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夕日のみえる高台で
ぼくはきみには背を向けない

だれかの家路を
見下ろすぼくには秘密が多い

赤面してもわからないから
夕日にそまる高台は
告白するのに都合がいいけれど
ぼ ....
身重の母さんをつれて
この道を通ったんだ

秋の彩りが見たくてね
秋の美食に酔いたくてね

俺の
そういう独り善がりは
あの日もいまも変わらない

ただひとつ違うのは
お ....
怪獣がすきだった

一生懸命に敗北へと向かう
その信念がすきだった

破壊される街も
逃げ惑う住民も
どうせフィクションだから
心配には及ばない

それなのに
怪獣の優勢が劣 ....
呼び声はまだ
きえてはいない
癒えてはいない

たずね人はまだ
絶えてはいない
やんではいない


ましろな雪は
ゆめの燃えがら
はる待つ
まくら

かたく一途 ....
ちいさな駅で見送った
あなたの笑顔は
まっすぐでした

こころ細さに折れそうな
わたしの代わりを
つとめるように

あなたの笑顔は
まっすぐでした



とおく、
遮断 ....
軽はずみな言葉ほど
健全なものはないからね

自然な
なりゆきの
その背にわたしは乗るよ



いたわりと偽りは紙一重

無情と無償は紙一重

流され過ぎた挙げ句の空 ....
ひとりで仰げば尚更に
山野の月はきれいです

涙は
雲居をわたる舟

契りは
雲居をてらす舟

言葉が透ける霧の夜は
山野の月がきれいです

あまねく水面は
古巣です ....
工事ランプは今夜も寂しくて
車もまばらな夜の向こうには
灯るような、三日月

いまとなってはどんな言葉も
傷をかばうための
道具でしかないのなら
せめて
こまめに
踏むし ....
空いた
椅子の上には
ゆうぐれが降っていて

絵描きになれない風たちは
せめてもの代わりに
言葉を混ぜて
去っていく


取り残された場所に
おそらく施錠は
必要ない
 ....
ビルの
赤い点滅が
いつまでも続いていて
いくつでも、
続いて
いて

それはまるで
飽くことのない
異国の海のようだった



東京タワーから
眺める夜は
リア ....
言いたい放題
言われてしまった

でも、
自分は
たしかに
大した器じゃない

けれど、
大した関わりもない人が
たぶんに狭い了見で
よくもまあ
あんなに細々
あんな ....
ありのままに
よごれていけたら、いいね

きっと、
すべてを
にくめぬように
そまればいい、
ただ

たとえ
だれかが
よごれ、とよんでも
それはかならず
うつくしい ....
およいでいる、ということに
気がついてしまうと
溺れはじめる


 わたしが
 わたしを忘れることも
 たいせつな息継ぎ

 うまれもった、すべ



音色、という文 ....
吐息が
しろく曇るのを見ると
少し、安心できる

わたしの日々は
ほぼ偽りかも知れないけれど
熱だけは、進もうとする熱だけは
たしかに思えて
安心できる



いつだっ ....
かなしみと出逢わなければいたみなど 
ふわり、するり、と流れてゆくのに


よろこびと出逢わなければ涙など流れなかった
ぱさぱさとして




いつわりへ戻りはせずにここに ....
雨よ降れ
ざんざん降れ
と、こいねがう村がある


たった
ひとつぶの雨だれにも
没してしまいそうな
舟がある



 めぐみや恐れや
 あれこれは

 ありえぬ ....
終わりは
すべて哀しいものだと
いつかあなたは
示したけれど

確かにわたしは
時刻をひとつなくしたけれど、

なくさなければ
始まることのなかった
時刻のなかで
わたし ....
蟻が
わらじの死骸を
運んでいく

気持ち悪い、とか
すごいちからだ、とか
そのさまに向ける言葉は
まったくの自由だ

だがそれは
彼らにとって
とても重要な生命の営みで ....
きのうを飾る
わたしの言葉の裏がわで

だれかの爪が
あしたを研ぎます


 輝こうとする意思は
 ばらばらに統一された
 石として

 きらきら、と
 眠るのです
 ....
空から
落ちた日のことを
おぼえていない


海を
ながめることを海として
その浅きをのがれる
すべにおぼれる


太陽はもう
ことばではないけれど
確かにぬくもる
 ....
よく晴れた日に
おまえは旅立ったから

空に
おまえを探して
けれど、見つからなくて
わたしはなおさら
寂しくなった


 道ばたの
 すこし汚れた草たちが
 いつかの ....
鎖骨の
においが
こぼれ落ちたら、

さかなのゆめに朝がくる



ことば未満の愛を交わして、
ゆっくりとたしかめる
てあしの記憶

水の
においの
シーツを背中に
 ....
あした、
涙がかわいたら
海を迎えに行きましょう

果てのみえない
かなしみの

ひと粒として
あらわれましょう



雨が降っても良いのです
風が吹いても良いのです
 ....
わたしたちを、
平等に迷わせる不規則性


未完成であることだけが
確かな終わりを撫でている

いつもいつも
こぼされてゆく気配のなかに
鵜呑みにされた
わたしたちが
い ....
ひとり暮らしのテーブルに
しばらくぶりに野菜がいます

使い古された
タッパのいろと
サランラップのしわくちゃ加減

レンジひとつで済まされる手軽さは
とってもチープで笑えてし ....
ひとが
つとめて
恥じらえるよう、

糸はほつれに優れています



こころ
こまやかに
誰もが夜を縫いかねて

きらめく星に
焦がれてしまう


かばい合う布 ....
ふたつの手のひらを
使いこなせない昼下がり

耳を澄ませてわたしは
しずかに風を
遮断する


すべては
それとなく遠い気がして
けれども確証はなくて
言えずに続いた
 ....
くり返す波に
届かずじまいの手を思うとき
ようやくかぜを
聞いた気がした

この世にひとつの
具象のような


二本のあしで
すれ違えるものを
まちがえながら
ここにいる
 ....
 理由はありません、っていう理由について
 もう少しやさしくあれたら、
 と思うんだ





さびしい時刻が生え出したのは
ぼくの、背骨を笑う
星のした

だ ....
くじらはどこかと
島が問う

空をよこぎる鳥の背中も
きっとだれかは
島と呼ぶから
雨は
もうじき
降るだろう


 あまつぶは
 ふね

 乗るも乗らぬも
 う ....
北大路京介さんの千波 一也さんおすすめリスト(83)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
緋のマント- 千波 一 ...自由詩815-11-1
結実- 千波 一 ...自由詩615-9-21
怪獣がすきだった- 千波 一 ...自由詩1315-9-20
冬枯れ- 千波 一 ...自由詩1013-2-13
残されたもの- 千波 一 ...自由詩5*13-2-11
遠くへいきたい- 千波 一 ...自由詩13*13-2-5
山野の月- 千波 一 ...自由詩6*12-9-3
逃げ道を照らせ- 千波 一 ...自由詩9*11-9-15
埃まみれ- 千波 一 ...自由詩20*11-9-8
東京タワー- 千波 一 ...自由詩2*10-1-29
戦友- 千波 一 ...自由詩6*09-11-8
ありのままに- 千波 一 ...自由詩21*09-2-6
水の器- 千波 一 ...自由詩12+*08-12-11
雪が混じる- 千波 一 ...自由詩20*08-12-7
◆出逢わなければ- 千波 一 ...短歌3*08-11-3
笑顔- 千波 一 ...自由詩7*08-10-14
意味調べ- 千波 一 ...自由詩21*08-10-12
蟻をおもう蟻- 千波 一 ...自由詩11*08-10-1
月光- 千波 一 ...自由詩8*08-9-2
かなしい理由- 千波 一 ...自由詩24+*08-8-30
よく晴れた日に- 千波 一 ...自由詩8*08-8-20
プロミネンス- 千波 一 ...自由詩24*08-8-11
海を越える日- 千波 一 ...自由詩11*08-7-31
ジグソーパズル- 千波 一 ...自由詩10*08-2-14
ゆたかな食卓- 千波 一 ...自由詩5*08-2-12
縫い針- 千波 一 ...自由詩6+*08-2-8
青い鳥- 千波 一 ...自由詩26*08-2-3
かなしみ沿岸- 千波 一 ...自由詩8*08-1-29
真夜中しっぽ- 千波 一 ...自由詩20*07-12-28
孤独- 千波 一 ...自由詩8*07-12-3

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