自分のクソちっぽけな世界が
何よりも大切だ
王様にだって
女王様にだってなれるからな
そして
うっすい、うっすい膜の張られた
その世界の
表面を撫でられているうちは
他人にだって寛 ....
叩きつけ合う鋼鉄
反響スル
この森に
霊魂をぶら下げ
午後五時に入る
異界ノ息、
異様ナ相、、
移行ノ刻、、、
穿たれる
窪みに
今や鉛と化した
前頭葉をズブリ
....
眠れない夜
いつもマル・ウォルドロンのALL ALONEを聴く
いつ聴いても不器用なピアニストだと思う
Bill Evansのような繊細さもなく
Chick Coreaのような技巧さもない ....
陽鳥
きのうのことのようだ
逃げ出すように ひとり列車に乗り 海を目指した
行き先は 宮島
宮島のカラスに逢いたくなったのだ
途中 かあかあ
二度ほど 鳥が鳴いた
....
久々に姉さん女房が噴火した…避難のため
思わず外でジョギングする僕を――こんちわ
職場の先輩の太ったおじさんが
原チャリで風を切り、小さくなってゆく
編集者Kさんに退職を伝えると、厳しい一言
――原稿を依頼するには、肩書を
――その発想は面白くないっすよ!
僕の嫁さん子供まで心配する瞳が、少し潤む
....
あなたがわたしにひいた線は
しずかに沈んで いまはもう
ほとんど わたしになりました
種から花へ
あるいは花から種へ
その季節ごとにひいた線は
たがいに絡まりながらなお伸びてい ....
分厚い雲のはるか向こう
白く明かりを投げてくるのは
まるい太陽
アスファルトに吸い込まれながら
乱れ舞う淡雪
踏みつけようとすると消え
歩こうとすると
視界にまとわりつ ....
夜 小鳥たちは哀しみの巣をつくる
発動機の音がちいさな心臓をふるわせ
人も鳥も水に逃げようとしている
死は同じひろがりで樹下闇を照らし
美しいものの名をわすれていく
冬 かじかんだ指先が ....
アトリエに 違和もなく 海の 笑む {ルビ音=おと}
感傷の 気まぐれに 黒い蝶 化粧台で 殺し
逆らえない 四十万に 鈴の {ルビ急=せ}かし 空へ
ただ 近く 月を 手に 取って
泣き ....
あなたを思うと、
わたしの心に幾つもの
穏やかな図形が描かれる
熱い珈琲をかきまぜながら
窓の向うの樹をあなたは見ている
たぶん、世界じゅうのすべてのものが
....
夕方にカレーの匂いをもらすほどボロい家屋に棲んでいたよね
キャラメルの紙の折り目の白ずんだところを銀河Aとしてみる
吐く息が重なるだけで君の顔ぼやけてた 厳冬の壁ドン
み ....
それは恋文でしたか
長く綴られた美しい文字でも
過去形になると
住所も名前も内容も
要らなくなってしまうのですね
中古屋で買ったシュレッダーに
「アパート」という文字を半分消されて
....
青いってくちにして街は海になる花びら泳ぐ彼方の岸を
まぶた濡らす緑雨は君に降りやまず海の果てに飛ぶ鳥を探す日
永遠に待ちぼうけです目を閉じて探して君の赤い夕焼け
いくたび ....
赤いチュチュをはいた
白い花たちが
寄り添って踊る
小さなバレリーナ
踊ることは
生きていることだと
無邪気に笑う
顔を寄せたわたしの目の前で
おさなごのやわらかな手に触れ ....
ビリビリに引き裂いた
力任せに 泣きながら
それでも気が済まなくて
鋏でジョキジョキ切り刻んだ
その切れ端を 徹底的にシャッフルした
元の形などわからないように
二度と思い出さな ....
> 161116
>
> 素敵な大人とは
> 嘘をつくのが巧くて
> 嘘だとは気が付かせない
> 詐欺師の笑顔に惚れた
> ....
誰もが歌っている
それぞれが愛する歌を
昨日を唄う歌
今日を唄う歌
明日を唄う歌
上手いも下手もある
でも誰もが唄うことをやめられない
なぜだろう どうしてだろう
そうでは ....
無私の愛が
人の魂の病を癒し
魂浸透した肉の病すら和らげる
冷える秋夜の森の静謐に
天使たちは降りて来るのだろうか
自愛に充ち病んで倒れる己の魂の許に
あの遠い日の海の夜明け
靄 ....
もう部屋じゅうに
季節が終わる報せが届きます
ネットポートは再び夕空でジャックされ
きっとポケット深く携帯電話にも
微かに振動は繰り返され
むかし聴いたあの唄が
そっと鳴るでしょう
波音 ....
舌先で像を結ばない
時代の陰りの不安漠然とした
――漏出か
灰に灰よりも濃く灰を溶き混ぜた
ような雲
も 時折
裂 け
息苦しい断絶の青さ遠くかもめのように過る
無垢のまま ....
色の無い花が咲きました
香りも無ければ
命を繋ぐ力も持たない
少しだけ
孤独に見える花です
花はただ
『生きられたらそれで十分だ』と
私につぶやきます ....
いつか(あした)ミカってひとと
お友達になるかもしれない
電話番号を
交換し合うかもしれない
そしたら正直に
わたしお友達がすくなくて
だから携帯がうれしいなって
そこまでは言う、あとも ....
息をしている
すべてのものたちが
息という名の
うたをうたう
うたという名の
命を
深く
息を吸いこみ
ふくらんだ分だけの
息を吐く
そのあと
わたしのうたは
誰かの肺の中 ....
ピアノの音色が白く輝いている。
僕はその中を歩いている。
この先に何が待っているのか。
初冬の風が厳しく吹いている。
孤独とは。
僕はピアノの音色に包まれている。
ほ ....
肩越しのとまどいに
秋の風か
冬の光か
坂道の横を
電車がいく
秋の匂い
冬の湿り
あなたの小麦の肌に
雑沓がうすくなる
あなたが手をふる
....
「ひとはなぜ生きているのかなぁー?」
「うまれたからさ」
まつりごともかみさまも
しんじないあなたはそういった
戦争に反対するお父さんとお母さん
こどものわたしは
ベトナム帰還兵とおな ....
おれの素晴らしき我家の隣には狂人が住んでいて、朝から晩までこちらの暮らしに聞き耳を立てている、頭を掻く音、鼻を掻く音、耳を掻く音、歯を磨く音、すべての音に文句を言って、それでまともだと思ってい ....
「疼痛発作の周期が短くなっているんですが」
私がそう言えば
「疼痛発作で死ぬことは
前から言っている通りあり得ません」
カルテを見ながら無表情に応える医者
死んで新例作ってや ....
上を向いて歩こう
が
BGMに流れてる
もう
最後の花束は
貴方の胸に飾られた
貴方は
生粋の大阪気質で
ほら おととしの父さんのとき
斎場の菓子パンを
残らず全部持ち帰っ ....
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