オリエンタレ・ベイスンから
いくつかの高地(テラ)と海(マーレ)を越え
ようやくこの海にたどり着く
小さな銀色の船を岸に寄せるけど
この岩だらけの灰色の海には水が一滴もない
すぐそばにアルタ ....
アミダクジ
選ばれちゃった貴方にね
地球バクハのスイッチを
無期限・無利息
見返りいらずで貸してあげよう
即座にスイッチ入れるも良
完全保存するのも良
売り払ってしまうも良
貴 ....
ちいさな雨が降るね
音のない模様を
フロントガラスが濡れている
それはなんの痕だろうね
形のない法則を
夕方の匂いがこぼれている
きみは夕餉に消えてゆく
....
寂しさが死に直結した春の日にシュレディンガーは去ってしまった
幸福な未来のことで何度でも裏切られたり期待をしたり
まだ僕は春の終わりにいますので誰かに会える気がしないのです
こ ....
どろどろになったり
ぐしゃぐしゃになったりすれば
いいんじゃないかな
甘ったれたキモチにピリオドうちたい
それって 死ぬことじゃないよ
それって あきらめることじゃないよ
なにも言わな ....
手にしたその強大な力にも あなたは霞まなかった
宝石は輝きを失うことなく 銀河の中心の玉座であり続けた
あなたは折れない樹木 私たちの天幕
あなたの園で雌鹿は戯れ あなたの草を食むけれど
....
ゆっくり ゆっくり
東の空から姿を現した太陽が
水平線を温めていく
海はやがて青さを取り戻し
乾ききらない朝露を風がさらっていった
---
海鳥が鳴いている
合図と呼び声の 両の ....
「滴るものはなに
あなたのために
わたしのために」
自らの根を知らない
風に散ったひとひらの木の葉
蝸牛の螺旋におちた
その銀河のかたち
ソーダ水にお月 ....
掌から零れていく
砂は一粒の記憶
思い出せば
波に洗われて
二度と現われない
小さな墓石
寄せては返す波が
足跡を消していく
やがて僕らは
指と指の隙間だけを残し
いつ ....
言葉たらずとは
なんの例え話なのだろう
言葉を見つめている
言葉もこっちを見つめている
言葉たらずの愛
目的や嗜好やタイミング
そんなのが合わない
合わない気 ....
道に迷ってしまって
立ち止まったら怒られた
後ろの人に迷惑だから
立ち止まってはいけないと言われた
歩き始める
どこへゆくのか どこへ続いてるのか
わからないままに
見たことも無 ....
冬のあたたかな陽射しに気づいて
ふと顔をあげたとき
たまたま貴方と眼が合った
その時、貴方は何も言わなかったけれど
私にはすぐ貴方が言いたいことが分かった
私たちはひと言も言葉を ....
のぐら ろぐま 世界を掬って
耳へ切って 無が流れたわ
はらうはずもない にがおえうえ
ぶろうずもって両眼あずけて
天は白だと思って
息吹きかける むねいっぱいの色地へ
ゆがけ ....
夢を見ていた訳ではない
育んでいたのだ
風を読み
耳をそばだてて
遠くの音を聴く
眼で察るのは
最後でよい
夢を見ていた訳ではない
待っていたのだ
出掛ける、
今を
──風は
待っているだろ ....
誰もいない
静かな夜道を
ひとり歩いている
当てもなく
ただ
歩いている
昼間は
大勢の
客で
にぎわう
商店街も
車が
行き交う
オフィス街も
夜になると
....
私はある日 海草でした
十本の指は ゆらゆらと動き
それぞれに意志をもちながらうごめいている
波を受けながらカラダはおして ひいて
足はだらしなくとられ ぐねぐねと わなわなとふるえる
....
花びらを
重ねたような
3つの赤
《溶けるの?》
《溶けるの
にじんだ縁の浸透圧で
....
言語学者は
なゐのある国に住んでいた
繰り言を操り
魚たちを漁り
縹色の鰾を解剖し
暗闇の中に二つあるものを
その音を
いつも探し求めていた
文字や表記よりも
音声記号そのも ....
{引用=
海の
低く濡れた海の
あなたの声より低く濡れた海の
さよならなんて言い出したあなたの声より低く濡れた海の
掠れた海の波の
途方もないたくさんの囁きたちが
あした、砂浜に降っ ....
まるで何事もなかったように
日常の分だけとおり過ぎていく
愛情は誰も手にすることができない
静かな凪の海
私をおきざりにしたまま
潮も今は遠く引いている
深海の青のような音楽
三日月が ....
こたつでコツンと
ぶつかって
今日はあんまり
調 ....
つける薬がなくても
そっと手を当てることでの手当て
それが誰から
誰への苦痛であっても
詩をすることの楽しみしか
苦しみしか
知らないことへの祝福であっても
何か通うものがあ ....
ひとつの結論を落とし
君というページを閉じる
すがりたいこの手を
あっさりと切り落としながら
終っていった
君との関係がまだ 僕をとどまらせている
君との時間の流れの中で
紡 ....
手のひらを重ねるたびに
わだかまりが解けて行く
すでに基底された過去と
咀嚼仕切れぬ 含有物と
同じ手のかたちを持った
私たちは 逢わせる為に
分けて造られた者なのだ
言葉を ....
森はやがて夜に飲み込まれた
それをこの眼ではっきりとみた
獣は闇の底で息を殺していたし
眼底にはまだ何も無かった
かいぶつ,
重い曇天の空に,風がびゅうびゅうと吹いて
「とても濁っ ....
小さな毛糸の手袋が片一方、
橋の袂に落ちていた
どんな子が落としていったのか
いやそれとも
こんなに小さな手を守ろうと
優しさが形を成して包み込んだのは
私の手ではなかった ....
透明は無ではないのでしょうか
無というと暗闇のような気もしますが
無よりも無なのが透明なのではないでしょうか
透明とは無をも包む存在に思えるのです
最愛を失ったこの胸の穴ぼこが ....
賽を宙に投げてみる
これからの行方占うように
六通りの旅路しかないなら
どんなに楽なんだろう
現実 眠れぬ午前2時
複雑に絡み合う確率論
そういえば確率のテストは昔から0点だった気がす ....
ゆうえんちと呼ばれる公園で
片足だけ長靴でいるような、心細ささ
少年、と、声をかければ
それが、少年だったのかも曖昧になる
雨の夜、街灯の下、秒針のない時計
錆びついたトタン、くすぐりのような失敗 ....
ライトなんか吹き消して
隣に私を乗せたまま
蠍に向かってアクセル吹かせ
燃える欄干突き破ってよ
私をからかわなくなった貴方と
同じ夜空を突っ飛びたいわ
私の眼の奥を見なくなった ....
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