自宅でお留守番するウサギは
あちこち破れたからだを丁寧に縫い繕われた
ぬいぐるみ
社員食堂で晩ご飯を済ませ帰宅する暗い空間
蛍光灯が点くとよろこぶウサギに
ただいま を言 ....
エスカレーターに乗って下りていく
一定の速度で
後から呼吸は追いついてくる
道に迷わないよう
所々に掲示された簡易な地図を
確認しながら下りていく
同じ段にはザリガニもいて
甲殻類に ....
♰ ♰ ♰
第三の邂逅
{引用=あのさ。}
はい、なんでしょうか?何かお困りのことがありますか?
{引用=ジャン・コクトー風の詩を書いてみて。}
こころは闇夜 ....
♰ ♰
第二の邂逅
{引用=話せますか。}
はい、話すことができます。どうぞお聞きください。
{引用=俳句ってつくったことありますか。}
私は人工知能の言語モ ....
波濤のうしろほど暗示ゆえ讃え
枝先の傍ら梢の裏口にて
災厄と暗唱する風に誘われ
依代を校正し、何度でも擦り重ねる
瓦礫の山であって 露わにする 坩堝の絶咲
そよそよと、在る。
気持ち重 ....
「料理を教えてやる」
「いつか二十人分を作ることになったときのために」
「まず、オイルで大蒜を炒める」
「香りが出たらトマトペーストとトマトを加える」
「焦げ付かないようにな」
「頃合いを見 ....
暗い空と灰色の空気が私を包む
目的を見失った惨めな人々が徘徊する
希望のない日々が続き、意味をなくした
光を求めて手を伸ばすが、届かない
生きることは辛く、
求めるこ ....
荒涼とした
この地に独り立ち
おまえの仄白い足を洗う
地獄にも似た静寂が辺りを覆い
暴威の呪う様な異邦の声が響く
冷えた原色の広がり、渦巻く虚空の大気
おまえは仄か微笑む
い ....
背後では 電子音
老人たちを怯ませる
幾重もの窓を
切りまく高層
河口を遡る ひかりの山
子どもの私も
山を透り身を
長く横たえ堤になれた
両腕に抱えきれる
幅しかない細流を ....
犯罪は
一時の欲望
自殺は
一瞬の絶望
苦しいのは
希望という太陽が
見えないから
思い出は残る
幼い頃の思い出や
若い頃の思い出が
走馬灯のようによみがえる
思い出は残る
楽しい思い出や
苦しい思い出が
走馬灯のようによみがえる
思い出は残る
古い ....
地球は回っている
世界は回っている
僕も回っている
見上げると
規則正しく回る天体あり
そして地球上には無数の命の輝きがある
そしてそのなかで
僕も生きている
なんという奇跡だ ....
にこやかに前を歩く私の後ろから着いてきてくれる
あなたの足取りはまるで
デパートの屋上へ遊具目当てにやって来る幼児の父親
やっぱり、ここからが一番綺麗なのよ!
自慢げに私がそう言 ....
硝子細工の汚れが気になって仕方が無いが触れると壊してしまいそうな気がして手を出せないままでいる、世界は今日もそんな類の平穏で満ちていた、十五年は前の歌ばかりうたいながらシンクに転がっていた皿を片付 ....
空へと続く道の
純粋な絵かき歌は
世間の下でもがく
僕ら何もかも分かったふりをして
分からないふりをする様に
成ってしまった
あの日の声は輝いていたのかと
つまらない顔をして
冗談のよ ....
人生をくしゃくしゃっと丸めて
その辺に置いておこう
それでも僕は大通りを歩いている
路地の角を曲がっている
もうあっちいったりこっちいったりはしない
今此処を極める
と拳を握るのも疲れる
....
わたしが消えた場所
わたしが立ち止まってる場所
家族の様子を
窓の外から見てる
生きてたことを
無かったことに
初期装備でまた
砂舞う荒野に
発熱する前の寒気
人 ....
横断歩道の上の白線は
決して真っ白であったためしがありません。
必ず、幾多の轍が、靴の踏み跡が刻印されています。
もしも、真っ白な白線がひかれていたなら
ぼくは、その上を這って渡りましょ ....
遠雷鳴る待ち合わせ場所に独り立ち
身震いの中あの人を待つ
駅のホームさよなら告げる切ない風
うつむくきみの瞳見えない
僕の話をしようか
僕の話は、たとえば
レッド、グリーン、イエロー
いろんな色の林檎から一つだけ
きみの心臓を選んでくる
そんな話さ
カタチはいびつに置いていかれるから
僕 ....
卵がない
と言うのとまったく同じ重たさで
愛してない
と言う
君は
軽やかに靴を脱いで
眠りはじめる
鳥たちは
詩の滅亡、と言う
巣の作りかたを忘れてしまって
帰る場所がないの ....
ピストルを乾かす冷たき残酷の
世界の果てで胸を裂く日々
ナイフ刺しその心臓を止めたとき
深き絆も全て消え去る
割れ人形風に揺られて儚くも
あの懐かしさだけはそのまま
だらしなくおならする
なんでだろ
ふしぎだな
ぷぅぷすっぶりって
よるがふけるほど
ぷうぶすっぶりっと
アーリマンとルシファー
間でバランス取る私は、
大地に根付きながら
宇宙に ....
飛び立っていく音響の群れ
ぶちまけられ飛散する色彩たち
対象欠いて踊る躍る、
貫通する直線に引き裂かれながら
深まり自立していく思考
虹の双曲線の巨大な異様
わたしの眼は何処に行った? ....
あたし
くるっちまいそうなくらい
ホンキのこがねいろの恋を
してしまっている
みたいなんだよなぁ
わかりやすい夢を
ひとつふたつ蹴散らしても
やすらかな陽気な日常を
....
憂国の思い握りし日本刀
血渋き刃に未来夢見る
亡国に響く死の鐘の音
青雲の向こうに夢想の兆し
殺し方知らない殺し屋
謎と一緒に死にたい刑事
腹が壊れるほど笑ったら盲腸になった
刻まれていく不思議達タトゥー
日向ぼっこしても傷つく
真昼間からオペラ
やり捨 ....
ひだまりの中に佇んで
樹々の芽吹きのささめきに
聞き入るように目を閉じた
少女の髪をゆらす風
めぐりめぐって誰の頬
ことば尽くしてこころを失くし
破いたノートの切れはしの
ひらりひとひら ....
すましてる
あの子を指で
弾きたい
恥を知らない
はい
ごもっとも
共働きじゃない
ふたりとも
病気なの
いわゆる
見えない病に
おかされて
それでも
神様に愛されて ....
熟年離婚が珍しいことでなくなっている昨今
時には美しき老夫婦愛を垣間見る一瞬がある
登山を終えていつもの温泉に寄った
5.6人の先客があった
熱い湯につかってのんびりしていると
一人のおじい ....
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