なんだか頼りない陽射しと
元気のない雲の勢いに
初秋の余韻を感じながら
病院の帰り道、車を走らせる
散らかった部屋に戻り
グラスに残った生温い
箱買いしたカフェオレの
残りを飲み干す
....
クイズムリオネア、司会のみのびんたです
スタジオの半周以上を囲む観客席は熱狂した拍手を彼に浴びせた
テレビのクイズショウ司会者は片手を上げて応え、
見計らって手を下ろすと拍手は鎮まった
今夜の ....
通っていた専門学校の 昔の
その 今も電車から見える建物の
様変わりしてしまった道を 僕は
ああ そして 冬の日に歩いていた
通りを 線路沿いに 駅から
宵闇通りをお迎えにあがります
ブン、はブンであり吾輩ではない
ようやく木に将来が吊るされた
ふるびた
かんざしが
流木に刺され
朝陽を待ちながらさみしく影 ....
過ぎ去っていく暮らしの中で
腕の中で抱き締めた匂いは
色褪せぬ記憶とともに生きている
作られた魂に染み渡る気持ちに
名前をつけられずにまた季節を終えた
誰しもが痛みと ....
シーアスパラガスというものを見つけて身請けした。イスラエル産らしい。
植木で見るような、ガサガサした葉で、初めて見たとき「なんかえぐみが強そうだな」と思った。完全なる偏見であることは後に判明する ....
私の果樹園には
今にも倒れそうに
傾いだ梅の木がある
心が荒れて時化るときその木を思い出す
海から河へ河から海、海から流れる川と
言ったのは誰だったろうか、渡し守の唄か
心が時化て ....
ある日家にやってきた
白い綺麗な子猫
「ノエル」と名づけた
成長が早く直ぐ大きくなった
仲良しでいつも一緒にいる
落ち込んでいたら
落ち着くまで
寄り添っていてくれる
家族 ....
怒りとも悲しみともつかない咆哮が脳裏でずっと続いていた、目蓋と眼球の間に、書き上げることが出来ない手紙が、皺にならないように丁寧に慎重に差し込まれているみたいで、そんな行場のない思いは瘡蓋の下でじ ....
移ろいゆくこの世界
求めていた自分の理想が
現実化するように祈っている
地獄に変じているこの社会を
天国にするための選択の時が
もうまじかに迫っている
いろいろな場所で
頑張っている人々 ....
アルマイトの弁当箱には
頭の焼け焦げたメザシが
白い飯の上に載っていた
梅干しが隅に添えてある
崩れた厚焼き卵もあった
新聞紙に包まれた弁当は
開ける前から魚臭かった
あまりにも見栄えが ....
誰にでもできることができない
そんな辛さを生まれ持った貴方に
かつての自分の姿を重ね合わせて
貴方が少しでも苦しくないように
願いは自己満足でしかないのだけれど
貴方 ....
生きていることは、眠かっただけだった。眠い、すべてが。何かを探していた気がする。夢で味噌汁を飲んでいたようにして。トランペットを吹く音が遠くの方から、堤防を歩くと聞こえた気がした。のどかな気のする日曜 ....
章魚の 小道に
イデアの 紙吹雪く
わたしは歯
あなたは顎
おおいかぶさる
ぬるい 数
おそい 雪
わたしは峠
あなたは蹄
云 ....
順々に
液状の名詞が
格子に垂れてしたたる
世界のおおよその大きさが
張られている 複数の 頭蓋
額縁にぶつかり 欠けてしまった
顔のような 意味
....
青空はずっと振るえている
時が かげになって路にこぼれてくる
壁のうえにそっと 黒い木が枝葉を撒く
思うということ
街にいくつも街を重ねていくこと
あなた ....
ふいに淋しくなる
なんて口にしながら
随分と
正体も無くして
やがて眠りにつく
ひとの子の様で
子猫の様で
寝息とその顔は
野に咲く花が
白い野の花が揺れていた畔と ....
通りすぎる街並みには
金木犀が甘い香を放ち
賑やかだった蝉の鳴き声は
示し合わせたかのように静まり返り
秋が熱した夏の背を押しやって
青く青く立っていた
あゝまた来たのだな
わたしは ....
私の好きなことは人を世話することではない
ただ医師を助けたいと思った
それは素敵なことだ
そういう意思をもった医師を助けるということは。
医師なら誰でもいいわけではないが。
私は生まれてこの ....
看護師になんかならなくていい人生を選びたかった。
でももう40手前だから大金払って学ばせてもらってやっと何かになるしか道はないから、
他の何にもなれないということは、マンションの清掃や学童の子供た ....
夕方になって洗い物をした
家事労働と姿勢維持筋の行使で
少しでもカロリーを消費しなくては
最近、一度に食べるご飯の量を
一日あたり1.25合から1合に減らした
でも体重は落ちてない
現状維 ....
こんな名機があったのか
と驚かされた
ソニーミラーレス一眼・NEX-6
安っぽくて脆弱なプラスティックでなく
重厚で丈夫な金属のボディや操作ダイヤル
それに
シッカリとしたシャ ....
回顧
挫折
懺悔
諦夢
反省
2日続けてシャーペンがなかった。というより2日目はシャーペンはあってもシャー芯がなかった。
だからちびた鉛筆を2日とも使った。2日目の昼には芯が尽きた。昼休みコンビニでシャー芯を買う。
ついでに野 ....
電球が裸になって天井からぶら下がり
なんだかエロティックに思える
若くて美しい顔立ちの女はいい身体もしていたりする
それが着ていた物をすべて脱いで天井からぶら下がっていたら
思わず抱きつき ....
僕は昔アメリカにいたことがあったんだ
ただの旅行だったのだけれど それは
歩いていた ビルの間を 昔
何を求めていたわけでもなく 一人で
スーパーの果物の匂いを鼻で感じていた
良かった
猫を見た時の私の思いは
可愛い だったから良かった
私の中にあるそれは
確実に私のものだ
それは絶対に
誰にも奪えないものだ
驚いた
仕事でミスをした時の私の思いは ....
青白く痩せた君から放たれていたもの
僕はいつも怯え痺れた
じぶんという核が剥き出されて
漆黒の宇宙に放擲されていくように
残された肉身が断崖絶壁を何処までも墜落していくように
途方もなく ....
非常に難しい局面に立ち、
風を受けている。
それがどうした。時間は過ぎる。
私の勝ちだ
そうやっていつも気づかないふりで逃げる
上手く逃げたと思っていても
いつかは対峙する時が来るものだ
ひとり
佇んでいたプールサイドは
夏の光に汚れて立つのがやっとだった
きみが
手のひら ....
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