隠された踊り手
塔野夏子

私の意識の後ろで
踊る私がいる

簡素な服で
裸足で
踊りつづけている

その踊る身体は
現に此処に在る私の身体よりも
ずっとしなやかで
烈しい

私の奥に散る火花のありさまを
真似ようとしているのか

私の意識の後ろで
踊る私がいる

書き割りも 観客もなく
照明も 音楽さえもなく

踊りつづけている
おそらくは 私がその存在を
忘れている時にこそ
極まるのだろう その踊りの美しさは――




自由詩 隠された踊り手 Copyright 塔野夏子 2016-10-17 20:50:19
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