とりとめもない映像を眺めながら
皮を剥き縦に切った細長い人参を
齧る
何もつけずに齧る
美味しいかと尋ねられれば
ちょっと柿みたいで美味しいかなと言う
実際は齧る行為に動物的な快感 ....
春の公園に満面の笑みが咲く
お花模様のワンピースでタンタカタンタカ
お砂場までもタンタカ行進だ
お日さまが照らす世界はこんなにも広い
驚くことはあっても怖いものなど何もない
ほらほら お友だ ....
風呂屋の開店時間まで、風呂屋前の縁台で2人の爺さんが将棋を指す。
ひとりは白髪、ひとりはハゲ頭。
ときどき子供が「将棋教えて!」とやってくる。
爺さんたちは子供のレベルに合わせた詰将棋の問題 ....
わだかまりの小石を
ランゲルハンス島の砂浜に
捨てたところで
塩辛いもやもやは
寄せては返す
しがらみから逃れようと
前頭連合野の深い森を
彷徨ったところで
粘っこいもやもやは ....
風は飛んでいた
どこまでも飛んでいけた
そんな自分が誇らしかった
風は飛んでいた
飛ぶことしかできなかった
その運命に涙を流して
嵐を作った
風は飛んでいた
嵐を作るの ....
きみの瞳のなかに
空一杯の夜が煌めき
僕は君の胸のひとつから
柔らかな心だけを抜き取って
脆い息を吹きかけただけで
そっと元に戻したんだ
熱 ....
【命の島】
瀬戸内の生温かい風の中
虫篭を編む
白いビニール製のストローを器用に組み立てて
円錐状の虫篭を編む
昔は 葦だので編んだらしい
ストローの語源は ワラだと言う ....
抱かれては詩に変わってく雪崩たち
両親をなんども殺す春の夢
エイプリルフールで私捕まった
渦潮が竜巻呼んでガチ相撲
渦潮の底で待ってる海坊主
苗木市 火遁木遁術比べ
....
今夜は 里芋と蛍イカの含め煮にとか いいながら
包丁をおろされて ちょいとキレテちまって
↑やじるし うしなったけど 気にしない
おいらは ついこのあいだまで
竜宮城にいたんだぜ ....
天然パーマは環境ホルモン
くるくるまわるくるみの
なかの宇宙の種が
羊水を求める
がむしゃらな地下の根のそのさきの先で
げんし的かつれきし的な挿入
「しぜんに、かえる」
溝のすきまの溝に ....
りっぱってなーにー
地位のことー?
社会的地位に付随する事どもー?
ラッパとちがうのー
それラッパとちがうー
りっぱってなーにー
お人柄のことー?
人に見せてる人柄のことー?
お面 ....
もしこの世界に音楽がなかったら
寄せては返す眠りのうちに
わたしの意識は夢を見るように
この世界に背を向けて
目にうつることのない
美しいものに想いを馳せていたことだろう
音楽が鳴る
....
フローリングに月に一本
小さな指揮棒が落ちている ねこのヒゲ
夜中 寝室にも届かず
爪の研がれた肉球で プチッと抜いて
けなげに一人コンサートを開いている
....
古代飴のような
琥珀の中に
小さな虫が
羽ばたいたまま
閉じ込められている
時が止まったままの
小さな宇宙を
私は
手のひらで
そっと転がして
スイッチをさがす
ろうそくが燃えるのは
それは
ロウが燃えるのだ
と
では
ろうそくが消えるのは
それは
ロウが尽きるのではなく
燃えるべき
ことばの芯を失うからだ
心を持たない
....
ときどきは会いたいね
ところで思うんだけど
藍色の自分がいて
それは愛にもなれるし
遇いもつかめる
2音素のaiという母音は
子音を携えて色を変えてゆく
それがあなた
....
ふせて
あきらめて
大事なことなどないと
みとめて
そして
とくに大事でも
必要でもないものとして
抱いて
強くゆきすぎるものがある
揺れる信号機
交差点を走るのは
車ばかりじゃなく
あまりの
(不可視の)
存在感に
帽子をおさえる
目をつむる
スカートを ....
走り出す 雨が降っていた
真っ黒の空を見て 安心したらぼんやりした
散漫になって 視界がぶれて
水滴と水滴が重なる瞬間に私は外に溶け出した気になった
温かい雨が降っている
私は走り出 ....
今この瞬間に 寄せ集める手書きのランプ
間接照明の生成りの厚み 手触りに感じる
今この瞬間に 今宵のプロローグかもし出す
飴色姿の影の立体感の揺らめき ブランケット
眠れる波にハン ....
ガラス製の灰皿が
テレビの色に瞬きしたとき
遣る瀬ない日々に君は
重たい欠伸を隠した
朝陽は
その優しさを
皺くちゃのハンカチに包んで差し出 ....
きこえてる
うまれてる
おと
おと
からだから
けしきから
くうきにあふれる
すう
いき
まざる
けしき
おしえたい、な
みせたい、な
うでを ....
五つ並んだ水の出口には
五首の水蛇が
棲みついていた
あの水には
たくさんの酸素が
溶け込んでいるから
呼吸は無問題
あの子は端の出口が好きだった
でも端にある出口は
誰から ....
唯一が突き抜ければ
見届けてやりたい
其方が想いでしか届かぬ領域まで
見届けてやりたい
唯一が突き抜ければ
無二に近かれ遠かれ
似た色合いを乗せて ....
こがね色の麦畑に群がる恋心 戯れる
少女を追いかける青年の瞳は 青い
少女が戯れるのは 恋を問えない みつあみ
何が嬉しいのか さやさや揺れる 麦の穂の温もり
何が楽しいのか 微笑む少 ....
親心を
揺らしながら
春の野に立ち尽くしている
子どもらは
既に
旅立って
再び逢うことは
叶わないというのに
心配の種はつきないのでしょう
親心を
揺らしながら
じっと耳を ....
つきましたら季節を短めに揃え
天然に液体化を試みる
執念より地割れのひきつけが裂く
泥水の底溜まり
髪は性質上二股は気化
すぎたのが逆切れて地肌が近い
哭く哭く、四六時中あたまを掻いて ....
気をつけたまえ
背中を向けて
眠るとき
寝首をかくかも
しれ ....
雨の匂いがする
川沿いを下る道すがら
梅も桜も木蓮もまだ閉店中
一度に咲こうとしめし合わせているのだ
雨の匂いがする
....
デイリーテレグラフ
空の下
ナマズは沼の生活に不満をかこつ
淀水に護られる生態をかえりみず
ナマズは
デイリーミラー
窓そとを眺めては焦がれ騒ぐ
ミラー部屋で暮らすM ....
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