すべてのおすすめ
夢中になった歌集は 本棚で埃をかぶっている
覚えている言葉は もう何も動かさない
好きだった花が 色褪せて見える
もともと 好きでもなかったのかもしれない


紅をさす 鏡の中にいるの ....
暁のうたたね 夢の中で泣いて
白くぼんやりした夜明けの部屋に
ムウドだけが薄く残っている
メランコリックな仕草で 髪をかきあげる


オルゴオルの上で踊る 白鳥が優雅に
ころんころん ....
越えられない 許されてもいない
つるんとした壁を 軽々とひと羽ばたきで
容鳥は笑顔で越えていく 見たこともない
世界へ 想像の中にしかない静かな森へ


平穏な壁の中は 灰色の焦燥に
 ....
降る雪の間に間に後姿 
灰色に滲んで 小さくなる
誰も開いたことのない 図書館の古びた新刊書
端末はいつもいっぱいで 書物は忘れ去られる


早朝のバス停で 
凍えながら待っている
 ....
まだ蕾とも見えない 小さな突起の
春を待っていた梅の枝は 雪の重みに折れる
うららかな鳥の声を聞くこともなく
清冽な香を漂わせることもなく


淀みに映った空は 日に日に冷たく
緩や ....
秋の長雨 落ち葉を濡らす
行き場のない 人知れず孤独な
悲しみの樹 痩せた枝先に
溜まる涙に宿った光 いくつも


泡沫になる 紅蓮の炎
静けさの夜に 音もなく揺らめく
穢れた肉を ....
あたしが思っているものと
きみが思っているものが
違っていた すれちがい
埋められない 深い谷?

着る服の好みも
好きな映画のトーンだって
ほんとは違っていたのに 
嘘をついて  ....
キャベツを刻む 0.5mm できるだけ薄く
手間と時間がかかる 何のために?
きみが喜ぶ顔を見たいだけ ウソつきのあたし
なけなしの時間を使う理由があった


小さく手を振った 改札か ....
「6月に脇芽を差しておいたら大きくなった」
根元は気の毒なくらい細いのに 上は梅雨時のよう
緑の実をいっぱいつけて 木枯しに揺れている
他の作物は枯れ果てて 掘り返された畑の隅に


 ....
きれいな人が 大きな昆布の束を抱えて
ピアスの石が イルミネーションに煌く
街のざわめきの中で 抱えなおした昆布の音が
雪が舞っている 北の海の潮騒に重なる


あたしは帰りに寄ったス ....
夜明けの淡い光が ゆるやかな
丘の木立を 悪夢から救い出すとき
白い衣の少女たちが 透明な微笑を
ローリエ樹の 木末の葉先に 露を宿す


遠い思い出に浸って 白い午後は
菜の花畑の ....
スーパーの袋にいっぱいのみかん
向かいの席に座ったおじさん
着いた駅のホームで倒れた
淋しかった夜更けのホームが
めいっぱいの 太陽の色にあふれて 


スマホで救急車を呼ぶ人 
 ....
存在の不安を癒すはずの
名も知れず 闇から生まれ闇に去る運命の
生者よりも はるかに数多い死者を看取った
神が それを許したのか?


大好きな町が 罪のない血に染まった  
夜が真 ....
静まった水の鏡に ラムプの炎揺らめく
消え残った恋の余韻 燃えつきるまで
髪を撫でていて もう一度連れて行って
きみを振り向かせて 繋ぎとめたい


夜半にふと目が醒める 夜翔ぶ鳥の声 ....
窓ガラスに張り付いた もみじがはがゆい
暖炉に火を入れた午後 雨はやまない
あなたを待っていた 知らない間にうたた寝
溝に吹き溜まった 心の破片はまだ紅い


冷たい秋の雨は 落葉を急 ....
虫の音が止んだ
誰かが あたしの名を呼んだ
そんな気がして 振り返る
杉木立の陰から 雌鹿の目が見ている


闇の中に去っていく人に
かける言葉は いつも
木枯らしに引き摺られて  ....
誰かと口をきくのも嫌だった1日
夕陽に照らされて石畳を登る 淋しさに会いに
前を行く人の影を踏んで 後ろは振り向かない
そこに 幸せな顔があると 嫌だから


半分乾いてしまった 冷凍 ....
気がつくと誰もいない 音楽も止んでいるのに
あたし独りだけが 踊り続けている
誰かに見られていることが 心地よかっただけ
あたしはダンスなんて 好きじゃなかった


目覚めたとき 空に ....
バス停から歩き出した 暗くなった歩道に
街頭に照らされて 燦然と 
一本だけ落ちている 大根の葉っぱ
ベビーカーを押す母親が スーパーの袋から落とした


午後7時 今ごろぶり大根にな ....
茶色く疲れ果てた蔓の途中で 朝顔の紅は
夏の追憶の中に留まろうと もがいている
枯れ急ぐ葉に抗う 小さくなった花は
冷えた朝露に濡れて うなだれる


永遠への憧れは たそがれて切なく ....
淋しさ悔しさを 酔いで溶かして
くすんだ裸電球に 大声で話しかける
焼き鳥の煙で 茶色くなった品書きは
扇風機の風にめくれ上がって 読めもしない


いろんな失敗をして 涙も流れたけど ....
金属光沢を放つ 一枚の直方体が
荒野に立っている 寒風が吹き抜ける
怒りに任せて 猿人が草食動物の大腿骨を打ち下ろす
粉々に砕けて 寒風に散る頭蓋骨


叫びは 直方体に反響して 増幅 ....
気まぐれな風が 鏡の水面に木の実を落とす
広がる波紋は 臆病な栗鼠の目に少しの不安を
それでも 冬支度の手を 休めることなく
すぐに静まって 平穏になるとわかっているから


羊飼いの ....
一晩で覚めた酔いは 何も残さず
それなりの仮面を被って 朝の光にびくともせず
生活者としての仕儀で 感謝されてみたり
立派な人間は そもそも詩を作ったりしない


後ろめたさを糊塗する ....
季節は容赦なく 黄昏を早める
暮れなずむ街頭に キャバクラの呼び込み
ラインを際立たせる タイトなミニのワンピースで  
道行く仕事帰りの おじさん達に声をかけている


下心に乗っか ....
深い森の中を彷徨っていた あの頃
草木の名も 花の色さえも知らないで
認識は ぽっかりと開いた陽だまりの草地に
唐突に現れて 「境界」 を教えた


黒い雲の切れ間から洩れる 血のよう ....
群竹を抜けてきた風が 木戸を開けた
重い飛行機雲は 丸い山をかすめてたなびく
TVでは 認知症の軍事評論家が勝手なことを喋り
狭い路地の向こうから 野菜売りの声が届く


ご先祖様 ....
熱い日ざしが 爽やかに木の葉を青く染める
夏休みになって 少し賑やかになった
迷惑なような 嬉しいような顔
普段は老人ばかりの 閲覧室の空気

戦争中のことを書いた本を広げて
いつかの ....
遠い夏は旅の果てにある 汽車が鉄橋を渡って
青い駅に着いたら スカートを翻し
湧き上がる雲を見上げて 目を細める
見慣れた飛行機雲が 交差する


引込み線には 背の高い雑草が風に揺れ ....
風だけが 通り過ぎていった 
時計は止まったまま ベッドの上に
白い部屋の窓辺に 深紅の薔薇が
赤い影を落とす 花瓶の陰で


黒猫が身を伏せて 狙っている午後
死んだ蜂の羽が虹 ....
北大路京介さんの藤原絵理子さんおすすめリスト(174)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
時雨に- 藤原絵理 ...自由詩416-2-9
東風- 藤原絵理 ...自由詩516-1-31
天秤- 藤原絵理 ...自由詩6*16-1-27
つとめて- 藤原絵理 ...自由詩6*16-1-24
冬の香- 藤原絵理 ...自由詩616-1-19
流れる- 藤原絵理 ...自由詩516-1-11
結婚- 藤原絵理 ...自由詩6*15-12-26
夕焼け- 藤原絵理 ...自由詩5*15-12-10
12月のミニトマト- 藤原絵理 ...自由詩615-12-4
グルタミン酸- 藤原絵理 ...自由詩13*15-12-2
日曜日- 藤原絵理 ...自由詩715-11-30
みかん- 藤原絵理 ...自由詩10*15-11-27
虚構の大義- 藤原絵理 ...自由詩5*15-11-21
朝けの袖- 藤原絵理 ...自由詩515-11-16
夢と知りせば- 藤原絵理 ...自由詩7*15-11-13
あくがれ出づる- 藤原絵理 ...自由詩6*15-11-8
深まる秋- 藤原絵理 ...自由詩4*15-11-2
希薄な1日に- 藤原絵理 ...自由詩4*15-10-30
落し物- 藤原絵理 ...自由詩7*15-10-14
秋の日に- 藤原絵理 ...自由詩4*15-10-10
立呑み屋- 藤原絵理 ...自由詩5*15-10-8
名辞以前- 藤原絵理 ...自由詩5*15-9-26
あたしの平和- 藤原絵理 ...自由詩14*15-9-24
驟雨- 藤原絵理 ...自由詩7*15-9-15
雑踏に- 藤原絵理 ...自由詩6*15-9-13
言葉より前- 藤原絵理 ...自由詩6*15-9-7
送り火- 藤原絵理 ...自由詩615-8-20
木曜日の図書館- 藤原絵理 ...自由詩515-8-15
入道雲- 藤原絵理 ...自由詩915-8-13
静かな午後に- 藤原絵理 ...自由詩715-7-17

Home 次へ
1 2 3 4 5 6 
すべてのおすすめを表示する
推薦者と被推薦者を反転する