数匹の
空を走る鼠たち
太陽を追いかけて
アンテナ
風と風が起こすかすかな摩擦熱
あなたの悲哀はゲーセンのメダルと同じ形
あなたの歓喜は書物 ....
水は
裏切ったりはしないのです
やさしい嘘と
呼ばれるすべに甘んじて
飲み干しかねた
水はあっても
迎える季節を過ちかねて
流れるしかなかった
水はあっても
水は ....
君は望遠鏡や顕微鏡を造る僕の会社の設計室に勤めていた
僕はある日君に恋した
それはけっこう素敵なことだった
会社の裏の独身寮のそばに総務の峯岸さんの貰ってきた柴犬の仔が三匹
彼 ....
私は怒鳴る。
不条理ないびりの習慣に怒鳴る。
すると季節外れの銀杏の黄色い葉が、
はらはら、はらはらと降り、
私の肩をすり抜けて体内に染み込んできた。
銀杏は尚もはらはら、はらはら ....
みあげるとさかさまのさかなたちが
季節をひらべったく塗りたくっている
きみの手はつめたい
永遠になんども触れたよう
わずかずつの永遠をつみかさねて
一瞬へむかう魚たちのよう
なべふたふたふた
円盤飛来
ゆらゆら
ちょうどよいサイズ
はまるよぱこりと
取ってから
ちいさなくしゃみが聴こえてくるよ
まだまだ寒い季節だからね
暖かくなるまでこの鍋の上で過ごし ....
どうかリラックスして
痛みを増やさないでね
白いイルカに乗って
深海に潜ってゆき
不安や恐怖は
溶けてゆく
そんな気持ちに
どうぞな ....
春がやさしく微笑むと
白く積もった嘘が融け
ぬかるんだわたしの心を
悲しい泥水となって流れ下る
ひび割れたアスファルトの肋骨
空に頭を踏まれたままの道あるいは時間か
仰向けに開いた記 ....
2月をたゆませて泳いだ
3月には疲れ切って本当の魚のようになった
あやふやな優劣の判定を何度か食らって
何度かはがれ落ちたうろこから
弱い部分を見せた
よわい人が
尾びれとか背びれとかを動 ....
雪についた風は 凍りの匂い
立ち上がって ひっかく
かわいてかたい ぽろぽろ
溶けながら指を食む
刻みつけられ 冷たさを
から から
頬から
押し付けて とどめる
残され ....
震える背中を伸ばして
持ち得る限りの声を張り上げて
顔をあげて
誓います
どうかもう一度あなたの心のままに聴かせてください
あの日の言葉を誰かのせいで嘘にしてしまわないで
あなたは ....
さくらの野郎がまた真面目に
花など咲かせようと張り切っている
春だからあたりまえ
そんな野次にも負けないで
張り切ってふくらんでいる
あたりまえなんかない
あたりまえばかりだ
いろんな騙 ....
希望という名の紙切れよ
希望という名の瞳に渡れ
誰かは無謀と云うだろう
或いは幼稚と嗤うだろう
希望という名の未熟さよ
立ち止まるがいい
思う存分に
希望という名の愚かさ ....
魚を燃していたのだと
きみが言う
誰にともなく
酸化をはじめたばかりの
鉄の表面に似て
せつないくるしい
いとしいさびしい
かなしいや ....
此岸のこの世に 深みにふけず 軽はずみに挫くこともなく
ただ受け取る 両手が無くても その形を補う
強さしか滲み出ない エネルギーの みなぎ
此岸は彷徨いの足跡を己の銀漢を巻くDNAに ....
こと恋愛術に関して言えば老子も敵わない。
目を開けても閉じても闇の中
空の高い所で星が輝いている
百均のペンライトを再び点灯し
川沿いを降りていく
もういくつめの滝だろうか
雪解け水が勢いよく流れ落ちていく
擦り傷だらけの身体 ....
女の子の
苗字と名前にある
わずかな空白に
小さな川が流れて
いる
せせらぎのような気安さであるから
そこをいったりきたりすることが
できる
時々流れてくる桃を
無邪気に拾って遊んで ....
春の光が曇天を縫い
硬い空気を細く通り抜けてくる
すべては卓上に出揃った
いくつかの瞳、
いくつかの臓器
毟り取られた数枚の花弁
床に落ち埃 ....
海底を宇宙とつなぐ
手の先に
必ずあると知ることで
変わるものがなくてもいい
戻れないこの道
君が手を降ったまま遠ざかってゆく
ちょっと哀しい眼をしていた
それは夕暮れだったからかもしれない
帰れない明日へ微笑みながら去っていったひと
風を抱いて走るよ何かの方 ....
雨が降り木々の葉は濡れた
川沿いに張られたガードレールの錆び
秘密を抱えるように口を噤む家並み
けれども日記帳にしみこんだ太陽の匂いを
夜がきてもこの胸に憶えている ....
なぜなら奪うものは最終的に奪われる
不幸のうえに成り立つ幸福などありはしないのだよ
これは友人のこくはくなのだが
彼女はぼくに聞いたかつてちょっと好きだった人だが
彼女は僕の後輩と浮気 ....
こんな日に限って
ケータイ忘れた
夜桜、
休み明けまで
散らんといてや。
人生に迷った時おいで いっしょに迷ってやる
心身の底から
信じられるものを求めて
探しまわっても
見つからない
小さな懐疑が
意識の奥で
息をひそめて
笑っている
ひとつの真実らしきを
信じることで
ほかの真 ....
爽やかをどう表現しよう 漢字の中に幾何学を見る淡白
この候を満たす 華麗な空の下 色などつけなくとも いと美しい
彼女の耳に音階の異なる民謡が流れる もう初夏に目覚めている南風の栄え
イソヒ ....
ばさばさ、
ばさばさ と 鳥がかえってゆく
曇天に八重をばらまき
水は流れだしてしまう
流れていってしまう
僕はここで永遠に君と腐っていたいのに
【カタツムリの抜け殻】
実家には もう人の気配は無い
生気のない 家に行くには 迂回路しかなく
すぐそこに家はあるのに ふるい路は
家を まの当たりにしていながら ゆるやかに曲がり ....
駅のホーム
立ち食いそば屋で
かき揚げそばをすすりながら
おにぎりをほおばる
小学生の高学年
夏休みなどに入ると
私はひとりで新幹線に四時間ほど乗り
田舎に帰省していた
とても酔う ....
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