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昼下がりの雨の中で
ザクロが割れる
唇に指を立てて
ぼくは泥を踏んで歩く
それから 傘を振る

とても暑かった(その部屋は)
死にゆくものも
生き行くものも
ひどく暑い
後ろの席で ....
向こうの林の梢の上に
三角からすを止まらせて

昨日のぼくの ろくでなし
あしたに恃む すべもなし

雲にまかれた梢の陰に
三角からすを潜ませて

(三角からすっていうのがいるんです ....
前の家のばあさんが死んでしまった
腰より低く背を曲げた八十いくつのばあさんだ
息子夫婦は遠くに住んで
干からびたみたいな平屋に一人で住んでいたが
隣近所に迷惑のかからないように
死んだら近親 ....
一週間ぶりの晴れ間に
花を買った
鉢植えの冬薔薇
台所のテーブルに
水を与えた

〈閉塞く冬となる〉

短い初冬の晴れ間をぬって
銃を買った
実弾百発合わせて二万のコルト
ちょっ ....
銀のジュラルミンケースに
細く口を開けて待ち構えるなにか

 じゃあ あたしから
 若いころのあの人と撮った写真
 大事にとっといたんだけど
 ね 白黒の いいでしょ 気に入ってんだ
  ....
一分一秒も休まずに
詩を書いているわけでもあるまいし

詩を書いてる時間なんて
書いてない時間の何分の一
何十分の一
それなのに
詩をやめた
なんてことがあるだろうか
詩を書いて
 ....
水をお飲みなさい

彼女は言った
黄昏の重い扉の手前に立って
指先をしっかり伸ばして
振り返りながら

水をお飲みなさい
と 彼女は言った
この町は
たっぷりの水が流れていく町だ ....
わたしのかわいい人
眠っているのか
死んでいるのか
肩だけで息して
しわを数えて

わたしのかわいい人
雨空はきらいだって
雨空が切れて
切り口に青空が光るから
それだけでぼくは雨 ....
ひとりぼっちの女の子
机に前髪が落ちそうだ
あともう少し
針先ほどで届かないあなたの言葉のように
寂しさが髪の先に
しずくをつくっている

秋の薄日が 山の稜線にも
乗り捨てられた車の ....
穏やかな秋の一日
その暮れ方 テレビ越しに眼を凝らして
日の丸に敬礼
しようとしたときに 虫が
灰色の繊毛の生えた虫が 少女のお下げの髪に虫が
這っている こんなこともあるものか
それを払 ....
長く患っていた父が死にました
お通夜の部屋に潔い木の香りが流れました
父は長く一人だけの眠りを眠り
お線香はくるくると回っていました

わたしたちはチョコレートを
食べました 金色の銀紙を ....
疲れ果ててしまった初老の男と
似たように疲れた女の
話を聞いてみることにした
それはとても
たわいのない話で
海苔せんべいをかじる間に
忘れてしまってもいい話である
それを
聞いてみた ....
だれかぼくに
長い手紙をくれまいか

すっぽり暗いすり鉢の空の底
吹雪のあけた だだっぴろい広場に
まんべんなく雪は敷き詰められて
だれかが夕暮れの紅いろうそくを吹き消す
すると
取り ....
ぼくが生まれた日
今年のように
雪が物憂く降っていた
崩れかけた柱の根
巻き上げる夢の枝先

曇った窓に頬杖つくと
埋もれる氷の柱が
幾本も並んでいた
ぼくは泣かなかったけれど
指 ....
霜月の末
義母が逝きました
筋肉が次第に衰えていく病で
手足も口も思うにまかせないままの死でした
目だけがよく動いて
さびしさとうれしさを伝えていましたが

妻は静かに泣きました
義妹 ....
車のドアを開けて
アスファルトに降り立ち
ゆっくりと
夕焼けを踏む

夕焼けについて書こうと思う
古びて傾いた夕焼けについて
それは人通りのなくなった街道の
傍らに立つ廃屋の壁に
擦 ....
信号の前で車を止める
「スリップ注意」の看板

今朝も家を怒鳴って出てきた
(胸がざわつく)
見慣れた通勤路
消えていく感傷
たたずむ白い看板「スリップ注意」は
いつものお立ち寄り
 ....
北大路京介さんのオイタルさんおすすめリスト(17)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
ザクロのように- オイタル自由詩7*15-12-4
三角からす- オイタル自由詩9*15-11-28
前の家のばあさん- オイタル自由詩7*13-6-1
台所の防衛- オイタル自由詩7*12-12-15
美しき投票- オイタル自由詩5*12-12-15
詩人の退職金- オイタル自由詩5*12-3-10
水の町の女にさようならを言われる- オイタル自由詩1411-12-27
わたしのかわいい人- オイタル自由詩611-11-20
ひとりぼっちの女の子- オイタル自由詩8*11-10-15
日の丸に敬礼- オイタル自由詩5*11-10-8
つや- オイタル自由詩6*11-9-17
それは詩か- オイタル自由詩6+*11-7-16
ぼくに手紙を- オイタル自由詩11*11-2-10
ぼくの生まれた日- オイタル自由詩12*10-12-31
霜月の末- オイタル自由詩5*09-12-14
夕焼けについて- オイタル自由詩12*09-9-19
スリップ注意- オイタル自由詩5*08-9-20

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