私はひとみしりだから
貴方はシャイだから
なかなかことばを交わせないね
たまたま目が合ったその一瞬に
私は貴方にたくさんのことを伝えようとしているけれど
私は目がわるいから
貴 ....
本は絶対に怒らない先生
解らないのを怒らずに
読み返しさえすれば
何度も根気よく教えてくれる
だけど絶対怒らない代わり
間違っていても正してはくれない
それは生きている先生じゃないと
....
バーガーショップで働けと強要された
北米の留学先で
バンズにレタスとトマトをはさむ時
どうしてもケチャップが包み紙に付いてしまって
その度先輩に怒鳴られていた
ガールフレンドと来店し ....
つながらない
不安
つながることの
難儀
削除できない
発信着信
とり返しのつかない
関係性
つながらない
優しさ
つながることの
厳しさ
独りでは生きられない ....
雨上がり
秋空高く 舞うトンビ
のどかで いいねぇ
生き急ぐ勤め人が ふと見上げて立ち止まる
゛自然界の時刻表は ずいぶんスカスカだなぁ゛と
木の枝に止まってぼんやりするのに 口実なんて ....
庭の木から飛び去った蝶が遠い外国のビルを倒した
思惑はTVの中できりきり回る
顔のない人たちがこっちを指さして笑うんだ
誰も気づかないうちに背後に忍び寄る真っ白い影
国土を狙った死神が鎌を振りかざし ....
さらさらとせせらぎ
さびれた散歩道
からからと風ぐるま
隠れた木の葉
深々とした静けさ
寂しく晒されるもの
こんこんと浮く言葉
濃く強く焦がれる
咲くものかはさてお ....
肩上から指先にむかってながれる一本(くだ)を
ふき こすり たたけば
装置はあやしく
黄昏もする
段々畑にくみあがる椅子に 沈み
ホールそのもの
の
しずくのような響体構造が 浮く
....
わたくし この秋
襲名いたしました秋明菊と もうします
いえ 裏なぞ ござません 正月を飾る裏白のように
裏は 白でございます 暗躍者のみなさま おひけいなすって
裏は白でございます。表 ....
秋の風がやってきて
酸素をたっぷり運んできたので
僕はなんとか息をもちなおしたのだった
空は高くなったので
僕の周りの空間も広がった
圧迫と窒息からまぬがれて
今またわずかに力を回 ....
暑すぎた夏が終わり
賑やかだった蝉たちも死に絶えて
地中深く 沈黙の蟲となる
キャンパスに描かれた
自画像は完成されないまま
白く埃を被っていた
数々の葛藤が わたしを苛んで
....
愛しい猫が死んだ
肯定できない
否定したい
剥製にした
でも愛しい猫は帰らない
サイボーグにした
でも愛しい猫は帰らない
心にぽっかり開いた穴は
何をしても戻らない
週五日希望ですが
あとの二日こそが希望です
そんなもん
人を幸せにする幸せを
知っているあなたよ
ありがとう
あなたのおかげで
この社会はやさしい
それでも
しあわせな人生な ....
昼下がりの人気の少ない公園のテーブルで
ノートを広げ
考え込んでいる様子
まさか遺書でないでしょうね
まだまだ若そうな女性の人差し指が
あごを支えて止まっている
見知らぬ人だか ....
ザアー ザアーッと
出しっぱなしのシャワーの音
激しい雨が 大地を撃ち付ける
街も木も人々も
礫のような雨の洗礼を受けている
この雨がどこまで続くのか分からないが
雨の空間に閉じ込めら ....
凍てつく世間の中で 燃え尽きてしまうだろうと 誰か云ってた
ハートの中のホットスプリング 枯れ果ててしまうだろうと 誰かが云ってた
身を寄せ合って生きる
絶望の世代
冷ややかに見つめる
生み ....
朝
つめたい交わり 踏切だけで三十の詩が書けるという人は
亡霊のような突き指をする
昼
エール飛び交うマウンドで少年たちの夢を食べる獏は
消化不良で怒り目になる
夜
お菓子をどう ....
熱帯夜が明けた
翌朝の駅前通り
ハンカチを頬に押し当てながら
駅へ向かう街路樹の下に
無数のセミが落ちていた
電車を気にする私や
数歩先を歩くYシャツの人の
慌ただしい靴音が ....
あいてますか?
愛してますか?
愛らしいかのじょはいますか?
昨日は何か新しいかなしみを見つけましたか?
約束は
履行されましたか?
何よりもあなたがしんぱいです
お ....
春の朝 世界がすべて色あせた
立ちすくむ 自分の夢を忘れはて
病名は 自律神経失調症
現れた 分厚い壁に 阻まれて
気違いと 蔑む親から逃げ出した
立ち並ぶ 段ボールの街の ....
また一つ仕事を投げだして どうせクズさと吐き捨て
さっさと歩き去った
夢と野望だけはやけにでっかくて
あの子との誓いを忘れるくらいに膨らんで
身体一つでぶつかっていって 見事粉々に砕け ....
顔文字と にらめっこする 昼下がり
思わぬメール ほくそ笑む我
聴こえますか 聞こえますか
私は一定軌道を回る孤独な人工衛星
何千回もつぶやいた孤独な詩
誰かいますか?
答えのないまま問い続ける
誰かいますか?
地球と言うゆりかごの外に ....
貴方が囁く愛の言葉なんて
もう要らない
それが真実のものだなんて
思わない
切れる寸前の蛍光灯のような
途切れ途切れの白い光に手を伸ばす
この耳に届く頃には
誰かのノ ....
氷の塊となった麦茶を
24度の室内でゆっくりと溶かしていく。
一滴一滴の水滴が、
麦茶の表面を伝わり落ちて、
冷たい水の姿に戻っていく。
一つの滴が氷を伝うたびに
静かな部屋の中で ....
ある日 ふと目覚めて 当てなき旅に出る
見送る者はない 道連れは影法師
そして君に出会い 共に語り合って
癒えない傷を見た 微笑みの裏側に
はるか遠く 旅に出かけよう 心のおもむくまま ....
違う/同じ
全ては前提条件のうえに踊る
ラグランジアンはお好きですか
aとbが群のなかで情熱的に僕を呼ぶ
彼らとは虚数にちかい関係
負にならなくたっていいのに
....
踏み出せず 躊躇する君の背中を{ルビ戦=そよ}がす 小粋な潮風
金の入日に 繻子の黒
金波 頭上に おわします
思えばオーロラ 光のループ
金の入日に 銀の水輪 ゆれる人蔭 金輪奈落の水際の
あのかた あちらに いらっしゃる
昼間 ....
街が正常の仮面を被るなら
僕は異常の素顔をさらす
君は異常な僕に守られ
正常な君は病む
言葉とは誠に
都合のいいもので
みてくれだけでは
脳内までは探れない
何 ....
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