ノート
森未

大好きなものがたくさんあったの
愛しいひとがたくさんいたの

そんなものに
線引いて消していくのが
大人になるということ

あきらめてわらう
あきらめてなく

大好きなものが、愛しいひとが
鉛筆で塗りつぶされた下で
同じように泣いてる

ごめんね
ごめん

そうじゃないって
消しゴム使って
悪あがきしたい

あの時の
大好きなものに、愛しいひとに会いたい
記憶の中で少しずつ薄まっていく
やわらかい悲しみを信じたい

線ばっかり引かないで
ぐるりと大きな丸で囲む
そんなノートをつづるの



自由詩 ノート Copyright 森未 2011-09-20 20:39:32
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