いつもの喫茶店
そこに座る。それは知っている。でも、正面きってだなんて話かけられないよ。
動きだしたい
したい-死体のような-この-こころ-----
作者不在の机を前に 作者不在の椅子に座 ....
やさしいひとの
翳りを見つけた日は
こころに羽が
生えるのです
軽くなって
軽くなって
どこへも辿り着けない
わたしになるのです
落下は
とても重たい手段だと
そうして ....
小さくなっていくこと
悲しいと思ったことはなくて
けれどいつか
君の小さな手で
拾ってもらえなくなるのだと思うと
それはとても悲しいことみたい
君はとても
ていねいな人で
きっちり ....
顎鬚をたくわえた男が
布を手に玉蜀黍を磨いている
小屋の外に置いた籐椅子に座り
一心不乱に
遥か上の方で青空が
ずっと前に動きを止めたことを
....
顔を上げるとそこは晴れ
雲が犇めく青い空
或る者がそれを美しいと尊び
まるで人の心みたいね、と
浅はかなリリックを書き連ねる
それと恰度おんなじ頃
社会生活にあぶれた蛇が
安アパートのポ ....
俄かに湧いた嗜欲
降りしきるリビドー
僅かながら煩悶
還元的自慰行為
動じぬか理知
乗らぬか理知
壊えぬか理知
それゆえ理知か
行けど行けども
合致せず飽和
致し方なく
....
初雪草
はつゆきそう、って
読むんだね。
よく見る
葉のような 華のような
一年草なんだね
葉は その下に 君臨していて
何だか ステキ
ゆきんこ って 思い出した ....
しずかに、
嘘へと
そっと染みたいのなら
おしずかに、
優しさは
まもられるもの、です
まもらなければ
すぐにも途絶える
希少な形なのです
傷の起源、 ....
【青い鳥】
涙はない 思えば おもうほど 青い空しか
浮かばない
人は かならずしも 真正面から むきあうことで
力を その胸に宿すのではなく
同じ方向に そっと居る
そ ....
僕の瞳の奥で
針を手に持って微笑む君
それって
拷問と呼べないか
いつの日にか 同じ道を歩いていた
あの頃と変わらぬ
人々の群れ
忙しく動くバス
排気ガスだらけのビルの谷間
いつか私が落とした心は
残っているのだろうか?
薄汚れた歩道橋の階段は ....
遊びにうつつを抜かす季節も、
仕事のストレスの裏返しだったのだけれど、
その後厄も、
もうすこしで終わる。
来年には、ぼくは、彼女と区役所へ行って、
婚姻届を出すだろう。
赤ちゃんの名前に ....
春はGじゃん。卒業生の賞状筒携へてときめく去りぎは、風も温みて、
毛織物など{ルビ藍=いんぢご}の内にこそ重ぬれば綿の膝丈{ルビ袴=すかーと}ひらめきたる。
夏はのーすり。日頃の腕立てすれ ....
満潮
魚がよろこぶ
真っ青になる地球のどこか
沈んでいく
月が二つあります、
社会のように
わたしをとりまいて引きちぎる
右に 左に
西に 東に
分裂しなさい、と
輝く
無性 ....
木枯らしが吹き
去って行った男たちを
つらつらと思う
あったかい口づけ
厚い大きな手
柔らかな髪
広い背中
甘い匂い
熱くなる
ほめ言葉
リフレインする 声
声 ....
降り積もる季節になりました
おもいが
私は忘れていた何かを思い出し
振り向いたり振り向かなかったりします
移ろう
というのは少し悲しいことかもしれません
それとも私は悲しいということば ....
芝生に日かげが射して
まぶしいキャンバスに
夕がおとずれた
筆をはこぶひとの
手をなでるようにして
風が立ち
描きかけのキャンバスは
ばったりとたおれた
筆をはこぶひとは
草 ....
1)
庇には樋がなかった
コールタールの屋根をはげしく打って
雨は黒い路地に、まっすぐ流れおちた
ひくい窓を大きくあけて
わたしは雨の音を聴いたはずなのに
路地に敷きつめられたコー ....
小皿に食べかすの
干からびた梅干しがのっていた
なぜか醤油の渇いたぶつぶつのシミもあった
これ、おまえの食べかすやろ、
ぼくがそう言ったらきみは笑った
俺、梅干しデカ ....
声ききたなんのを
がまんしてる
がまんしてたら
いつか爆発してまう
夜空はベランダにある
煙草を吸ってみる
ウィスキーをなめてみる
傷ついてやるさ
....
あ、まんげつ。
ちょっとまんげつじゃないけどな。
かじったんかな。
なめたんやろ。
キャンディみたいに。
そんなメルヘンが聞こえた
いつ偶然出会っても
そ ....
夜はきっと早起きだ
その発見はとても痛快で楽しかった
おんなじ気持ちで
夜の哀しみに同苦したいとも思った
両方の膝をわしづかみにして
あなたのすべてを見つめたい
あなたの両腕を優しく支え ....
くるっと
くるっと回って
見つけた
影法師
地面に寝転べって
空とかくれんぼしている
くるっと回って
いなくなった
影法師
僕はまた別の影法師になって
あなたの見つめている空拭いておく
いやなことを幾つも並べて離れるよりも
憧れの気持ちを受け入れて傷ついていたい
人間の幸福なんて百年も残らないのだから
信じてもらえなかった原因を考えるよりも
今日一日どう生きるかを考えていた ....
俺もそうなろう
おひとよしは返上する
助けてくれだとか
おんなじ気持ちだとか
そんなものに対しては
死ね、とはっきり言ってやろう
引きずりこまれるな
そんなものに対しては
死ね、とはっ ....
心の溝にくゆる{ルビ煙=けむ}
二分ノ一の修羅妄執
言葉の{ルビ辺=ほとり}に滴るそれは
烏合の如き矢を降らす
空は鈍色にして晴天
惚れた晴れたの夢枕
潤む空気はコンクリヰ ....
少し前から
光合成をしなくなった
薄らいでいく光を
見過ごして
遠ざかっていく水を
遣り過ごして
余った二酸化炭素を
夢にすり替えることもできずに
ただ乾いていく
カサコ ....
僕らがコンビニと呼んでいる
長細い直方体には
どんなものでも揃っている
弁当もポテトチップスも
洗剤や電池や、ティッシュまで
だから僕がその日
その、冬 ....
クルマはしんとしています
埃の匂いが湿っています
くもり空の朝
東京ではじめて運転します
なわとび
正解
かわいいな
ベランダ
吐息
かわいい ....
きょういちにちの
俺のつかれ差し出せよ
今夜もまたワインよ
いちにちのつかれ俺に差し出せよ
夜風に吐息を
ふきかけられた
もう二度と会えないひとなんて
ほ ....
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