描いていた

黒いクレヨンで輪郭を描いて
肌色で顔の中を塗りつぶす
手も足も全部肌色を塗った
何も考えずに無 ....
まっすぐに
引けたためしがない
まっすぐに似た線なら書けるのに
フリーハンドで書く
まっすぐは
ほんの少し曲がっている
骨が湾曲している
私のなかに
直線がない
失ったわけではなく
 ....
    紙を折り色とりどりに祈ります三角のかどはぴんとして


    一膳の箸のすがたも美しく背筋を伸ばす五人のしもべ


    夜更けすぎ昨日を連れて散歩する買って帰ろうコンビニ ....
 
雨にとけて流され残ったのは、ちぃっちゃい欠片

ウチがウチであるための、ちぃっちゃいちぃっちゃいウチ

たぶん、もう傘はいらん と思う



 
さよならの時期を知らない振りをして私あなたを殺していたのね

もう二度と愛に傷付かないように私あなたと心中します

気移りをしたなら行って構わない影だけ私に残してください

味噌汁 ....
成層圏の牧場に
幾千匹もの
群れなす羊

どこまでも透明な
追憶の彼方

舞い降りる
黄色い{ルビ木=こ}の葉

堆積する秋

深海の底に届いた
月光のように
青ざめた記憶 ....
前髪 ギザギザにしました
くりっとした眼の美容師の女の子が言う
ん? という表情の私に
真直ぐだとおかしいので とニコニコ
つられて私も ニッ コリン
おばちゃんは知らなかった
だいたい真 ....
ひとの一生懸命に対して

意味不明のことをしたら

されたほうは傷つくだけ


ひとの一生懸命をただじっと

深く冷たく温かく

見つめておればよかったのだ


ひとの一生 ....
泣いて喰うタコ焼きにも蛸 両の手の平に抱かれる宇宙
手からはそれを引きつけ、また離す力が充てられるから
楕円形をした宇宙は落ちることなく、ふわふわと手の間をおよぐ

頭(こうべ)から髪が抜け落ちるように
 ....
夫は現業職であった
年を追うごとに疲労を取るための時間が必要となった
上の娘はキャリアであった
特別休暇はあるにはあったが行使するのは困難であった
下の娘は学生であった
結局就職は諦めたのだ ....
描くことができない白

書くことができない白

語ることができない白

ただ観ることしか許されない白

白と呼ばれることすら拒絶する

月の光の指先

月の光の吐息

 ....
死と生の間で
行ったり来たり
そして
時々 
つりあってみたりする
遊具

傾いた板の上を
滑り落ちてくる
日常という名の欠片
秋のうすい陽をまとい
氷砂糖のようにきらめく
し ....
供養の拝礼を終える
そっと汗を手のひらで拭うと
和尚は顔の皺を刺青で埋めた
浄門の外房には紅白の熨斗が貼られ
それを見た人々の信心は以前よりも増した
(ああ そうじゃよ
冬 ....
雨にぬれたらあたたまって欲しい

冷えると風邪になりやすいから

ショウガを買っておうちで擦って

あつい紅茶に入れて欲しい

ハチミツなんかも入れかき混ぜて

あせらずねむらず自 ....
歳下が熟女と呼ばれている 「耳にもお経書いた?」
『書いたよ。次は目玉ね。』
「目玉?!」
『目玉にも書かないと。』
「痛い痛い痛い」
沈まぬ寺の鐘が鳴ると
ごんべんに響き渡り
詩というものが芽を出した

救済であったり
現実からの逃亡であったり
魂のゆくえに思いを馳せたり
本質であったり
虚像であったり

見ず知 ....
沈んでいく
高層ビルの乱杭歯を
掠めて

噛み砕かれる
西の稜線の
大臼歯で

この街で生き長らえるなら
むやみに懐かしがってはいけない

闇の中でも決して眠らない街は
執 ....
                    131004



懐かしいなぁと思いながらも
作者は今頃どうしているのだろう
フランケンと一緒に遊んでいるのだろうか
 ....
我々はこまかい罅を 感じている
誰にもある
あかるい三月の路上で
したたるような朝がまぶたをひらいた
我々がおもえば
頑固な落葉松の ひきしまった松根の一本や二本
適度なふかみの罅がはいる ....
それは
「うつろう」です
僕はまた新しい言葉をおぼえました

「うつろう」です
僕の顔にあたる光と影

ちょうど、いま、の、ことです、
ちょうど、いま、なっています、

「 ....
宇宙誕生の冷たい光にうっすら溺れていた僕の近くで、
きみのみなもとが粒に変わって、星のあいだに流れていく。

ただ空を見ていたんだ。すべてはただ広がっている。
膨大になるばっかりの空間が、 ....
詩にならない言葉ならべてインクのな
くなったボールペンに私は告白したの
です。今までありがとうずっと好きで
した。ボールペンは息をひきとり今は
コンパスの隣りで眠っています。退屈
していた言 ....
梅昆布茶さんのおすすめリスト(13739)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
美しき村- ヒヤシン ...自由詩9*13-10-8
戦うということ- ヒヤシン ...自由詩13*13-10-8
邂逅- ただのみ ...自由詩25*13-10-8
バタフライエフェクト- あおば自由詩9*13-10-8
命名- イナエ自由詩12*13-10-7
寝て起きたら日常- 北大路京 ...自由詩613-10-7
【_肌色のクレヨン_】- 泡沫恋歌自由詩17+*13-10-7
まっすぐ- そらの珊 ...自由詩20+*13-10-7
蜜色の眠り- 石田とわ短歌9*13-10-7
たぶん- 殿上 童自由詩22*13-10-6
殺人狂時代- 永乃ゆち短歌11*13-10-6
赤いスカーフ- Lucy自由詩28*13-10-6
ギザギザのボリューム- 砂木自由詩12*13-10-6
一生懸命- 吉岡ペペ ...自由詩813-10-6
泣いて喰うタコ焼きにも蛸- 北大路京 ...自由詩213-10-6
胎動- 由木名緒 ...自由詩10*13-10-6
それからはこぐまのサーカスばかり見て暮らした- 伊織自由詩9*13-10-6
月下美人- nonya自由詩21*13-10-6
シーソー- そらの珊 ...自由詩12*13-10-6
秋が過ぎれば冬がやって来る- アラガイ ...自由詩7*13-10-5
雨にぬれたら- 吉岡ペペ ...自由詩913-10-5
歳下が熟女と呼ばれている- 北大路京 ...自由詩813-10-5
耳にもお経書いた?- 北大路京 ...自由詩713-10-5
- そらの珊 ...自由詩10*13-10-5
夕陽- nonya自由詩18*13-10-5
怪物くん- あおば自由詩7*13-10-4
ワレモノワレワレ_(生体反応の設計)- 乾 加津 ...自由詩12*13-10-4
季節- 美砂自由詩213-10-4
はじまりの光のよるに、星を見ていたと伝えよう。- 北街かな自由詩3*13-10-4
題名が決まらないまま- 左屋百色自由詩16*13-10-4

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