わたしは小学生のとき
時そのものをあきれて
見ていたことがあった
時は昼寝をしているみたいに
動かなくて
おおきくておもたくて
自分を
もてあましているように
見えた
・ ....
鶴が一本脚で立っている
この灼熱の炎天下に
その脚が折れるのは時間のもんだいだろう
翔べないからこのどぶ川に取り残され
その時を只待っている
思い付いたよう毛繕いをしながら
い ....
昆虫採集の一団が
帰ってきた
今日は夏休み自然教室
予定の時間をはるかに過ぎ
バッタみたいに跳ねて
バスから次々おりてくる子ども達
汗だくの引率者が言うには
みんなそれぞれお目当ての ....
空々漠々 とした
あおぞらも ちぎれるときは
わすれぐさのように 赤く鮮烈に土壌と宇宙との間で炸裂するのだ
きょうも嘘で すべてを汚染しつづけている人々の足元で 蟻は動く
死してもなお ....
夜の蒼い錯綜を
独り孤絶し歩いていく
どす黒い血に染まった
裏切り者の屍の群れを踏みつけていく道か
総て無条件に抱き締める
真紅透明な血に貫かれた赦しの道か
いずれにせよ、
....
炎は、
はちじゅうはち年の喉ぼとけを
紅蓮に染め、
煙は、
迎えにもこない夫をさがして
透明な森をただよい、
空の底をぬけていく。
( うつむく言葉たちよ
股関節のなかで
硬質 ....
乗り合わせた連中と
サイコロ振ったりカードを捲ったり
酔っぱらって歌ったり
ここで生まれた
もの心ついた頃には船の上
過去の航跡をぼんやり眺め
濃霧に満ちる行き先に目を凝らす
詳 ....
平常心を保つことの難しさを
一番 知っている あなただから
赤いリボンを 一つ あげる
あなたが ときわはぜ 一等賞
時が流れて 風も流れて
太陽の光と 雲が乱れると
同じ 色 ....
冷たい水に潜るとき
気持ちよくて
本当にすべてがどうでもよくなる
海の底から見上げる水面は
なんという美しさ
ちっぽけな息が尽きて
ぽっかり海面に浮かぶ
海に支えられてぷかぷ ....
久しぶりに真夏に行った海
日焼けも化粧も忘れて
何もかもをさらけ出すように泳いだ
海育ちにとって
海自体が故郷だ
子供の頃から私を知り尽くす場所では
もう
名前すら必要ない
水にもぐれ ....
交差するXYZ金魚玉
書いて 書いて
消せるものは 消せばいい
心にはいつだって
鉛筆と消しゴムがある
あなたとのことは
強すぎる筆圧で
かすかに
残ってしまった
世界は止まらない
法でも止まらない
人心でも止まらない
拘束でも自由でも止まらない
止めようと
止めまいと
止めようと
止めまいと
戦争ひとつとっても
....
150804
イメージの缶詰を足で踏み潰す
踏み潰したら、蹴飛ばしたら
昼のプールに飛び込んで
息を深く吸い込んで
底に沈んだ落ち葉を拾うんだ
まだ5月、冷たい水に飛び ....
雨が去って
夜が去って
嗚呼
今日も
道路は道路のままで
そのことに
私は安堵する
もう
ずっと長い雨が
私を覆う
黒い雲が
急ぐよ
たましいが
しっぽがそこに
....
コンビニも
真夜中のファミレスも
あなたといるとどうして
あんなに
輝くんだろう
ありきたりの
ミニパフェが
あなたと食べるとどうして
あんなに
素敵なんだろう
さみしいと ....
つめをきった
爪を切ったの
もうあの人のために
オシャレなんかしないように
そもそも塗るのがうまくいかないと
イヤなタイプだからさ、わたし
塗ったり落としたり
面倒くさかったんだ ....
『ダイパー・ドライブやっています』
“おむつのドライブ?”
丁寧な発音
穏やかなトーンの声に
思わず立ち止まる
行きつけのスーパーの入り口
『新生児用のおむつが特に不足しています。 ....
詩をかかない日々
日常が連続する日々
やはり、わたしは言葉を紡ぎたいのだ
『蝉大合唱』
夏空に響き渡る
蝉の大合唱
耳が汗かき
体感温度2℃上がる
『蝉爆弾』
マンションの外階段に
蝉が落ちていた
そっと跨いで通ろうとしたら
突然!
....
浜辺を歩いた
ここでは きっと どんなことでも
許されるのかもしれない そう思いながら
私は 浜辺を歩いた
ウミウシ そして 砂底にいる
カレイの姿を見た 確かに
海の中にいた ....
朝
君が
遠浅で
わたしを
呼んでいる
幸せなゆめを
見ていたいなあ
水がつめたく
感じる様な
繊細かつ
美しい
君の
夢
昼
私は
海の先
蜃気楼を
じ ....
たかが小銭、されど小銭
そんな風に言える生活レベルでは有りませんで
必死こいて 高価な硬貨を選出した効果が
有ったか 無かったか 私は 知らない
ただ 吸い込まれるATMの 無機質 ....
安売りをしていたので
星をひとつ買った
命名権付きということで
相応しい名前を小一時間考え
以前飼っていた犬の名前をつけた
部屋の電気を消すと星は仄かに瞬いて
偽物みたいに綺麗だ ....
スパイスと宝石の匙で
耳を穿られる
《誰の膝が欲しい?――
頭の中から始まる旋回舞踏
透明な花びら 光彩のミスト
すぐに船内の浴槽が揺れるよう
隠れた海が押し寄せて捲れだし
突 ....
夕暮れになるといつも
そこに
ぜんぶを残して
かえった
音が湿っていく。
地獄なんてみたことない
一回くらい覗いてみたいよ
、だって?
この腐った街は皆を傷つける。
そうかい
みせてあげてもいいよ
愛するひとを
教えてくれたらね ....
もうひとり私の中にいるやつが決まっておまえと呼ぶ近場から
もし薔薇に棘がなければ退屈だ死にそうなほどでないにはしても
おそらくは見えないだけで居るこども「ほら自動ドアちゃんと開いたよ」
....
指さしをするよう
誰かが泣いていた、場所を
孤独を落としたままの在処を
甘く過ぎる歴史が
引きずってきたものを剥がす
ことばにすぎないよう
私が誰かだったりした、瞬間に ....
「おーい おーい」
と誰かが大声で呼んでいる
ドラッグストアの狭い通路
こんな時 こんなところで
大声で呼ぶ声なんぞ
知らない人に決まっている
振り返ってはろくなことは無い
と知 ....
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