陸では息継ぎも困難になり
私は海に潜ったのです
息の詰まる人波を泳ぐには
シュノーケルでも心許なくて
長湯に逆上せないようにと
私は冬を選んだのです
ふやけた心臓は張り切って
蹴り出 ....
吐き出した言葉が
気泡になって
無人のブランコを揺らす
目を瞑ると
魚たちが
瞼を触りにやってくる
部品を捨てながら
自転車は走る
ただ一つの
点になるために ....
飛車角と香車桂馬も落とすから将棋盤でもう殴らないで
遠距離も親の反対も歳の差もベリーロールで飛び越えていく
海賊もティンカーベルもいないけどユーキャンフライ冒険に出ろ
放課後の女子が ....
重大な任を負うときがある
ひだりひらめは
にらみます
どうしてこんなぐつぐつと・・・
しんぱいするな
くってやるから
ねっとうをかけたじてんで
うんめいはきまっていた
....
日替わらないランチ
口溶けしないチョコレートが
不思議だ
口から 5ミリ四方の
サイコロ状を
舌で押し出すように手のひらに
転がしてみる
やはりチョコレート色のチョコ ....
見送った背中を思い出しながら食べたケーキはしょっぱかったの
謝らない代わりにケーキを買ってくる君をやっぱり許してしまう
大きめのプリンをふたりで分け合った夜は月さえ ....
優しさだけで、生きていけると思ってた頃。
どうしようもなく、若かった頃。
けれど限りなく、輝いてた頃。
きっと女性 性別はきっとない
でも ほのかにジェンダーは傾く 甘い香り
ぷるんとした肌は 密室にくっつき 出番を待つ
嫌う人はきっと この広い世界だからカウントできるかもしれない
....
老夫婦が
買い物袋を提げて
楽しそうに歩いて行く
幸せは案外地味な装いで
まだ冷たい風の中
首を竦めて待っているのかもしれない
知らん顔して
何度も通り過ぎて行った
それは自分 ....
雪が僅かに消え残った海岸に
揺れているのは去年のススキだ
長く厳しい冬の間
雪に埋もれて立ち続けていた
ススキはいつ倒れるのだろう
既に枯れているのに
命の抜けた穂を振って
いつまで風に ....
るる、と呼べば
りら、と響く
それは歌
スノードロップが
白い鈴を鳴らしている
水仙が
黄色い笛を吹いている
{引用=合唱団の申し込みは
春色のポストへ出してください
....
今年はじめて モンシロチョウを見た
まだ畑には雪がかなり積もっていて
道路や地面で アスファルトや地面が
見える所はあるけれど 花は咲いていない
蜜はまだないよ
ひらひらと 春めいた陽射 ....
晴れた眼差し
明るい歯並び
踵の擦り減った靴が喜んでいる
コンビニまでの三百歩の散歩
晴れた声色
明るい口答え
言葉はうっすらとシュガーコートされて
許容範囲が拳二つぶん広がる
....
寝ない子がくまちゃんを寝かしつけている
殺人罪はない
みつめる
みつめる
じっとみつめる
そうすると
何かが
語りかけてくる
種を手放したあとの
たんぽぽが
茎に残された
小さな瞳で
私をじっとみつめる
世界には
なんと
....
三十を越えて旅するものは詩人
寒気に絶望を見出すもの
寂しさに震えているのだと
自分を騙して
三十を越えてまだ望んで愚かでいるものは詩人
雪降れば頭振り
雨落ちれば睫毛濡らし
人 ....
影法師影法師
あの人を返して
朝焼け宵闇夕間暮れ
あの人を連れて来て
雨星月風
あの人に伝えて
わたし待ってる
わたし待ってる
....
トラウマ
”trauma”
心的外傷
夢とも
傷から滲む
エッセンス
覚めない
連続が
眠りを眠らせぬ
目覚めている様に
表皮と内奥に
....
もうすぐ年末だというのに、大掃除もせず日の当たるベッドで
丸まっている彼女は来年41になる。
わたしの年齢の2倍より多く、3倍には満たない想像のつかない歳である。
彼女の夫はさらに15歳年上 ....
湿った手のぬくもりや
かかを探して泣きだす姿
そんな幼子の始まりが
泣きたくなるほどいとしくて
この腕に抱きしめる
貴方は 誰ですか
きのこですか
かのこですか
傘の お化けが 返事する
からん からん
氷なのか 鼻緒の途切れた
ミイちゃんの 下駄なのか
もっと 可愛らしい 言い方 ....
鏡から手首生えてる二本半
生活臭隠すためだと家を焼く
心臓が別れ話を切り出した
仔羊の肉脳内で水洗い
髪の毛に侵入されて操られ
冬が来る非常ボタンを押 ....
杉の木から 吹き降ろされた雪が
荒れる風に乗り 空気になだれる
開けた戸から数歩
白く 冷たく
散らされる雪と
ふらり 共に立つ
お迎えに参ります 春
背中にかぶさる重さも
....
子供の頃から、
僕の掌
逃げたくなった時
両方の瞼において
ぎゅっと
カラダを嘘のバリアで隠してきました
オトナすぎる今、
僕の掌
キミの頬において
ささやく声をBGMに
そ ....
ざらついた道にとまった
いっぴきの天道虫を
きみの足がよけた
たとえ空が青くても
心が翳る日はあるけれど
分厚い雲からこぼれた雨を
きみとい ....
頭にクッションをあてがい
横臥し
正面にある物を見る
それを目星とする
片眼をつむり正面を見る
反対側をつむり正面を見る
ゆっくり何度か交互につむる
(目星は上下に動き
鼻梁に遮 ....
あぜ道の草刈機の音
遠くに聞こえ 想像する
労働する人の尊い汗のしたたり
うなられた田んぼ そしてその へり
へりの必要美に心奪われる
水がはられた田んぼに思いをはせる
....
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