讃辞
あなたのセーターは暖かそうだ
あなたの体は温かそうだ
あなたの体温は優しそうだ
心が優しそうだ
犬
霧雨がそぼ降っている
門灯はあかあかと
門扉は堅く閉ざされ ....
社会のルール
糞くらえ
鉄格子の棒さ
俺たちを
道理の檻に閉じ込める
社会の常識
くたばりやがれ
草刈り機の刃さ
可能性を
まとめて無為に帰する鎌
俺は虫の居所が悪 ....
昔
会社の中の仮面に疲れた人が
仮面を脱ぎ捨て 本当の自分になろうと
素顔で生きようと 闘争を挑んだ
だが
周りの仮面はそっぽを向いて
会社の素顔から出るむき出しの刃
....
わたしはまだ、
本当の血を流していない
わたしの足元から
見えない厚い雲が
ゆっくりと動く
雲と呼吸を合わせると
静かに痛む、
嘗てのわたしの部屋
大きな流血の ....
突風だか竜巻だか
しんないけど
奴の進路を塞ぐように
四つんばいの格好で
お尻の穴を目一杯広げて
待ち伏せしてやるの
奴の破壊力と
あたいの吸引力
どっちが上か
勝負してやる
....
悲しんではいけないよ
なんて決まり文句
どこでも拾うことはできるけど
悲しみ
そこいらに落ちているもんじゃない
背後から黙ってやってきて
いきなりけられるようなもの
泣いてはいけ ....
貧乏自慢
枕元に
吾輩は目覚まし鳥を飼っておる
朝六時
けたたましくそいつは鳴く
日に ひとたびしか鳴くことが叶わぬゆえ
遠慮などこれぽちもしない
起きなければならぬ
なんとも理不尽であるが仕 ....
エントランスとか言うな
工業地帯にほど近い
どこか鉄の匂いのする町の
杉板貼りの二階建て
くもりガラスの引き戸
開ければ土間と廊下
左手に下駄箱あり
廊下のは ....
記憶はなにを食べて生きながらえているのだろう
指先から冷えていくのを彼女はまだ気づいていない
埃を吸ったあとの掃除機をそっと抱きしめる
モーターの余熱が伝わって やっと明日につながる ....
月の舟に乗って
子供たちは夜を往く
魔法の絨毯
空飛ぶ木馬
月明かりに照らされて
夢を喰らい
子供たちは夜を往く
月の舟に揺られて
夜はそっと更けて行く
月の舟に乗っ ....
積み木の赤い部品が
緑のうえにそっと載る
駆け抜ける電車の影が
血の気のない床を砕いて
それから
途絶えて消える
轍のひとつも残さず
....
起きたら10時ごろで、弟の友人が来ていた。
雨だった。
携帯について語っていた。
出ていって、また寝た。
昼すぎ帰ってきて起きた。
隣の部屋で、買ってきた携帯の設定がピロピロ鳴っていた。 ....
午前4時
郵便ポストに朝が届く
とおくで電車が泣いている
溜まったメールを洗濯機につめこんでぐるぐると回す
とげとげしたやりとりも
昨日の君との会話も
ぜんぶ漂白剤にあらわれて
言葉 ....
それで結局一番取扱に困るのは自分自身であって
説明書が書けない せいぜい 長さと重さぐらいだ
従って「取扱説明書」は比喩でもなんでもない 真実だ
ぼくは電化製品だ コンセントとプラグは父母だ 修 ....
この部屋は四角い
建物も四角い
紙は四角く切り取られ
電車は四角く走っている
土地は四角く区切られて
名前は四角く囲われる
レンジは四角く温めて
テレビで四角くものを見る
君は ....
ねぐせはなおさない
あんまりなおさない
はねっかえりの天然パーマ
したいようにさせておけ
校庭に 生徒を整列させるように
頭皮に 髪を整列させるなんて
そんなのナンセンス
ナ ....
夜がひとつ 木の下に立ち
枝のなかの 空と息を見る
川の向こうの海を
音がすぎてゆく
明るい雲が
枝を照らす
火口湖を巡る鉄塔から
光が こぼれ落ちてゆく
....
喪服を着た父が 部屋の隅にいる
悲しいほど
とても暗い場所に
かなり寝たので 夢だったのか ひどく汗ばんでいる
耳をふとんにあてると 父が階段を上ってくる気配がした
....
朝から僧侶が
歳末助け合い とかかれた登り旗を掲げて歩いていた
助け合え
助け合え と歩いていた
その脇で
道をはく老人がいた
うつむいて
ほうきを使う老人の
背に太陽が反射し ....
学校は寝過ごせばいい
起きたら夕暮れだから
バイトをやり過ごせばいい
疲れて眠ってしまうから
気が付けば、朝
義務にくるまっている
指示は代わり映えない
....
就職は決まらない
冷たい風を 冬は 頬に叩き付ける
学校に行きたい
金を 見えないものに払うのは 嫌だけど
東京駅の大通りで
バスの 田舎へ向かうその名を見た
明日は仕事をしたくな ....
いま時分には珍しい朝凪に
吸い寄せられるように
車を止めて
浜へ降りて行った
もう、母国に
呼ばれることのないカモメたちが
白を惜しまずに羽ばたいている
水面はきらきらとさやかに
....
アン・ドゥ・トロワ アン・ドゥ・トロワ
壊れたトウシューズをどこかに置き忘れた少女がひとり、漆黒の夢の中
そしてその静寂がわたしにまとわりつく
アスファルトが
冷たくて
誰にも会いたくなくて
でも
人の気配がほしくて
笑えよ
ゆるんでよ
そんな
尖った顔して
背中丸めていないで
だいじょうぶ
大丈夫だよ
鳥が飛んで ....
檻の中にいる時より
人の中にいる時の方が
君はずっと孤独だ
誰かと語り合っている時より
一人で黙っている時の方が
君はずっと雄弁だ
誰かに褒められている時より
誰かに見捨 ....
青く開いた空の深みから
一つ また一つ
無言の頷きのように
頬に
建物に
大地に寄せられる
ふわりと白い口づけ
それは
氷柱のように尖らせて行く
生ぬるい毎日の中で肥大した妄想を ....
マダム・スミダを貴方に
(原題:Serve The Last Pie For Me)
{引用=作詞:Doc Pomus・Mort Shuman・岩谷時子
補作詞:因縁崎渡世子
....
ゴルフはからだの使い方だ
からだの使い方を3分で会得する者もいれば7年で会得する者もいる、ただそれだけのことだ
会得のスピードが才能なら会得するまで諦めない根気強さも才能にちがいない
いのちの使 ....
Agains
今年はじめての 雪でした
足の下に さくさく
冬の音がする
雪のつめたさに
舌打ちしたり
みなが冬をきらうから
少しばかり 冬は意固地になっていたりするのです
....
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