声にならなかった
あらん限りの力を込めたはずなのに
例えばそれは
孤島に取り残されたおとこがひとり
遥か水平線に見え隠れする
船影を
蜃気楼だとはなから諦めているかのように
もし ....
諦めと
手をつないだ
諦めはやさしく
とても甘美で
でも
まだ
溺れきれないわたしは
悪あがき
こころに
貼るものが欲しい
まだ
瘡蓋さえ
できてないから
さかなやさんがやさがししてる
やさしいおさしみつくるひと
やさいやさんがめさいやうたう
いざやいざなえやそのくに
ささらえおとこはきにさわる
ささゆりささやくささめごと
ささら ....
淡い淡い夕日
ほら、顔に映って
ぴんくいろだよ。
きみ、ね。恋してるでしょ?
なんでわかったかっていうとね。
ココロの音
すごい音量だよ。
あたし、もう気付い ....
夏は
出番が過ぎたのか
まだいてもいいものか
わからずに
うろうろと彷徨っている。
秋が後ろからせっついて
夏は途方に暮れる。
もういいから
夏よ、おやすみ。
ゆっく ....
比べたくなるものがある
幸せの度合いとか
それぞれの人生のありようとか
ひとと比べることで見いだせるものとは
柱に刻まれた幾筋かの古傷は
生を授かった証であり
輝ける未来への歓声で ....
雨粒が
なみだみたいだなんて
陳腐ね
とても
雨滴も
落ちてしまえば
ただの雨水
なみだだって
たぶん
うれしかったこと
悲しかったこと
楽しかったこと
辛かったこと
今日の箱を
棚の奥にしまい込んでくれる
夜の暗闇
どこに置いたかなんて
明日になれば
きっと
....
ルージュを差してスクランブル交差点を闊歩する
マネキン
サングラス越しのレーザー光線が
斜めに風景を切り取る
溶けて秋風に癒される切り口は
ぼくには見えない
エナメルメッキを貼った乳房 ....
安美錦
アミニズム
あれはクビライ・ハンの来襲だったのか
心技体
やおろずの神々に祈りを捧げ
丸い土俵の上にあるものを
観音菩薩。弁天様。
ご利益いかばかりであったとしても
女人禁制
....
早くはじめなきゃ
悲しみのレッスン
早く覚えなきゃ
忘却のレッスン
傷がまだひりひり痛むけど
ほかの誰かと笑ってると思うと
まだ胸が痛いけど
笑うと眼尻にしわが寄る
あ ....
秋祭りの
準備が始まる
まだ
夏は終わったばかりなのに
まだ
夏の名残が
消えないのに
季節は
私たちを追い越し
先へ先へと
すすんでいく
あなたが
「疲れてない?」
っていえば
Yesって答えるよ
ちょっと疲れててもね
あなたが
「焼き肉食べない?」
っていえば
Yesって答えるよ
あんまり乗り気じゃなくてもね
....
僕は自分自身を自覚した
自分がどんなに素晴らしいのか
その素晴らしさを
自覚せよ
自分がどんなに強いのか
その強さを
自覚せよ
自分がどんなに大きいのか
その大きさを
自覚せよ
自分がどんなに優 ....
空がパッと閃いて
少しあとで雷が鳴った
昨日も今日もたおれそうに暑くて
夕立でもあれば少しは何かを思い出すかしら、と思った
この邪魔なおくれ毛は刈りあげるべきじゃないかしら、と思っ ....
後退する夏の左腕をつかまえて
さみしがる頚動脈にあてがい
しずかな熱をからめる
満たされては退いてゆく
寝息の揺りかご
いちばん弱い部分は
あずけたままで
届かないエアメールの
....
あの
見慣れた朝は
履き違えた
靴それだけで
不器用に
ほつれてった
夏が終わる日
あなたに
手を伸ばして
どうしたって
届かないのは
陽炎に
よく似た
寂しげな
....
まもなく
四番乗り場に列車が参ります
盛者券をお持ちのかたのみ
足元を掬われないように
ご注意してお待ち下さい
当車展望車からは
世間が見くだせるようになっております
....
いつもの遊歩道
いつも駅
いつもレール
いつも本屋
いつものコーヒー
いつもの世界
それで満足のはずの見慣れた景色
けれど
僕らの知らな ....
いちめんの
蓮の葉が広がって
朝靄色の花が
点々と咲いている
蓮の花には
仏様がおられるらしい
眼を凝らして探したけど
わたしには見えなかった
きっと
ぶらりと
散 ....
青や緑の絵の具を
うすくのばして
あの透明をあらわそうとして
さっきから
なんども失敗している
{引用=
手をひいて
石を渡る
ぬらりとした光沢に滑らせた足を
からだごと、ぐいと引き ....
良くできたうめぼしは
故郷の懐かしい味がする
すっぱさのなかから
忘れかけていたものが顔をのぞかせて
こんなんだったよね
と問いかけてくれるような
ほどよく皺くちゃで
秋アカネの ....
君は 今
自分がどんなふうに立っているか
知っているかい
言葉は 心をあらわし
表情は 心を語っていると
そう 思うだろうけれど
本当に
今 ある 自分を
本当に
....
なにかが欠けていたのだろう
あなたに伝えること
いま
全裸を隠そうとしている
この月のように
僕があなたを
少しずつ愛していった
はずなのに
あなたは
不信で覆われていく ....
一人待つ少女
恋人が遠くから手を振って
駆け寄って
笑顔で温かく迎える
そんな恋人たちのそばを通り抜けて
僕も笑顔になる
誰かが今日
どこかで ....
こんなにぼんやりした
漆黒の夕方は
なんだかとても淋しくて
ただの
友達のはずの君に
優しい笑顔で
抱き締められたくなるのです
君とならんで泳ぐ
それだけ
ちょっとだけ
幸せ
さよなら、さよなら、
記憶を解き放って
遠ざかる夏の
四角く切り取られた 空
枠からはみだした場所では
かなしみによく似た顔の
ぼくたちが
今も、酸欠になっている
....
「家族の通話は無料です」
携帯電話会社が前面に出したキャッチコピー
広告は時代に敏感で
なおかつ時代を創り出す
家族通話無料の時代がやってきた
そうでもしなければ
家族の会話が弾まない ....
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