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はちみつ色の床にパソコンを置いて
半分の果物、掬いながらロックを聴いてる
足の指がザラザラするけど
不快なのが心地いいから、ずっと感じていたい
昼下がりの空に吸い込まれそう
アブラゼミの ....
ベッドの上に宇宙を広げる
彼との間に導線をひき
私は今を塗り替えた
暖かい闇に包まれる
どこかで唸る救急車も
私だけは、ほっといてくれた
難解なテレパシーで
彼は私に詩をくれる
....
目をつむると火花が散る
切なさで肺がつぶれる
わたしは、ただの人間で
恋をするとレモンのような理想を夢見る
あの人の、浮遊感が堪らない
彼の影に針をさして標本にしたい
アコースティック ....
並列運転でのろのろと自転車をこぐ
パーマのとれかかったあなたの髪を
ふやけた空が切り取ってる
あなたは時々私の二の腕をつまみ
ニヤリと笑ってみせた
季節は無情にも過ぎていくというが
そ ....
あの軒先から香っている金木犀
もう暗い、足音一つの帰り道
そういえば一緒に歩いたっけ
「しばらく、もう会えてませんね。
目が二個と口がひとつあったことは覚えているけど」
手紙から日常 ....
良い詩を書いた夢をみた
白く光る窓辺、花瓶の横のメモ帳に
涙を拭いながら
山吹色のえんぴつを走らせ
時に端を噛み
悠長、と呟いていた
花瓶は水だけ入っていて
くびれた所は緑に汚れてい ....
碧か、群青か、言いようのない空を背にして
影になった桜の木が現れた
白いはずの満開の花は淡い紫色に霞む
手前の細いガードレールも同様に染まっている
運転手が鼻声のビートルズを披露する
あ ....
木蓮は一心不乱に花を咲かせ
嘆くように朽ちていく
茶色い花弁を散らかしながら
乙女のように衰える
しかし枝には
細かな緑を隠していて
生きること
静粛な佇まいの内に主張している
....
地に立つ生には背負うものが重すぎる
思考の止まった生卵を
無表情な月が唆す
いや全くその通りだと
小さく頷き、動悸とめまいに身を投げた
母が、母が、
重たい私を水銀の泉から引き摺り ....
涙の筋 渇ききるまで隣に居て
赤いブランコ 後ろ向きの君
軋む金具を見やる
明日に僕等を描くのはもうやめよう
笑いあった毎日に寄り添わず
二人の距離 さめてゆくだけなら
引きとめはしないか ....
梅の花の香りを嗅ごうと
背伸びする私を視ずに
君は宙を眺めてる
白いワイシャツ姿の
君の周りだけ
特別に星が飛んでる
君の傍で季節を感じたかったし
まだ知らない景色を
穏やかな気持 ....
ブラックサンダーを買った
丁度予鈴が鳴る時間だ、と
デジタルはぶっきらぼうに言い放つ
運悪く遮断機が寝そべる
そういえば、彼は息災に過ごしているだろうか
雑音の迫るなか髪をといた
....
私は時々、こう考える。私以外の人間は存在せず、現実は全て私の夢で、その私はまだ生まれてさえいないのではないかと。
また、こうも思う。宇宙全体が本当はバスケットボールくらいの球で、アメリカ人の子供がい ....
青を知るくじらは
空を遠いとは思わない
美しく在ることをわきまえて
地球とともに命を謳歌する
視界を遮るあじの群れ
力強く求め跳ねる
ぶりんぶりん
水仙は冬の空を貫く
凛と、静かに、美しく
瞳に白い花弁を溶かし
鼻孔を黄色く染めた
それは幾分の幸せを香らせる
桃色のスニーカーには
柔軟な葉と真っ直ぐな茎が映る
それは気分を優 ....
窓の無い、心の底
重苦しい空気に
自身を溶かしていた
光すら届かない場所に
気分を沈めていた
魂の存在を五感が感じている
あまりにも暗いから
目醒めているかもわからない
胸だと ....
こんなに悲しい帰り道が
蛇行しながら現実までのびている
黒く長いそれを
私は切なくなりながら
ひたすら歩く
歩く
白銀の丘陵に連れていってくれた
未完成な公園に踏み固められ出来た ....
死んでも軽やかに横たわる子猫の上に
その兄弟はいつまでも座っていた
擦り寄ったり愛したりせず
ただ、冷たさを感じているようだった
剥いた目は光すらとらえない
傍らに居た祖父は散歩に出かけ ....
愛しい沈黙の最中
それは突如 利己心を振りかざした
真昼の無重力室で
それは機械的に弄り続ける
かけられる言葉は
どれをとっても
私に宛てられてはいなかったし
拒否権をほのめかさ ....
君の残り香が漂う
淡いニヒルが在る部屋で
私は一人、朝日を浴びる
悔いることは山程あり
嘆息をつく暇すらない
林檎をほじっては
諦めぬよう口をふさいだ
ただ、君は
何も識らず走 ....