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たいそうなこと ではなくて
そう
立派な家庭とか
何不自由ない暮らしとか
そういうのが望ってわけじゃなくて
だけど
憧れってのはあるわけで
現実は
ただ
どうにかやってま ....
そこは 小さな駅で
ときどき SLも通る駅で
小さな改札口の前には
電車を待つ人のために
素朴な木のベンチがあります
ベンチと改札口の間は
すぐ近くにある大きな駅に行く人の
通り道に ....
アスファルトも
道沿いの木々の深緑も
白く
光る
午後二時
時間の底に響き続ける
セミの
鳴き声
汗をかきながら
自転車をこぐ私の隣を
....
穏やかな日々の陰からはみだした恋という名のあてなき手紙
忘れたい忘れよう忘れられるのか君に恋がるる熱き自分を
せつなさ
という名の花が
いま咲いている ので
時間という
風の中で
さびしい さびしい と
泣いている ので
あなた
水をくれるぐらいなら ....
どこかに逃すために
ついた
ため息が
横隔膜の辺り
胸の底で跳ね返ってきて
鼻の奥で膨れ上がる
ぼわん
ぼわん
膨れ上がって
こみあげる
涙の ....
ここはどこかとおもう
そしてすぐに
ここは大地だとおもった
風がふいて
雨がふって
鳥がないて
いきて
いる
奏でる というようなものではない
どこからともなく湧 ....
泣きたくて 泣けなくて
母に手紙を書いた夜
滲むことさえ出来ずに
笑顔の文字が並んだ
「変わらずに元気です
新しい服を買いました
今度の休みに帰る
その時に着て行 ....
洗濯機に自分でパンツ入れないでそのあったかさ確かめてから
蜂蜜の垂れるすがたはエロチックなんてくびれの辺りで思う
靴べらからドアが閉まってしまうまで何度私を見るか数えてる
....
あなたが 今
辛いのは知っていたけれど
私の涙さえ見えないほど
辛いとは
知らなかったのです
愛情さえ苦痛になるほど
辛いとは
知らなかったのです
ならば
今からの 私は
....
怪我をしている
ほんの少し
自分で転んで
怪我をした
怪我しているから
お肌のための美容液が
滲みて滲みて仕方ない
痛くて痛くて仕方ない
あまり痛いので
「ホラここが痛い ....
あの日
砂利道で蹴り上げたものは
小石 なんかじゃなくて
はっきりしない哀しさだった
どこかに行けそうな気がするのに
行くべきだと思うのに
どこにも行けない自分だった
何 ....
お月さん
震えていなさる
今宵の風はあんまりじゃ
空が空っぽになってござる
塵ひとつ とんと見当たらぬ
裸で ぽつんと
一人でいなさる
地上に降りて来れたら ....