あんなに降っていた桜は
何処へ流れていったのだろう
夜の手がそっと集めて
すこし北の、
山並みを越えたところへ
風に溶かして運んだのだろうか
翠を湛えた葉桜は
それはもう、
ひ ....
木の葉が開き始める頃
言葉も広がり始めます
光が当たるように
大きく伸びてゆきます
そっと行ってごらん
風が葉を揺らし
言葉が鳴っています
木の葉が開き始める頃
心も広がり始めます ....
人は時を渡り行く渡り鳥
出会いと別れを繰り返して
寂しくなんかないと
頬をつたうのは涙か雨粒か
風にかき消された言葉
微かに耳に届いた
ねぇ、あなた
もしも生まれ変わるなら
春先の冷たい雨にも負けず
夏のカンカン日照りにも負けず
秋の変わり身の早い葉っぱにもめげず
冬枯れの寒さにも負けない
一本の
名も知らない気 ....
空が咲いています
ふわふわ咲いています
何もかも時が止まったように
やわらかく咲いています
山が沈んでいます
その中を鳥が泳いでいます
人が逆さまになって
咲いている空を見ながら
手を ....
こたつの中で
何本もの足たちが
陣地を取り合っている
頃
まどろみはそっと
瞼をノックして
心地好い終わりに
私を包もうとしている
目をしばたかせて
現実を直視
....
なりたいんだ。王子様に。
『礼儀』
という名の服を着て
『優しさ』
という名のマントをつけて
『暖かさ』
という名の靴を履いて
『強さ』
という名の剣を持って
『美しさ』
....
誰も聞いてなかったけど
私は聞いといて良かったです
退屈な授業の合間にしてくれた
教科書に載ってないお話し
今すごく役に立ってます
「ありがとね せんせ。 ....
幸せは
幸せになるまでが幸せで
幸せに気がつくと
何か寂しい気持ちになる
けれども
一つも苦労や我慢をしない生き方は
幸せに一番遠いのかもしれない
いつも幸せに向かって
がんばっている ....
きみのて
あたしのて
つなぐ
りょうほうとも
きみとあたしでつくる
まんまるの
えん
かたてだけ
つなぐ
ふたりだけの
しあ ....
花冷えのころ
すきとおるあおと
ぬくもりをさがしながら
蝶のようにとびたち
風の声をとどけに
あなたの耳で
蕾になって
向日葵のだいたんな喜び
わすれな草のブルー
おしろ ....
春は白浜の波の音がする
いろいろなことを思い
浮かんだと思えば波にさらわれ
刻んだと思えば波に消される
その度に波の音が聞こえてくる
ゆっくりと薄く
浜に広がる白い泡が
繰り返される
....
風かよふ春のあした
霞よりほのかにうち出でたる葉の
えもいへぬ色に誘はれて
ゆくりかに歩きつつ空を眺む
後ろより聞こゆる鳥の声は
春の宴にぞ思ゆる
よろず風の詩なり
いづこから流れく ....
「たいして格好よくもないし金もないし
これといってとりえもないのに
なんで俺みたいのと一緒にいるの?
どこが好きなわけ?」って訊くから
「あなたのそういうとこ。」って答え ....
また買ってしまった…
飲みたくもない抹茶みるく
あなたがおいしいって言ったから
もう忘れたはずなのに
私は抹茶のほうが好きなのに
あなたが私にみるくを入れたから
もう抹茶には戻 ....
どこまでも続く桜並木の先に在るものを
確かめたくて
あなたと手をつなぎ歩く
親子ほどにも見られそうで
控え目なあなたの腕を
胸元にまで引き寄せ
歳の差なんてね
桜は潔く散るから美 ....
風に弄ばれ、雨に嬲られ
春の欠片は
華やかで暖かで
何処か哀しい
春一番と供にやってきた
サクラ色の季節は
緑色に変容して
ひねもすのたりと
猫とうたた寝中
寝過ごしたりしな ....
からっぽの
「て」 と 「て」
さみしい
なんて いわないよ
いったら
ないちゃうもの
夕暮れに爪を切る
夜 爪を切ってはいけないよ と
いつか誰かに言われたから
冷たい風に
見上げれば
うすくうすく うすい空色
ほそくほそく 細い三日月
泣きたいほどに
....
ぼんやりとした光が
畑を一面に降り注いでいます
真っ赤な郵便局のバイクが
畑の中を通り過ぎて行きます
なんだか春らしい
道の草が風で揺れています
ゆるやかに道が曲がっています
雀が私 ....
暗い暗いトンネルの中
やっと見つけた微かな明かり
触れてみると
ほのかに温かくて
融けはじめた心
湧き上がるのは感情
{引用=あぁ ここはトンネルなんかじゃなくて
あかるい太陽の下だ ....
馬はずっと土の中で
千年以上も埋まっている
生まれた時は丘の上にいたが
数え切れないほどの戦乱と
自然の変化によって
冷たい土の中へと潜っていった
それでも馬は
丘の上から見た日の出を
....
君の手は空には届かない
当たり前だけど
けれども最初から
そう思っていたら
君は何もしない人になる
無理だとわかっていても
やってみるのもいいものだよ
ああやっぱりダメだったね
そ ....
あなたにくっついてると
なんだかいつも眠くなるの
あなたの匂いは眠くなる匂い
とっても安心する匂い
私のいちばん好きな匂い
あの電車に乗ってゆけば
雲を見ることができる
今はまだ春だから
風の歌はきっとやさしいだろう
あの電車に乗ってゆけば
海を見ることができる
今はまだ春だから
波の音はきっとおとなしい ....
農夫だった祖父は
ある日
自分の土地に
油田があることを見つけ
大金持ちになった
父は働く必要がなくなり
暇さえあれば
世界を飛び回り
グローバル
という言葉が口癖になった
世 ....
寝過ごす街に喝を入れるのは
ピンヒールの靴音
一年中食べ過ぎたり、飲み過ぎたりする街が
眠り姫の物語する季節は春
ぽっかり微笑む陽射しに
散歩中の乳母車の赤ちゃんも
営業中の働 ....
私が消えたら
泣いてくれる人がいるから
今日を頑張れる
大切な人が消えたら
泣ける想いがあるから
明日も頑張ろうと
そんな風に思える幸せ
夜が
更けていくと
ほつほつと
灯る
微熱の痛み
37.2度の
隙間から
零れる昨日
裏返る
あした
だから
つまり
なにもないのさ
首筋に
うっすらと汗
瞼の裏 ....
ひたすら書き続けたペンは
その日はとても疲れていたので
家に帰るとすぐにお風呂に入った
湯船の中はとても気持ちがよかった
窓をそっと開けると
葉桜が街灯に照らされて
心を癒してくれた
外 ....
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