わたしは 常時(いつ)も香っていてあげよう
発酵した 上質のワインのように
ふわふわ ぷかぷか
君たちの家に 漂っていてあげよう
「わたし」を嗅ぐだけで 毎日君たちが
ああ やっと帰って来た ....
少女の
黒い髪に
よく似合う白さ
細い指に
切り揃えられた爪
あれは三日月の晩
まだ七つ、八つの頃
少女の
透明な瞳の中に
飼われた金魚
昨日の晩は
綺麗な橙をなびかせて
少女 ....
青い青いテニスコートの結び目が
ほどける
1セット
2セット
3セット
スパン・・・ スパン・・・
と空気を切る音
その断面はゼリーのようにゆる ....
仕事を終え会社を出ると、今まで涼しいエアコンの効いたオフィスに居たためなのか、外の温度が異常なほどに暑く感じる。こんな日はビールでも飲むに限ると、同僚は何人かを誘い飲み屋に行った。僕にも誘いが来たけ ....
僕は急いで君の所に向かうから
君はずっとそこでまっててくれないか?
街の電灯がピトピト光り出した
それは僕の出したSOSだよ
僕は駆け抜けて急いでいる
君はのんびり暖かい ....
零時を時計の針は少し過ぎる
また、一日の最初を過している
小学生は眠りつく時間
寝不足と分かっていても
睡眠時間は一時半と決めている
理由は特にないけど・・・
ねぇ、今 ....
今朝のおまえの目が
あんまり緑だから
どうしたって聞くと
やっぱり風邪だ
普段体調がいい時は
緑に茶色が散っている
水の底に見たブナ林のような
おまえの目
それが濃い緑に張 ....
あなたに笑ってほしくて
おどけて見せるけど
ふざけて
からかわれるのも
嫌いじゃないけど
本当は
全部つつんで
抱きしめて
抱きしめて
抱 ....
駅前の喫茶店の看板は雨で濡れている
メニューは珈琲しか置いていない
と、出て行く人は呟き
豪雨の中を足早に過ぎ去る
鋭い革靴の音
刺す様な雨音
日曜日の夜は速達で届く憂鬱
黒いダ ....
飛び回り爆発的に着陸して
僕の血はそう黒かった
額から流れる血は
涙のように感じた
カメラのシャッター飛び交うたびに
僕の光は弱くなっていく
大空に掲げた僕の龍のよ ....
さあ 風よ どうぞ 吹いて来て下さいな
あの懐かしき日の夕べの面差しのまま
少し寂れた けれども優しい雰囲気と
そして たおやかでしとやかな その仕草で
わたしの両肩に止まって見て下さいな
....
いやになるほど
眉間に走り抜ける白い光の胚乳
その揺らんの中で育まれる少女は
きみで
まるで天使のようだから
思わず
壊したくなる
さざ波の振動数の坂道は
きみへ ....
電機信号のパレード
飛び交う人たちの間を
蜘蛛の巣をくぐるように通る
光輝くこの街はもう
モノクロの美しさに気が付くはずがない
砂埃舞う神社の階段で
浮き足でゆっく ....
狭い部屋を行ったり来たり
繰り返し歩む
足音
空白の時間を埋める
思い出の時間の歪み
繰り返し泳ぐ
水音
水面を撫で廻す
花弁の空中浮遊
三秒の夢心地
四音
鳴り響くこと ....
あなたたちは
想いあっているのですね
すこしせつない日々を
もらいます
目立たない花なんて
なくて
ちいさな想い集めて
花
遠く海、高く空までも
受け入れるような
花
私 ....
あぁ いつか
「君の可愛いトコが好き」
そうあなたが言ったから
皺になっても
白髪になっても
可愛いトコだけは失くさないでおこう って
心に決めてたのに
可愛いトコって
なんだ ....
大きなガラス扉
日焼けしたブラインド
貸店舗、の白い貼り紙
コンビニになりきれなかった
角の、たなか屋
殺風景な店先のコンクリートには
ただひとつ
小さな郵便ポストが生えたまま
舌 ....
港の水に映るのは
それは月ではないのです
港の水に映るのは
それはおしりなのでして
おしりは逃げ出したのでして
僕はそれを追ったのでして
漁船に忍び込んだのでして
追い詰められたおし ....
睡魔の中で詩を書いている
まだ見ぬ1行を探して
視界は夢の中へと入っていき
詩を書いている
明るい緑色の柑橘系アルコールに酔い
体は蒸気する
暑さの中で目が覚める
ペンを握る
....
今朝、校舎の前で
無口な少女を見た
目が合うと
少しだけ笑って
そのまま自転車の
静かなスピードで
追い越してった、八時十五分。
無口な少女の
名前を知らない、
先生が出席をとっ ....
100と0
それでも足せば100だけど
アタシ一人の 100はシンドイ
ヤメちゃおう
もうヤメちゃったと言ってみる
こんなときだけ 意志が強い
なぜ
肩掛けのカバ ....
チチカカ湖
チチカカ湖
チチカカ湖の畔
チチカカ湖を小舟で行く
小舟に波がぶつかると
小舟は揺れる
揺れる小舟に
チチカカ湖は歌う
チチカカ、チチカカ、チチカカと
一人の男が ....
いつものスタジオでいつものメンバーで
いつもの歌を歌ってる
みんな暇なとき集まって練習
このひとときが面白い
カラオケでもいい
バンドでもいいとにかく歌が歌いたい
....
やっていたゲームの電池が切れ
やる気無くした僕は
ペーパーナイフのような気持ちが
突き刺さり痛み出した
つまり感情をバクハツさせる
教室でやっているテストなんか意味がない ....
祈りとは
神に語りかけること
畏怖と親愛と
そう相容れない想いが
ひとところにあるもの
空が砕かれて鳩が羽ばたくように
割れんばかりの祝福をください
もし私にその価値があるなら
そ ....
ここならいい風がくる
ここならいい匂いがする
ここなら
ここなら青い海が見える
ここなら赤い花が咲く
ここなら白い砂が舞う
ここなら黄色い道になる
ここなら
....
「生きている事」が
脆く儚く強く美しく
素晴らしい事を知ったとき。
僕は不意に涙を流す。
この感情を僕は知らない。
生まれたての子どもも
老いて朽ちて行く老人も
....
もう感じない夕陽の綺麗さ
もう感じない蝉のはかなさ
もう感じない川のせせらぎ
もう感じない授業のつまらなさ
もう感じない世界の大きさ
もう感じないポイントへの意識
....
海で眠る
大きい貝は見えない
貝は大きいから見えない
貝は大きいから見えない貝だから
大きい貝だから見えない貝だから見えない
身体ごと
くるりと曲げてしまってしまお ....
僕は今日も生きている
明日もいつもどうり
世界はまわりつずける
虹の色は常に七色じゃなくて
無限の色で作られる
手のひらから落ちる
富、栄光、そんなものどうでもいい ....
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