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出会い頭の事故というのがある
この狭い家にも

トイレのドアを開けると
出会い頭の事故にあう

風呂に入ろうとして
ドアを開けると
その人はいつもそこにいる

襖を開け ....
今日の雄物川河口は、
ふだん海ではないところも海になっていて、
早々に退散してきました。

海はとても情熱的な生き物だ。

昨日は愛していると言っていたのに、
今日は殺してやると言っている。
お金持ちの子供で
休日のたびに
他所にクルマで
親に遊びにつれていかれた

月曜日
学校に行くと

どこにも遊びに
つれてもらえなかった
友だちがいる

親が仕事で ....
三年前、秋田に帰ることを決めた日にも、父は空に現れた。
辰年生まれの、亡くなったはずの父が、夏の空に浮かぶ、龍の形をした雲になって。
それから三年後の今日も、父は空に現れた。
一度だけ、雷の音が ....
なんだろな
被災地つらかろに
思って見てたら

こっちも同じ
つらさがあるよ
と思いはじめていた

だから
そこにいたら
あかんよと

いつしか
おしえられる立場 ....
新しい財布を買ってから
不思議なことに
お金に困らなくなった

迷信かもしれないけど

新しい財布を買ってから
人でなしになることもあったけど
人になることもできた

 ....
死んでみてわかった

あの世の消費税は
100%なんだよと
父が逃げるようにこの世に帰ってきた

それが私の息子だ

あの世でも
何かを消費しなければ
生きていけないら ....
妻に物をプレゼントしたことがない
物より思い出ばかりプレゼントしたからだ

それでも妻は物がほしかったようで
時々古ぼけた腕時計を指差すこともあった

あの世でね
と私は言った

私 ....
 
 
秋田に来てはや二年。気がつけば、すっかり美人慣れしてしまった私がいる。逆に言えば、美人慣れするには、二年も要するということである。これはたいへんな試練である。
美人を見ても動じない。読者 ....
人は殺しあった
動物も殺しあった

植物もまた
日向と日陰に生まれ
殺しあうつもりもなく

日陰の植物は死に
日向の植物は育った

人は人を殺すために
生まれてきたの ....
ペットショップで
赤ちゃんを買ってきた
うまく育てれば二十年生きますと
ペットショップの人に言われた
赤ちゃんはかわいかった
けど次第におとなになって
すねたりして
おとなし ....
こどもとさんぽしてると
へんなところでそだってるよ
とおしえてくれる

おとなにみえないものが
みえるんだね

きになって
しかたがないんだね

おとなにみえないもの
それはみえないのではなく ....
 
 
職場に行くと
体臭が匂うと言われる

みなマスクをしている
それほど匂うらしい

家に帰ると
息子が帰りを迎えてくれる

お父さん、臭いか
と尋ねる

息子は
う ....
商人だった父が
売り場に行くたびに
まだ高い
勉強が足りないねと
売り場の人を困らせていた

その日から
足りなかった
売り場の人の勉強は
進化していった

その進化 ....
富裕層も貧困層も
ギャンブルに
夢中になっている

働くことで
お金を得ることが
当たり前だった時代
街は輝いていた

人の笑顔も輝いていた
悲しみもまた
気持ちを希 ....
子供が眠りたがらないのは
今日という日の人生を
終わらせたくないからだ

今日は放課後
お友だちと遊んだけれど
お父さんとまだ遊んでいない
お母さんとまだお話をしていない
 ....
 
 
豆まきをして鬼を追いかけているうちに
私は鬼に追いかけられていた
どこまで行っても鬼は終わらない
だから私は追いかけて
追いかけられながら
ひとつの時代を走りぬけることにした
 ....
子供が育ってくると
この世に未練がなくなっていく
休日は外食したいとか
趣味をまたはじめたいとか
生きてるうちに
一度は海外に行きたいなとか
昔あったはずの欲望が
次第に枯れ ....
 
 
日本が軍隊を持つか否かの議論において、先進国の多くが軍隊を持っているのだから、日本も持つべきだ、という論があるのだが、それについて少し話しておきたい。
まずはじめに、日本は世界の防波堤で ....
毎晩ネットで
ばかなことばかりつぶやいてると
ばかな女があつまってくる
あたしのばかを
代弁してくれてありがとうと
ご丁寧にお礼をなさる
みなりっぱな
女のひとばかりなのだ
 ....
夫婦喧嘩しながら
酒を飲む

楽しい酒ではないけれど
つまみのイクラを
一粒一粒舌で潰しながら
時が過ぎていく

その一瞬にも
互いの言い分が述べられて
これは生きてい ....
 
 
樹木のセミヌードに歓喜する
セミヌードの樹木たち
きっと葉っぱが衣服なのだろう
じゃんけんで負けた方から
一枚一枚脱いでいく
かつて人だった頃
そんな大人の遊びがあった
フル ....
 
 
ことばは
しょうじきなのだ

できないときは
できないと
わたしにいわせる

むりなことは
むりだと
わたしにいわせる

わたしよりさきに
いきものなのだ
ことば ....
 
 
昔、秋田の実家を出て、仙台で暮らしはじめた時に、父が大切にしていたラジカセを、私にくれた。
私は、父のラジカセを、しばらく使っていたけれど、CDプレイヤーもついてなかったので、時代の流れ ....
そのタイムマシンに
乗りこんだなら
盆正月で
それぞれ一週間だとして
一年に十四日しか
家に帰ることができない

十年で百四十日
ゴールデンウイークを含めても
一年に満た ....
わたしがこの世に生まれた
次の瞬間
ご注文はお決まりですかと聞かれた
わたしはニシン蕎麦を注文した
ニシンも蕎麦も
食べるのははじめてだったのに
へいお待ち、と言われて
ニシ ....
道ばたに金メダルが落ちていた
近くにはテレビも落ちていた
少し離れたところに
金メダリストも落ちていた

それらを拾って
交番にとどけると
お巡りさんがテレビを見ながら
感 ....
お金を数えていたはずなのに
気がつくと
銀行の人は星を数えていました
こんなにたくさん
どうやって集めたんですか
と尋ねるので
生まれた頃からあったと言いました
使いきれない ....
不意に、息子がおれの手を握った。

思い返すと、おれが父の手に触れたのは、三回、その時を、今でも鮮明に覚えている。

はじめて父に、釣りに連れて行ってもらった時、土を掘って、ミミズ ....
バスが来たと思ったら
ゴミ収集車だった
待っていたゴミを
ひとつ残らず乗せていく
収集されずに残されたわたし
ふたたびバスを待ってると
停車せずに走り去っていく
ゴミ収集車が ....
梅昆布茶さんの小川 葉さんおすすめリスト(43)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
出会い頭の事故- 小川 葉自由詩716-5-4
- 小川 葉携帯写真+ ...715-5-7
街に帰る- 小川 葉自由詩414-11-13
メッセージ- 小川 葉自由詩514-7-14
せやな- 小川 葉自由詩914-5-9
新しい財布- 小川 葉自由詩12*14-5-3
消費税- 小川 葉自由詩714-4-2
ロマンス- 小川 葉自由詩414-3-26
美人慣れ- 小川 葉散文(批評 ...1014-3-16
一瞬の、平和- 小川 葉自由詩614-2-24
天寿- 小川 葉自由詩813-7-2
へんなところでそだってる- 小川 葉携帯写真+ ...713-6-18
加齢臭の季節- 小川 葉自由詩6*13-4-23
勉強- 小川 葉自由詩613-3-9
ギャンブル- 小川 葉自由詩613-3-6
夜更かし- 小川 葉自由詩1313-3-4
節分- 小川 葉自由詩913-2-3
命のリレー- 小川 葉自由詩14*13-1-29
防波堤の軍国論- 小川 葉散文(批評 ...4*13-1-12
ネット詩- 小川 葉自由詩713-1-8
夫婦喧嘩- 小川 葉自由詩1212-12-20
樹木のセミヌード- 小川 葉自由詩7*12-12-5
ことばはいきもの- 小川 葉自由詩1112-11-29
父のラジカセ- 小川 葉散文(批評 ...612-11-25
上京タイムトラベル- 小川 葉自由詩412-8-29
注文- 小川 葉自由詩412-8-26
オリンピック- 小川 葉自由詩5+12-8-6
星空銀行- 小川 葉自由詩13*12-6-28
父の手- 小川 葉散文(批評 ...612-6-23
停留所- 小川 葉自由詩212-6-5

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