椿
ミツバチ

姉さんが嫁ぐ日
外は真っ白な雪景色
綺麗な白無垢姿は
雪の中に輪郭を溶かし
唇にひいた
紅の色だけが際立っていた

姉さん
私の憧れの姉さん
なぜ悲しそうなの?
雪を被った椿に
ため息をつき
冷たい指先で
涙を拭う

姉さん
年の離れた姉さん
一番のお気に入りの
つげの櫛
なぜ私にくれたの?
訳も言わず微笑む顔が
とても苦しくて
思わず私は泣いてしまった

姉さんが嫁ぐ日
紅をひいた姉さんは
まるで椿のようで
白無垢姿に紅が映えて
とても綺麗だった

幸せになってね

肝心の言葉は伝えられず
遠くなる姉さんの背中を
ただただ
見つめるだけだった


自由詩 椿 Copyright ミツバチ 2010-01-13 22:53:06
notebook Home 戻る