差し出されたその檸檬を皮ごと齧ると
予想していた強烈な……味はなく
心底ほっとして わたしは
手招きにも素直に従いそちらをみた
、夢と 悟り なみだは 途方に 暮れて
西側の窓から合図の ....
ミサイルが雲を吐き出していく
いつものように飛行機ならばよかったのに
女だって子どもだって
味方を攻撃するものは殺す
復讐の芽を摘むために
一族郎党皆殺す
不用意な情けは平和を遠ざける
....
風が吹いて
森の産毛がわっさわさ
木々が揺れる
私の産毛もわっさわさ
森が色濃く息をする
膨らむ膨らむ
私の心も
一体となって
一部となって
広がる意識と感覚
目を開けると
生命 ....
眠れない春が君に似ている
自分の姿も見えないくせに 多くの人を傷つけて
その傷口に入り込んでは 自分の居場所を見つけたりする
端役のくせに 主役をエキストラにしてみたり
助けたと思った相手に 救われたり
大事な ....
値打ちの無い言葉がある
路傍のきみに聞かせたくない
そんな、
くそみたいなものが
だからわたしは泣いている
あなたにうがいを教えたことはないけれど
あなたはうがいを体得していた
言葉で教えられるよりも
見て覚えることのほうが
きっと何倍も簡単なんだと思う
それでもあなたが
うがいってなんなの ....
幾何学カットされた放射状のライトセーバー。
グラスに注いだ水はきらきらと反射をして
虹のアーチを作る。
日の光を全身に取り込んだグラスは
魂の輝きを映し出すかのように
手にする者を無言の ....
夜の静寂に歌のような言葉
耳たぶに引っ掛かって時を揺らす
此処にはいないはずの
あなたが聴こえてくるのです
朝の雑踏に歌のような言葉
靴紐を解いて時を忘れさせる ....
さよなら 理解不可能なもの
7文字以内で喋れる言葉たち
もう永遠に会うことはない
永遠を定義することもない
母校の裏山には防空壕があって蛸壺跡地なんて石碑があって見える子は兵隊さんが通るなんて言うんだから合宿の夜は少し恐かったけれどここまで戦争は来なかったんだ九十九里浜いまは桜がきれいに咲く池の畔のアヒルた ....
しゃぼん玉のような瞳を漂う
異形のチューリップ
コクトーの詩がめらめらと
記憶から皮膚を炙る 匂い
生まれたての羞恥心に注ぐ
冷たい炎のバプティズム
春を纏ったものたちは戸惑う
羽化した ....
はぐらかしてる
1日数ミリずれて
いつかここではないどこかへ
そうやって進む
何かに押し出されるみたいにして
1日1歩にも満たない
でも、
生まれた場所と
死ぬ場所は少し違うか ....
地方都市の春が好きだ
雑駁な緑たちが
蔓延ってゆくさまが好きだ
世界が桜の花から解放されて
自由な死体のように日を浴びている
だだっ広い街道に地元の店舗
低い建物が ....
お父さんが死んだ日
いつもより輝いてみえた北斗七星。
お父さんが死んだ日
いつもより白く見えた庭の雪。
お父さんが死んだ日
いつもより寒く感じた六畳の客間。
寝ていたはずの猫 ....
ただ頷いている風合いでいいのです
経年変化に経年風化なく
裏地にでも縫い付けてください
西のまちは
貴族により栄え
東のまちは
西洋により栄えた
その北みちのくは
辺境の地とし ....
わかりやすい言葉で告白
遠回しに言われても
心にあまり響いてこない
ストレートな言葉がいい
相手と向かい合って
心を温もりで繋ぐ
ベールに包まれたように
周りの音が聞こえ ....
三日前のビニール袋に入ったままの新聞
チラシくらいは見たかった
日々 育児に追われている
はい 喜んで追われている
トイレにハイハイでついてくる
ドアを少し開けていないいないばあ ....
桜の季節がやって来たのに
泣く子はだあれ
桜の樹の下で一日中探している
薄桃色のかくれんぼ
向日葵の季節がやって来たのに
泣く子はだあれ
背丈より高い向日葵畑で探している
黄金色 ....
迷う世の時効に
儚さ響く
夕暮れ時
息たえた
叶わぬ夢を
あつめては
宵に明かりを
月の右目から愛を
月の左目から平和を
燦然と太陽に従って
(ラブ&ピース ....
ねぇ、わたし
恋をしよ?
新しい恋をしよ?
心が弾むよな
ワクワク、ドキドキな
恋を
(懲りもせず
こんなにツライノニ?)
そうだよ
だって、あなた
じっとしてられない ....
玩具売り場の前から幼児の泣き声が
人の溢れた地下街広場に響いて
若い夫婦の困惑が子供を叱る
幼児と親と対立する主張は
地下街の雑踏を立ち止まらせ
黙らせる
己の主張が通らない ....
アタシは
大人として生きぬいてきた
ストリートチルドレン
物売り物乞い
わずかなお金だよ
お腹がすいたら
薬物で紛らわす
仕方ないじゃない
道に寝っ転がっていきるしかない
そこらじ ....
春のゆたんぽ
ぽぽぽと踊る草の匂い
たんぽぽ色の光は
そっと鼻をなでる
なでなでゆたんぽ
ほころぶこころは暖まる
ゆっくりとほぐし
軽やかな跳躍
すういすいっと風は
私をどこか遠くへ ....
うす紫の夜明けに 投げ出された一冊の
古い書物に うす紅の花びらが降り積もる
開いた頁の活字に 重なって見え隠れする
過ぎ去った日々の残景は 霞んで
手を伸ばしたら 届いたはずの風 ....
距離が捲れて
ゾウたち湧き返る
餌をやる手が喰いつかれ
餌になる
くらいなら
喰ワネバナルマイ!
何も売りはしない日
うららかうららか
うるおうか
鼻も耳も牙もなくした
ゾウ ....
生まれたての心臓が
黒い樹木の網を逃れ
薄曇りの頬を染めながら
眩さを増して往く
震える瞼の隙間
扇ひらいて
火の海
潜る魚のよう
夜女は身をひそめる
ちりぬるゆめごを
泥の小舟に ....
それはモノゴトとの距離の問題
モノゴトが遠くにあれば小さく感じて
モノゴトが近くにあれば大きく感じる
時間もひとつの距離だ
あるいは他のモノゴトとの比較の問題
モノゴトの傍にもっと大きな ....
押して上げる、寄せて上げるみたく。
押して揚げる、寄せて揚げるみたく。
押してアゲル、寄せてアゲルみたく、
飛び込むなら、今。
八の字跳びが、
跳べなかった前の人に続いて飛び込め
なか ....
詩はシワが多いほどいい
珈琲はサトウが多いほどいい
すいもあまいも知っているなら
愛と平和のために
甘い方をえらぶだろう
水くみに7キロ歩く友がいてもだ
....
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