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{引用=月夜の{ルビ泡沫=うたかた}
ひらいた辞書に
針をおとす}
夜の端を
そっとめくると
月は
その裏側で
輪郭をにじませる
言の葉は
月影を背負い
蝉時雨の風と
果 ....
淡いブルーの
ツメを乾かしたら
出かけよう
サンダルをはいて
軽やかに
白いプリーツを
ひるがえす
出会いはいつも自由
風を探しに
電車に乗って
どこまで行こう
....
{引用=(身体がふたたび目覚めはじめる)}
窓の内側
さわやかな風が
やわらかいレースの
カーテンをひるがえす
初夏のひかりが
まぶしすぎた
屋根の上
反射する水面の
ゆれる ....
見上げた空から
はらはら 葉が
ながれていた
なみだ、かと思った
それは
落ちていたのではなく
夕暮れの空
まっすぐいちれつに
ならんで昇っていた
りょうてから
ふわり ....
打ち寄せる波が
群青色の夜に輝く頃
誰かが届けた二枚貝
時を刻み
異国の景色を
映し出す
身辺整理は着々と進んでいるのに
心の整理はつかないまま
あなたの言葉は
やさしく
残酷だ
身辺整理が着々と進んでいる中
今頃やっと気がついた
あなたの言葉は
額の中に向けて ....
芽吹きの季節とはいえ
冷たい風が菜の花を揺らし
川面を颯爽と走る
光が流れていくのを
ただぼんやりと見ていた私は
纏わりついた髪をすき
静かに歩み始める
荷物は案外少なかった
....
海面を
半音ずつ上下させ
間隔を
少しずつ狭めていくと
音もなく
止まったように
張り詰めた海面は膜を張り
そのずっと深くに沈んだわたしを
柔らかく包み
すくい上げる
....
あなたの痛み
あなたの毒を
あなたから
激しく
受け止める
あなたの闇がわたしを
循環する
心から発し
心で着し
すべてが黒になったなら
時間をかけて
一滴一滴
....
この世界では
もう
寄り添うことができないので
わたしは
新たな世界へ
あなた探しの旅に出る
指を鳴らすと
広がる世界
影絵遊びで
小さな世界
新たな世界は
多く ....
ピンクのシャドウは
煌めきと愛らしさを
ピンクのグロスは
潤いと艶やかさを
一瞬のわたしを創り出す
Jewelな空の下
ちりばめられた箱の中で
ピンクのグラスを傾ける
....
わたしの輪郭を言葉に乗せ
光の輪に潜らせ
あなたに送る
たましいは
ここではないどこかへ
輪郭にも満たない
あるいは満たされようと
発光できないたましいは
月の明かりと共に ....