ビルが朝陽にかじられて
吐き出された陽光は窓をすり抜け
昨夜の恥部を暴き出す
人々は慌ててカーテンを閉じ
ベッドを隠し
朝を始める
わたしと来たら
病室のカーテンを開け放ち
....
右の頬が激しく打たれた
しかし左の頬は無事だった
額がスズメバチに刺された
でも後頭部は無傷のまま
左目に火の矢が突き刺さると
右目はとっさに視線を逸らす
耳は恐々 欹てるだけ ....
あなたが時々見せる
真剣な眼差し
私をドキドキさせる
告白してくれた時を思い出す
真剣な眼差しが嬉しかった
いつも笑顔を絶やさない
あなたは全身で優しさを表現する
爽やかな風 ....
表通りに街灯は点る。
閉め切られたシャッターの並びの中に誰かの忘れた人形が笑う。
心の休息は遥か彼方に横たわっている。
詩を歌えなくなった者は思い出の中に消えてゆく。
垂れた ....
正当に生きることを肯定してくれる人を買った
最初の一時間で自分が何者になりたいのかを問うて
それからゆっくりと満たしていく
物質ですらない存在に触れては注意深く撫でさする
スイッチではない箇所 ....
桜にたとえ葉が乗っても
それを気にせず宴会に精を出す
乾杯の音頭を取りごきげんに飲み干す
自然の季節は過ぎれども
人間が良しとするならば
そこには満開の桜があるのだ
風に耐え切れず ....
するりと喉を通った錠剤は
簡単に意識を濁した
次々飲み続けるうち
自然とどこかが軋む感じがした
意識は浮かび
空中に放り投げ出された涙
ぽえぽえとないている
ぽえぽえとないている ....
靴を履いて出掛けるたびに 冷蔵庫が肥っていく
月を眺めて暮らしていると 冷蔵庫が痩せていく
月が見ている私の距離は 靴で行けない夜の国
そこは 冷蔵庫のいらない世界
そこは 腐らな ....
無垢な聖域で飛び回る小鳥
そして口のきけない少女が笑っている
パンドラの最後の希望は
この地で淡い松明に囲まれて飛び立つ瞬間を待つ
百年の孤独から目覚めた太陽が泉から怱怱と昇る
....
夕焼け小焼けは ビルの先
から降りて来ない都会
谷間でうごめく人々は
電飾を着飾っていて
日暮れがない
○○山の△△寺(でら)はビルに飲み込まれ
夕暮れの梵鐘は口を閉じて
頭の中で鳴 ....
父が帰ってきた。
白い靴下
プーマのニット帽
それらに合わぬ羽織袴を着て。
「お父さん、格好いいよ。」
母にほめられ
少し照れたように見える父は
布団の中で微笑んでいる。
....
桜が見える間息を止めている
お蕎麦を食べながら
昔の話をしよう
学生時代
君のタイプを盗み聞きして
私に当てはまることがないと
ひどくがっかりしたんだよ
もっと可愛くなれるように
お姉ちゃんに化粧してもらっ ....
花吹雪舞う道を ひとりで歩いた
分かれ道で手を振って きみは去った
あたしのことは すぐに忘れる
夏が来れば 陽の光に夢中になって
花びらは風にのって どこへともなく
青い月夜の ....
わたしはターヘルアナトミア
あなたの皮をペロリと剥いで
思惑の筋や経絡がどれほど緻密にヒクついているか
白日の下に晒してご覧に入れます
わたしはターヘルアナトミア
飲み込 ....
春の海はまぼろし
蜃気楼の楼閣さえ彼方に浮かんでいる
わたしを呼んでいるように
遠い海鳥
緩慢な波
割れた貝殻
ただ砂にうずもれて
あの子のか細い肩甲骨はもうさびしくなか ....
心と身体が離れている
その隙間に不安が滑り込む
いちいち手足に呼びかけないと
動作しない人間型ロボットみたいで
いろんなものを詰め込んだ
底の抜けた南京袋
唇から直腸まで
排 ....
良い薬を取り混ぜて
頭を平均化していく
世界に耐えれるように
人に耐えれるように
平均化された脳みそで
ピッキング作業をし箱にひたすら物を詰めていく
きっとその人には巨大なだれもの ....
歌いはじめまして
花が咲いてますよ
野辺の生き物たちも忙しなく動き出しました
道端からはみ出る雑草は強いですね
そうか、 春なのか
、もう衣替えの季節がやって来たんだ
(え ....
遠いベッドで寝転んでいると
小窓のカーテンの向こうから
おいてきぼり喰らった僕の声
銀河鉄道の夜を見送っていた
この世の悪も善も乗せてゆく
悲しみも退屈も希望も喜びも
....
コンビニに蛾が集まり
一人一人つまらない買い物をしていく
煌々とその姿を照らしあげる
灯りはどこから来てどこへ行くのだろう
ほとばしるエネルギーは
灯りは
なんのためにそこまで明るい
....
久々に一人で実家に帰る、晩
何処か名残り惜しく
幼い息子の肩を抱きつつ
嫁さんに少々草臥れた足裏を揉んでもらう。
*
久々におふくろの味で腹を満たした、朝
何処か名残り惜しく
....
もう少し咲いてたいよね夜明けまで歩く
風のあどけないそこは
ほんとうにすぐ、そこで
わたしは目を細めて手を振るしかし
わたしを 過ぎても わたしを
透かすように 行ってしまった一群の
残像を抱きしめて やがて
いつものよう ....
握った手を、離すことが出来ない。
絡まった指先を、解くことが出来ない。
熱がこもる掌が
冷たい手と心を暖めるようで
「その手を、ずっと・ずっと繋いでいたい。」と
あなた ....
新緑の公園で
狂ったあの娘が踊ります
あの娘の左手は血まみれで
しとしとと雫を振りまきます
新しい生活に馴染めなかった
新しい人に馴染めなかった
それはあれども
元から狂った素質があった ....
うさぎが消えた
金色の爛々と光る目を背け
月から
二度と帰ることはない旅に出た
宇宙の光のひとつとなった
月にミサイルが落ちたとき
それからうさぎはいなくなった
地球の醜さにもう飽き ....
聞き捨てた
島へ渡る船なんて知らないから
僕らは港を探しに歩いていたんだ
見たこともない白い浜辺
ただひたすら国道のガードレールに沿いながら下る
海は眩しくてずっと近かったから
額から ....
差し出されたその檸檬を皮ごと齧ると
予想していた強烈な……味はなく
心底ほっとして わたしは
手招きにも素直に従いそちらをみた
、夢と 悟り なみだは 途方に 暮れて
西側の窓から合図の ....
ミサイルが雲を吐き出していく
いつものように飛行機ならばよかったのに
女だって子どもだって
味方を攻撃するものは殺す
復讐の芽を摘むために
一族郎党皆殺す
不用意な情けは平和を遠ざける
....
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112 113 114 115 116 117 118 119 120 121 122 123 124 125 126 127 128 129 130 131 132 133 134 135 136 137 138 139 140 141 142 143 144 145 146 147 148 149 150 151 152 153 154 155 156 157 158 159 160 161 162 163 164 165 166 167 168 169 170 171 172 173 174 175 176 177 178 179 180 181 182 183 184 185 186 187 188 189 190 191 192 193 194 195 196 197 198 199 200 201 202 203 204 205 206 207 208 209 210 211 212 213 214 215 216 217 218 219 220 221 222 223 224 225 226 227 228 229 230 231 232 233 234 235 236 237 238 239 240 241 242 243 244 245 246 247 248 249 250 251 252 253 254 255 256 257 258 259 260 261 262 263 264 265 266 267 268 269 270 271 272 273 274 275 276 277 278 279 280 281 282 283 284 285 286 287 288 289 290 291 292 293 294 295 296 297 298 299 300 301 302 303 304 305 306 307 308 309 310 311 312 313 314 315 316 317 318 319 320 321 322 323 324 325 326 327 328 329 330 331 332 333 334 335 336 337 338 339 340 341 342 343 344 345 346 347 348 349 350 351 352 353 354 355 356 357 358 359 360 361 362 363 364 365 366 367 368 369 370 371 372 373 374 375 376 377 378 379 380 381 382 383 384 385 386 387 388 389 390 391 392 393 394 395 396 397 398 399 400 401 402 403 404 405 406 407 408 409 410 411 412 413 414 415 416 417 418 419 420 421 422 423 424 425 426 427 428 429 430 431 432 433 434 435 436 437 438 439 440 441 442 443 444 445 446 447 448 449 450 451 452 453 454 455 456 457 458 459 460 461 462 463 464 465 466 467 468 469 470 471 472 473 474 475 476 477 478 479 480 481 482 483 484 485 486 487 488 489 490 491 492 493 494 495 496 497 498 499 500 501 502 503 504 505 506 507 508 509 510 511 512 513 514 515 516 517 518 519 520 521 522 523 524 525