安美錦
アミニズム
あれはクビライ・ハンの来襲だったのか
心技体
やおろずの神々に祈りを捧げ
丸い土俵の上にあるものを
観音菩薩。弁天様。
ご利益いかばかりであったとしても
女人禁制
....
早くはじめなきゃ
悲しみのレッスン
早く覚えなきゃ
忘却のレッスン
傷がまだひりひり痛むけど
ほかの誰かと笑ってると思うと
まだ胸が痛いけど
笑うと眼尻にしわが寄る
あ ....
秋祭りの
準備が始まる
まだ
夏は終わったばかりなのに
まだ
夏の名残が
消えないのに
季節は
私たちを追い越し
先へ先へと
すすんでいく
あなたが
「疲れてない?」
っていえば
Yesって答えるよ
ちょっと疲れててもね
あなたが
「焼き肉食べない?」
っていえば
Yesって答えるよ
あんまり乗り気じゃなくてもね
....
僕は自分自身を自覚した
自分がどんなに素晴らしいのか
その素晴らしさを
自覚せよ
自分がどんなに強いのか
その強さを
自覚せよ
自分がどんなに大きいのか
その大きさを
自覚せよ
自分がどんなに優 ....
空がパッと閃いて
少しあとで雷が鳴った
昨日も今日もたおれそうに暑くて
夕立でもあれば少しは何かを思い出すかしら、と思った
この邪魔なおくれ毛は刈りあげるべきじゃないかしら、と思っ ....
後退する夏の左腕をつかまえて
さみしがる頚動脈にあてがい
しずかな熱をからめる
満たされては退いてゆく
寝息の揺りかご
いちばん弱い部分は
あずけたままで
届かないエアメールの
....
あの
見慣れた朝は
履き違えた
靴それだけで
不器用に
ほつれてった
夏が終わる日
あなたに
手を伸ばして
どうしたって
届かないのは
陽炎に
よく似た
寂しげな
....
まもなく
四番乗り場に列車が参ります
盛者券をお持ちのかたのみ
足元を掬われないように
ご注意してお待ち下さい
当車展望車からは
世間が見くだせるようになっております
....
いつもの遊歩道
いつも駅
いつもレール
いつも本屋
いつものコーヒー
いつもの世界
それで満足のはずの見慣れた景色
けれど
僕らの知らな ....
いちめんの
蓮の葉が広がって
朝靄色の花が
点々と咲いている
蓮の花には
仏様がおられるらしい
眼を凝らして探したけど
わたしには見えなかった
きっと
ぶらりと
散 ....
青や緑の絵の具を
うすくのばして
あの透明をあらわそうとして
さっきから
なんども失敗している
{引用=
手をひいて
石を渡る
ぬらりとした光沢に滑らせた足を
からだごと、ぐいと引き ....
良くできたうめぼしは
故郷の懐かしい味がする
すっぱさのなかから
忘れかけていたものが顔をのぞかせて
こんなんだったよね
と問いかけてくれるような
ほどよく皺くちゃで
秋アカネの ....
君は 今
自分がどんなふうに立っているか
知っているかい
言葉は 心をあらわし
表情は 心を語っていると
そう 思うだろうけれど
本当に
今 ある 自分を
本当に
....
なにかが欠けていたのだろう
あなたに伝えること
いま
全裸を隠そうとしている
この月のように
僕があなたを
少しずつ愛していった
はずなのに
あなたは
不信で覆われていく ....
一人待つ少女
恋人が遠くから手を振って
駆け寄って
笑顔で温かく迎える
そんな恋人たちのそばを通り抜けて
僕も笑顔になる
誰かが今日
どこかで ....
こんなにぼんやりした
漆黒の夕方は
なんだかとても淋しくて
ただの
友達のはずの君に
優しい笑顔で
抱き締められたくなるのです
君とならんで泳ぐ
それだけ
ちょっとだけ
幸せ
さよなら、さよなら、
記憶を解き放って
遠ざかる夏の
四角く切り取られた 空
枠からはみだした場所では
かなしみによく似た顔の
ぼくたちが
今も、酸欠になっている
....
「家族の通話は無料です」
携帯電話会社が前面に出したキャッチコピー
広告は時代に敏感で
なおかつ時代を創り出す
家族通話無料の時代がやってきた
そうでもしなければ
家族の会話が弾まない ....
「間違って生まれたなんて言わせない」
誰にも文句を言わないきみは
とても自由だ
知らない内に咲いたんだ
夏花
柔らかなぴんく色をした
まるで、夏休みに恋をした
小さな女のコみたいで
緑色の細い腕を
一生懸命絡み付けて
この夏、最後の恋命を
たったひとりで
咲かし ....
残された時間に
限りは
あるよ
だから
やさしいことから。
単純で
明解なことからでいい
自信とチカラをつけていく為。
解けない問題を
考えている時間はもう無いの
....
道が続いていく
どこまでも
延々と続く道を
いつまで走り続けて
どこまで走り続けて
後戻りはできない
この道の果てに
あなたがいれば
それだけで
古風な恋愛をしたいって
女優さんが言っていたような気がする
三歩下がって師の影踏まず
じゃなくて
それは夫唱婦随ってやつだよね
男尊女卑だと指差されそう
でもね
ちょっと考え ....
窓の外を見ると
宇宙だった
宇宙船に乗った船員が
私の姿をして
窓ガラスに映っていた
どうしようもなく
地球が恋しくなった
この景色を君に見せたくて
写真付きメールを
ここから送るよ
記憶が
現在{ルビ=いま}を
浸食する
拭っても
消えない
まるで
コンクリートの
黒い染みのように
私は
記憶におびやかされ
日に日に増え続ける染みを
どうすること ....
窓を開けると
渇いた夏の風が髪を浚い
安らぎの匂いがした
教室の窓側の席
君はいつも遠くの世界を見ていた
何も変わらない風景
一年を通して見れば違って見える
君はそう呟 ....
自分を偽り隠すため
ボクは全身鎧を纏った。
いつしか鎧は骨と化し
ボクは外骨格のカニ。
まっすぐ進むことさえ出来ず
大きなハサミで人を刺す。
ねぇ?ボクはなにしてるの?
だれ ....
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