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遠く
離れたままで
聴こえない
聴くことのできない
あまりにも
薄くのばされた夜
わたしたちは
南回りでまたたいている

天球儀は
魚眼レンズに切り取られ
森の陰影に
ふりがな ....
(瞳をもたない
(いきものの
(においがする

夏が
眠りにつくよりも
早く
底辺の夜は
その
密やかな手のひらを
ひらいてゆく

仄かにひかる土のうえ
満たされない
季節 ....
(夢をみて 過ごす)
(夢だけをみて 過ごそうとおもった)


7月10日

よしくんが 蝉の抜け殻の中に
ねり消しを詰めて
ブロック塀の上に置いていた
きっと
中身がある
て  ....
駅前に
アーケードの架かった商店街がある
八割方の店舗はシャッターが下りた状態のまま
今やその役目を
郊外型の大きな店舗に奪われてしまった

下野薬局の前の
排気ガスで煤けてしまっている ....


風の強い日 姉さんは洗濯物になる
海からの風は 姉さんを裏返したり表にしたりする
はたはたと身体の鳴る音にいちいち反応しては
子供みたいにはしゃいでいる
時折 砂混じりの風が当たると ....
やさしい体温を
手放した
幼い夕ぐれの あわくひろがる
虹彩のふちで

一日中
なんにも
口にしていなかった
なんて
いのりのことばみたいに
くりかえしては
いちまい いちまい
 ....


あおい夜のシナプスが
ピアノ線のよう

音もなくしのびこむ
月の影

月は ぼくを
しらない
ぼくも 月を
しらない






風のない夜
オオミズアオ ....
わた飴を頬ばる
浴衣の肩越しで
はちみつ色に ほころぶ
花のゆくえを
やさしく見つめている


ラムネ壜の底で
眠っている夏を
起こさないように
そっと
指をつなぐ
きみの輪郭 ....
嘗て
王国があったとか
そんな話を
あなたの中耳に
棲みついている
遠浅の潮音が
夜毎
瞼の上の白い渚に
刻みつけようとするのだけれど
水分を含んで
重たくなった夏服を
わたし
 ....
蝉の話を
してあげよう
焦がされるまで
力のかぎり

蝉の話を
してあげよう
身体をふるわせ
夏を生きる

きみを
やさしく包みこむ
ていねいな
風通しのよい
午後の産着の ....
上塗りされた夏空の
組まれた手の
ゆびの
一本一本が
解かれてゆくように
光が
そこかしこに
ばらまかれ
熱を分けあう潮騒が
とおく
攪拌されてゆく



カンナの花が
 ....
ゆらめいている
薔薇沿線のかたわらで
白い女の子たちの
折り目正しい
プリーツの

祈りの姿勢はいつも
夏うまれの呼吸をついばんで
ひまわりの瞳の高さまで
つん と
背のびする
 ....
覚えたてのシンカーの握りかたで
深く沈んでゆく
午睡

サイドハンドスローで
手渡された
ワンナウトランナー
八月二十日

野球帽のひさしの影に
そっと触れる
オーシツクツク
 ....
(波が、足もとで。)

うまれたばかりの波の子らが
ころころと笑いあう
くるぶしの
ちいさな砂が
星のかたちの足あとをつけながら
ひそやかにのぼってくる
ふくらはぎの

わすれてし ....
夕方になっても
蝉が鳴きやまない

うちの玄関先にある蝉スイッチは
OFFにしといたはずなのに
いつの間にかONになっていた
(ヒグラシスイッチなら歓迎するけどクマやアブラは勘弁してほしい ....

潮の香が
心地よくいざなう午後は
大抵の白い壁に
透明のバス停が浮き上がっていて
そこには潮流の到着時刻が

【珊瑚時】
【シオマネキ分】
【ゾエア秒】

海洋性の点字で記さ ....
・とおざかる足おと夏の水際でちいさな眠りをゆりおこすひと



・水の背に日焼けの痕を押しあててあお向けで渡る鵲の橋



・夕立をひと粒ひと粒ひろいますあなたのうたのきこえる渚で
 ....
爪先で弾く夏
くちびるに影法師
背中のロンド
ラムネ壜に閉じ込めて

水の匂いのする靴音
いいえ あなたの声色
雲間に擬態する日だまり
いいえ あなたの胸元

飛び跳ねた水の中 ....

わたしの水筒は
風邪をこじらせて
夏がくる前に
しんでしまった
(ヒマワリのたねを四粒入れて
からからと振ってやる)
からん
からん
からん
からん
(あっけないほどのあ ....

けたたましい山羊の蹄が頭上を通過する
夕べの取引先からのメールが
全て獅子唐に変わっていた朝だ
二、三日前から不穏な空気が送電線を伝って来て
この朝の微睡みの中
それは形づいていったん ....
そうだ アフリカへ行こう!!

そう言って父が
長年勤めていた会社を依願退職したのは
定年への秒読みが開始された
梅雨の明けきれない
じめじめした蒸し暑い日だった
それ以来
キッチンに ....
「夕凪」

遠い昔
粉々になった水平線が
白い海鳥に姿をかえました

白い海鳥の
さいごの羽ばたきで
のばされた夕凪で
ひきよせられる
白い骨



「内緒」

わたし ....
しぶきをかけぬける
ふくらはぎの
まあるい
着水点

夏の鼓膜に
そっと
折りかさなる
六月の
ふやけた骨格を
並べかえる

君は
雨だれに
擬態したまま
あじさいの葉脈 ....
「水の中の六月」

錆びた鉄の味のする手摺を伝って
空っぽの水槽を満たそうとする早朝
浸水された浴槽の縁を滑らないよう歩く
生まれた時から水に溢れていた




「駆け落ち」

 ....
水の匂いのする
あなたの
指先の和音で
おどりだす
初夏の背表紙は
水溶性の文字たちの
ぽつぽつと吐き出す気泡で綴じられてゆく


垂直に
落ちてくる六月の
浸透してゆく
素直 ....
一.

雨あがりの きみの靴は
つま先が いつも
虹のうまれる方角を ながめている



二.

黄のバイエルを
途中でなげだしてしまった
きみの
メゾピアノで吐く息が
ス ....
湿り気を帯びた水曜日の午後
回し忘れた回覧板の中で
『実りある都市計画~その概要』のパンフレットが
気まずい折り目をちらつかせながら
遅々として進まない事業の行く末を気に病んでいる

テー ....
春のみちしるべが
ぼんやりと
さくらいろにほどけて
くるり

かすかに温む指さきを
ひきしおの隙間に
おきわすれ
どこへゆくのか
しおさい

水平線の午睡
波の ....
北大路京介さんの佐東さんおすすめリスト(28)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
秋の耳- 佐東自由詩1213-10-7
九月の子- 佐東自由詩813-9-30
いつかの夏の日記_みたいなものあれこれ- 佐東自由詩1113-8-10
涼をとる- 佐東自由詩513-8-8
岬の家- 佐東自由詩10*13-8-7
flower- 佐東自由詩5*13-8-2
月影/あおい印象- 佐東自由詩7*13-8-1
夏の夜/花のゆくえ- 佐東自由詩7*13-7-27
伏流水- 佐東自由詩8*13-7-26
蝉の話をしてあげよう- 佐東自由詩8*13-7-24
夏の影/素描- 佐東自由詩9*13-7-21
ゆらぎ/夏- 佐東自由詩10*13-7-20
クロスプレイ/八月の秒針- 佐東自由詩5*13-7-19
七月砂丘- 佐東自由詩8*13-7-18
蝉スイッチ- 佐東自由詩8*13-7-16
海まで遠く離れている- 佐東自由詩7*13-7-11
a_Distant_Shore- 佐東短歌2*13-7-8
mermaid- 佐東自由詩10*13-7-6
夏の日めくり- 佐東自由詩10*13-7-4
どろたぼう- 佐東自由詩9*13-7-3
アフリカ- 佐東自由詩12*13-6-27
引き潮/あとさき- 佐東自由詩12*13-6-26
海の六月- 佐東自由詩8*13-6-20
六月の朝に寄せて- 佐東自由詩11*13-6-19
水辺で暮す- 佐東自由詩14*13-6-17
初恋- 佐東自由詩11*13-4-21
at_the_zoo- 佐東自由詩4*13-4-17
海の四月- 佐東自由詩8*13-4-4

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