雨が通り過ぎた朝
ちいさな秋が浮かんでいた
ひとひらの紅葉
雨が上がったばかりの空の中
道ばたの水溜りに
ちいさな秋が泣いていた
黄色い紅葉
地に落ちるのなら
土の上に
草の ....
あんたの笑顔 スキ
あんたの泣き顔 キライ
だから だから
泣かんといてよ
涙なんてもん
見せんといてよ
いつだって 笑っとったやん
だ ....
君の願いが叶うのなら
どんなことかと尋ねられ
何もいらないと答えた青年は
望みどおり
何ももらわなかった
それでも彼は
幸せだった
願いが叶ったのだから
何もいらない
一文無 ....
君の頬を伝う
一滴の感情
床にぽつり、ぽつり
時を刻む時計の針よりも遅く
言葉のナイフで君を傷つけた
僕をその事を知ったのは次の日の朝になってから
隣で寝ている筈の君の姿がない
....
今は昔、をとこありけり。
片田舎に住みければ、いとあやしき箱にて文を交じらふ。
箱の中に、あまた集ふ詩歌の会ありて、よき歌には人々
より数を賜る。
思ひ起こして歌をばと箱の中に投げ打つも賜ず、 ....
外は雨
暗闇を縛り付ける
窓を閉めて
鍵をかけて
眼鏡をかけて
解放
生き物の真似
目玉効果
ノルマは10匹
かわいそうな自分を助ける
話を作る
ゲームオーバー
理解する
....
子どもだったあの頃
放課後みんなと遊んでた
空が赤くなる頃
もう帰らなくちゃと
誰かが言い始め
その日が終わるものだった
一人で家に向かうその道で
夕焼けがやたらとまぶしかったけど
....
秋の深むる道すがら
吹かれ漂ふ紅葉葉の
{ルビ言=こと}に出づとはあらずとも
心鎮むる文となる
風の流るる草の野に
そよめそよめく{ルビ薄穂=すすきほ}の
波を立つとはあらずとも
心 ....
ああ また白馬が
やってきたんだね
まだぜんぜん食べてないのに
そんな目をして
いつも俺が
しんけんに作った
晩ごはんをふたくちぐらい
ゆっく ....
金木犀の
金木犀の
花の陰が
心にはらり、落ちてゆく
この道は
この道は
いつに辿ってきたのでしょう
金木犀の
金木犀の
花の香は
昔にかよう
消えかけた
面影一つ ....
詩を書くあなたは
言葉に恋をすることは
自由ですが
言葉と交際することは
禁止です
愛していることを
愛していると書いては
いけません
愛している以上に
愛を言葉で綴らなけれ ....
いつもよりも少しだけ
人の話に耳を傾けてみたら
少しだけ
人の温もりを
知るようになりました
いつもよりも少しだけ
花を見つめていたら
少しだけ
永遠というものを
考えるようにな ....
秋の絵を描こうと思って
外に出たら
筆を忘れたことに気がついた
これでは紅葉が描けない
真っ赤な葉の中にも
黄色があることを
描きたかったのだけれども
秋の心情を書こうと思って
シ ....
私は水槽の中で目を覚ましました
生きている・・・
私は水の中でくるりと一回転しました
私の小指に
赤い婚約指輪はありませんでした
夢月はどこだろう?
ふと思いました
水槽の外を見ても ....
胸の奥の底のある
ムズムズの原因のばい菌は
苦いクスリで押し込んだ
ちっちゃな天体望遠鏡をのぞき込んで
かすかに見える星達に意味無く涙をながした
黒く揺れるブラックコーヒ ....
頭のいい人は頭を使わない
頭を使わないから
頭を使わないことを考える
みんなが考えて
悩んでもできないことを
頭のいい人は
簡単にできてしまう
頭のいい人は
みんなが考えて
....
真理に辿り着くには
真直ぐ進んで
横に曲がって
上ったり下がったり
時には間違えて
そこで道を確認して
大切なのは
一度には一つのことしか
できないこと
真直ぐ進みながら
....
雨が降っていたので
花を買わずに
帰ってきました
色が鮮やかだったことだけ
覚えています
雨が降っていたので
コンビニのお弁当を
食べました
ラップを取るときだけ
なぜかわくわく ....
じいちゃん ねだっしょ
ばあちゃん ねだっしょ
とうちゃんも かあちゃんも
はぁ ねでしまったども
りりりりり
りりりりり
まどのそとさ きごえる
んだ ....
急に寒くなった秋の雨
道の脇に山から下りた
小さな紅葉の葉が
流れてくる
赤や黄色に光沢が施され
艶やかなるも
どこか悲しく重々しい
どこへ流れどこへ溜まるのか
行く末知らぬその姿を
....
秋を彩る木々の中
野鳥の声の閑けさに
癒す心に色染めて
見上げる空に空はなく
紅葉の玉の中にいる
聞こえる音は微かのみ
落ちる紅葉がはらはらと
なびく梢がゆらゆらと
分け行く道に道 ....
{引用=「幸せの定義」とはなんだろう。
そもそも、「幸せ」とはなんだろう。 }
ママゴトして遊ぶ娘を見て考えた
彼女にとっての幸せはママゴトセットに違いない
切れない包丁とビニール製 ....
詩人は自分のことを
詩人とは思わない
詩人とは詩人以外の人が
勝手につけた便宜的な呼び名に過ぎない
詩人とは詩人以外の人が
詩を書きたいと願うときの
理想の人間
この世には存在しない ....
私たちは家に帰りました
夢月はじんべえを着たまま
布団に入りました
「おやすみ〜」
私は枕元に座ると
「今日は徹夜しようよ
一緒に話そう」
と言ってみました
夢月は起き上がると
....
Throwing away a bank into a trash can
Filling a notebook 2 pages
Fixing a broken washing machi ....
朝の光がやさしくて
今日という一日が
光で始まることを
わかるうれしさがある
朝の風がやわらかく
活動する一日が
風で始まることを
感じる喜びがある
秋は今
努力の実を結び
....
空がとても高かったので
秋の風が流れる方角に身を委ね
森の中
喧騒の街を忘れさせるその森は
時間が止まっていた
まるで今日のこの日のためにしか
その森は存在しないのではないかと
秋が ....
私たちは屋台を見て回りました
「紅香これやろーぜっ」
夢月が指差したのは
オモチャの景品が当たる輪投げです
「OK!」
私は三つ輪を飛ばして
三つとも入りませんでした
結果は残念賞の
....
秋の中にも秋があり
気がつく時がうれしくて
秋を問わず
季節を愛させる
暦でわかる秋よりも
手に触れる
目に見える
やわらかい秋があることを
自分の中にも自分がいて
気がつく ....
少年は宿題をやらなかった
先生から言われた居残りは
いつものように嘘泣きすれば
みんなと一緒に帰れることを知っていた
交差点で友達と別れた帰り道
不自然に動くものが
彼を横切る
....
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