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砂
私は砂。
水を含み、泥となって、
いつか形にならねばならない。
砂。
茫洋と昔の空を思い出す。
空はいつでも高くて、
私は不自由で。
とても自由だっ ....
つまびく。
つまびく。
とおい音がする。
海辺の砂の、さらさらという音にも似ていて、
夕闇の中、季節外れの蝉が最期の力でうたう音にも似ていて、
それでい ....
恋をして綺麗になってまた泣くね
気のせいかあの子の声がこだまする
フラれてはヤケ酒飲んで会社行く
彼岸花私の恋を浄化して
あの花の名前忘れて久しきは
....
触れられない
ウミガメの産卵をはらはらと見つめるように
あなたの泣き顔を見つめる私です
あなたは苦しんでいるというのに
私はあなたに触れられない
透明なのです
朗々 ....
はるうらら
うららかなひる
ひるよりねむる
むさぼるあいぶ
こいこいあい
さみしいひとよ
ぼくとつ
一人のぼくとつを見た
五十手前のぼくとつは
頭を低く低く下げ
ただ芸を身に付けようと
足掻いておられたもくもくと
「芸を極めるか
家族を愛するか ....
雪の日に
しんしん積もる
雪の日に
私の命が降りてくる
私の分身
私の死体
しんしんとしんしんと
降りてくる
懺悔と
嘲笑と
甘えと ....
とうへんぼくが
ぼうっと立っている
とうへんぼくは
とうへんぼくなので
なにも考えていない
ぼうっと立っている間にも
鳥はさえずり
人ははたらき
とうへんぼくは
ぼ ....
あざみ嬢の物語
「老人たちは言った。」
あざみ嬢あざみ嬢あなたの刺は危険。この麻を被っていきなさい。
あざみ嬢あざみ嬢あなたの刺は危険。このフードを被っていきなさい。 ....
なああんた。
私を舐めてるだろう。
なんで舐めてるんだ。
怒ってない。
ただ知りたい。
私のどこがきにくわない。
あんたのどこにひっかかった。
私はあんたが知りたいんだ ....
ふるさと
ボロい屋敷に住んでいた
トイレは暗くきしんでいた
兄弟は男ばかりで遊んでくれず
ふくれっ面の幼年期
母さん亡くなり
通夜をした
皆で囲って語り合う
....
まことしやかに伝わる嘘を
信じてただただ突き進んでた
貴方の背中を私は見てた
貴方の涙は見えなかったわ
私は貴方を失って
ぽつねんと一人立ちすくんでた
叫んでは獣に気づかれ ....