窓の外を
旅人が通った
新しい風が
吹いたから
わたしは
窓のなか
憧れと
少しの妬みで
彼を
見送る
さまよい続ける
旅人は
どこか颯爽として
窓の ....
春
今年も季節が巡り
一年が過ぎ去ってゆく
白木蓮の花は散り落ち
私はまたひとつ歳をとる
地平に没する深紅の太陽
落日のはやさに
ひとり立ちつくす
春、 ....
つくしを摘む。
もう10年以上の
春のならわし。
最初は
遠く離れた
つくしが大好きな
祖母に送るためだった。
気丈な祖母は
90を過ぎても
一人暮らしを続け
家事もすべて ....
この空を
あなたにあげる
だから
最後に
ぎゅっと
してね
それから
お互い
忘れっこしようよ
神々の手が
大地に触れて
春が来る
木々は若葉を
そろりと取り出し
花々の
つぼみが色づく
息吹
いろとりどりの
鮮やかな季節が
やってくる
春が来る
....
ひとり部屋
にも関わらず
感じる別の温度
わたし部屋
にも関わらず
散らかされた言葉たち
わたしが私から
出ていくことはないから
それもこれも
....
罪深い
赤を飲み干す
キール・ロワイアル
これくらいじゃ
酔わないはずなのに
微かに
血の香りがして
あまいあまい世界にいたいな
ケーキのような甘さではなくて、
花の蜜のような甘さ。
そう、チューリップの中の世界にいたいな
甘さにとけていたい
この世界に
とけこみた ....
気の向くまま
足の向くままの
ひとり旅
ゆらゆら揺られ
向かう旅先に
とうに気付いてたはずの
色の変化
知らされる
悲しみと平和の街
これから ....
光の速さで君とすれ違う
ものすごく
速いスピードで
麗かな春の景色にも逆らって
不思議だね
同じ日にまったくの
逆方向に向かうなんて
今の距離より
はるか遠く
嘘を本当に ....
言いたいことが
あるんでしょ
いまのうちに
言って
月が射している間に
そのあと
そのあと
わたしは
闇を彷徨うから
月の光が
私の影を落として
さよなら ....
まわりが
笑う
わたしは
なにが可笑しいのか
よく
わからない
まわりが
歌う
わたしは
メロディがつかめない
まわりが
傷つく
わたしのことばに
わたしは
じぶん ....
誰もが皆、殺害者
Good morning !
さぁ、カーテンを開けて。深呼吸。
ハミガキをして。顔を洗って。お洒落して。
さぁ!出かけよう!
G ....
それは春だったから
わたしは
疑うことを
知らずに
透明な水に
ゆるり、と入って
冷たい水のなか
人魚を探した
水中から
見上げる空は
鱗粉がきらきら光って
わた ....
自分が忙しいときほど
周りにやさしくありたい、と
思います
周りが忙しいときほど
あたたかく包んであげたい
そう思います
本当は手を貸してあげたいのだけど
今 ....
素直な君
明るい君
元気な君
憂鬱な君
淋しげな君
怒っている君
みんな
君のものだから
心配はいらない
笑っている君も
怒っている君も
しょげている君も
君らしく ....
ガンダーラ
昔聞いたけど
本当に
どんな
夢も
叶うのかなぁ
誰も
みんな
行きたがるけれど
はるかな世界と言う
ガンダーラが
どんな
夢を叶うと言うなら
行って ....
水を
汲んだのは
これで何回目だ
何回も
何回も
水を汲んでいるのに
しばらくしたら
完全になくなってるんだ
おかしいなぁ
何でだろうと
ふと思って
バケツを見ていたら
穴 ....
まぶしくて
見えない
あの光のむこうに
何がある?
あの光へ
闇を抜け出て
光をめざして
薄くゆるやかな隙間から
見え隠れする姿
ひそかに映る白い笑みは
今何を語ろうと
かたくなな心そのまま
やわらかな羽衣に包み
両手から
そっと空へと放つ
わずかにそよぐ風と
ま ....
そこはもうすでに定位置で
ぬくもりは絶えず
陽だまりが雨の日も
そこにそうして残っているみたい
待ってくれている
それはどれほどの安心を
映し出しているのだろう
ここにいる価値を
少なからず持たせ ....
「私のポエジー」という女は酷く睡眠好きだ
夜毎強いアルコールに酩酊して
朝の光じゃ呼び出し不能
原稿用紙の幾重にも重ねられた白いシーツの下 そのまた奥の奥……下の方で
美麗にして妖艶 ....
草むらに寝ころがった
ふたりで
もう
なんにも考えずに
この
ゆるい風に吹かれて
しばらく
うたた寝しようよ
春の気配を感じながら
こんなに胸がきょう
せつないのは
わたしだけなのだろうか
春の前ぶれの雨が
まるで生まれたてのたまごのような
しろいふあんと
いたたまれぬきぼうと
あたらしいよかんと
蜂の ....
さよなら
さようなら
この病院とも
さようなら
血だらけのわたしを
丁寧に親切に
手当てしてくれた
看護士さんたち
見えないところで
支えてくれた
看護士さんたち
....
その雷は
曇天を引き裂き
暴風雨を引き連れて
街は
次の雷を
静かに待っている
悲しみ
悲鳴を伴って
わたしは
それがくるのを
あきらめて待っている
梅の咲きはじめとともに
恋が終わった
馥郁とした
香りを残して
春の空が眠そうなのは
太陽が少しだけ優しくなったからかもしれない
地上から沸き上がる息吹きは
空を真似て
まだ少しだけ眠そうだ
年を重ねれば
味覚も変わる
『美味しい』と
感じるのは
私の中の
時間がながれた証拠
部屋に来た貴女に
僕は林檎を渡す
白い綺麗な手に
紅い林檎が
映えすぎて
あまりの美しさに
胸の奥を掴まれ
絡みついたまま
離れられない
頭の奥
聞こえない想い
止まらない身体
僕は
林檎を持 ....
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