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  お前は夢を見ているのか。

 緑に囲まれた小さな庭の片隅。
 日陰に置いた籐椅子に腰かけたお前は優しく眠っていたのだ。
 
 静かな寝息を立てているお前に私は小声で語りかけた。

 ....
 夢のような暮らしの中で今日もまた朝を迎える。
 夜の魔力が次第に解けて、鳥たちの声が聞こえる。
 テラスに出ると庭のあちこちで色鮮やかな薔薇が咲いている。
 私は今ここに在る事に感謝する。 ....
 
 森の小径でだれかの影法師が泣いている。
 よそゆきの仮面を外し、裸の心が揺れている。
 曝け出す事を善しとするならば、
 私たちはだれにどこまで曝け出せば良いのだろう?

 露台の椅 ....
 青く澄み渡る空の下、高原の塔の前に立つ。
 息を吸い込むたびに体が宙に浮いてゆく。
 時代を遡るかのように。
 過去を愛せるようになればきっと未来も明るくなるだろう。

 ラベンダーを ....
 新しい時計が時を奏で始めている。
 今日海へ行った。
 あなたは無邪気な子供のように、小さなカニの居場所を僕に告げた。
 湿気を含んだ海風が僕らを包んだ。

 さようなら、僕の遠い日。 ....
 多摩南野に吹く風が透明度を増してゆく。
 秋が季節の扉を開ける。
 時の歩みに歩幅を揃えると、
 あっという間に歳をとる。

 嬉しい時、私は笑う。
 悲しい時、私は泣く。
 楽し ....
 夜のテラスに薔薇が咲く。
 花びら、それは鮮やかな血の滴り。
 消える事の無い悔恨だ。
 それは私らの繋がりにも似ている。

 夜空に瞬く星々はじっと見つめる目の玉だ。
 恐るべき幻 ....
 黄昏時に降る蝉しぐれ。
 巡る思いは故郷に焼かれ、
 砕ける波には顔が現われ、
 存在すらも消えてゆく。

 幼子の手を引いて寺の参道をゆく。
 夢かうつつか幻か。
 奥手に望む海 ....
 吹く風に捕らわれた身は山を駆ける。
 幾たびも過ぎていった時を頼りに。
 先人達の漲る力に生を覚えて、
 村はずれの舗道にただ立ち尽くす。

 吹く風に捕らわれた身は川を渡る。
 輪 ....
 眼鏡の奥の青い瞳が血で染まる時、埠頭から飛び立つ鳥よ、憎しみに湧け。
 人間の弱さを自分の弱さと重ね合わせ、逃避する心よ、悲しみに暮れろ。
 存在を日々消費してゆく者が夕景に若いエキスを吸い ....
 記憶の彼方に浮かぶ一艘の客船は時を巡る。
 大海原は凪いでいる。
 トランス状態に入る前の静けさに音楽は語る。
 安らぎはいまだ訪れはしない。

 多少の情緒不安定は正常だ。
 海は ....
 白い景色の中で回るメリーゴーランドに人はいない。
 何かの気配を感じる朝はいつもより濃い目の珈琲を飲む。
 人工的な村は閑散として涼しげだ。
 そして私は今日もまた何かに迫られて過ごすのだ ....
 愛を囁くと梢が揺れた。
 協奏楽の流れる部屋に人は無口で
 病人の枕元に一輪の花をかざした。
 今在る優しさに皆耳を澄ませた。

 枯草の美に共感出来た時、私は和的な幸せを得た。
  ....
 ピアノの音色が白く輝いている。
 僕はその中を歩いている。
 この先に何が待っているのか。
 初冬の風が厳しく吹いている。

 孤独とは。
 僕はピアノの音色に包まれている。
 ほ ....
 ある書物は私を受け入れ、私の居場所を示している。
 そんな時私の心は大きく開き、静寂の中の喧騒にただ驚く。
 私の頭上に雲はなく、大地の裂け目では清冽な泉がこんこんと湧いている。
 私の精 ....
 悲しみのヴェールに霧が溶けてこの村に訪れる晩夏が眩しい。
 お前と過ごした最後の夏はこのフィルムに焼き付いて時を彩る。
 優しさは或る晩の静けさに紛れて、一枚の絵画には音も無い。
 描かれ ....
 西の空に希望を背負った夕日が消えてゆく。
 黄昏た公園で私は老人を見た。
 ベンチに腰掛け自分の両手を見つめている。
 その時初めて私にも皺だらけの掌があることに気が付いた。
 
 深 ....
 雨の雫が涙のように乾いた私の頬を伝う。
 黒、もしくは赤の色彩の中に、そう、それは夜だ。
 魅惑的な静まりの中でガラスの心を持つ者は
 人知れず暗闇に安堵し、一時の安らぎを得るのだ。
  ....
 驟雨の後の林道に僕の悲しみが溢れている。
 それは僕がそこにいない悲しみ。
 
 僕らが出会った薔薇園に憧れという名の薔薇が咲いている。
 憧れを持ち続ける勇気を見失わないように。

 ....
 暑さ厳しい夏を向こうに控えて
 君と聴くモーツァルトが今日は愉しい。
 無限の広がりをその音に託し、
 感情の極限を曝け出した楽曲達が
 この耳を刺激する。
 曇天が水滴を垂らすような ....
 今宵森の中の静かなアトリエでチェロを弾く君。
 君は自分の色彩を確かめながら求めているのだ。
 私は君の唯一の客。
 私も君のチェロの音色を聴きながら自分の色彩を求めている。
 私のヴィ ....
 月の調べにうっとりとする今日の夜だ。
 幾千幾万もの光の帯が私の窓辺にやってくる。
 天上の彼女は奏でる。
 今日も一日幸せな日だったと。

 深紅に染まったローズヒップティーを飲みな ....
 キャンバスいっぱいに塗りたくられた真っ赤な背景に
 ピエロの肖像画が悲しい瞳を私に向ける。
 有無を言わさぬその迫力に思わず目を背ける。
 その時私はやましいのだ。

 そのほとんどが ....
 寄る辺のない心持で湖岸に一人立ち尽くす。
 微妙な色彩で空に浮かぶ雲のように時間だけが過ぎ去ってゆく。
 確かなものは目の前の現実だけというのはあまりに寂しい。
 まるで見向きもされなくな ....
 遠い記憶を辿ると僕はいつでも森の中にいる。
 そこには寂しさも悲しみもない。
 ただ胸のワクワクするような楽しみや嬉しさばかりある。
 自分一人だけの秘密がいつでも隠されている。

  ....
 昨日僕は坂道のてっぺんから街を見下ろしていた。
 今日はどうだ。
 坂道を転げ落ちて深い谷底から宙を見上げている。
 たかが一日で人の人生なんてどうにでもなるようだ。

 昨日僕の窓は ....
 黒いドレスを纏った貴婦人が僕に手招きをする。
 ミッドナイトパープルのスーツを着た紳士が僕に目配せをする。
 あらゆる人が僕に甘い言葉を囁きかける。
 そして僕はまた一つ嘘をつく。

 ....
 ロベリアの水色が私の窓辺で咲いている。
 脇役に徹しているカスミソウの白い花は妻の好みだ。
 陳腐な言葉など必要ない。
 そこには小さな美が溢れている。

 どんなに小さな表現でさえも ....
 雨上がりが匂う緑の庭園で小さな世界は広がる。
 ピアノの音色が淡い世界に色付く。
 胸に抱えた定かでない悩みは昨日へ消えてゆく。
 私はただ黙々と小さな勇気を今日という日に積み重ねた。
 ....
 夜空に咲く花は美しい音楽を奏でる。
 恥ずかしがり屋の月が雲に隠れぬよう。
 眠りを知らぬ私らは窓辺に佇み
 チェンバロの響きに耳を澄ます。

 慈悲深い月がいよいよその姿を雲にくらま ....
梅昆布茶さんのヒヤシンスさんおすすめリスト(134)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
午睡- ヒヤシン ...自由詩10*18-7-14
アトリエの休日- ヒヤシン ...自由詩9*18-6-30
クラリネット- ヒヤシン ...自由詩9*18-6-2
塔と鐘- ヒヤシン ...自由詩5*18-5-26
新しい時間- ヒヤシン ...自由詩5*18-5-18
平凡な詩- ヒヤシン ...自由詩6*17-10-7
形象- ヒヤシン ...自由詩4*17-8-4
黄昏時- ヒヤシン ...自由詩4*17-7-29
吹く風に- ヒヤシン ...自由詩4*17-7-25
沈黙の海- ヒヤシン ...自由詩5*17-7-15
邪心- ヒヤシン ...自由詩5*17-7-8
無題- ヒヤシン ...自由詩9*17-5-28
愛の囁き- ヒヤシン ...自由詩18*17-2-25
- ヒヤシン ...自由詩9*16-11-16
創造すること- ヒヤシン ...自由詩7*16-9-9
晩夏- ヒヤシン ...自由詩3*16-8-17
黄昏時の老人- ヒヤシン ...自由詩8*16-8-10
黒と赤- ヒヤシン ...自由詩4*16-8-6
いつかの生活- ヒヤシン ...自由詩3*16-7-30
峻厳- ヒヤシン ...自由詩7*16-7-13
小品~三重奏- ヒヤシン ...自由詩3*16-6-25
月と天使- ヒヤシン ...自由詩5*16-6-18
心の膿- ヒヤシン ...自由詩4*16-6-18
一人時間- ヒヤシン ...自由詩4*16-6-18
森を想う- ヒヤシン ...自由詩3*16-6-11
後悔と反省の狭間- ヒヤシン ...自由詩4*16-6-11
嘘つき- ヒヤシン ...自由詩3*16-6-4
美~窓辺にて- ヒヤシン ...自由詩6*16-5-28
庭園- ヒヤシン ...自由詩11*16-5-18
夜空に咲く花- ヒヤシン ...自由詩4*16-5-14

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