日々の感情の起伏を
記す
文学なら 直木賞
式部より 冬はつとめて
鎌倉時代 かな文字で
経を説いた 高僧
小説を書きたくて
画家と同居してしまう
宇野千代
一瞬で ....
ふっと
水気を含んだ本の両脇
不穏がととのい
遡上がはじまる
奥の詩から女がたちのぼる
ひるがえり
紙面にむんずと顔を押しつけ
ことばのインクの溜め池は
頭頂に浮かぶ
巌流島から ....
旅の荷を置き
コートを脱ぐ
ジョン・レノンのフォト
ゲルニカのポスターが
あたしを迎えてくれた
あっ・・・
トクンと胸が鳴る
それだけで
緊張がほぐれた
あた ....
萩原朔太郎、西脇順三郎の次に来るのは、わたしにとって、
鮎川信夫になります。
実はこの間に、詩史的には、プロレタリア/モダニズムの
時代が存在しているのだが、隆盛を極めたこの時代の詩人た
....
俺がどんな言葉で話をするか君に判ってもらえるだろうか
俺の大脳皮質からウミガメの卵のようにぽろぽろとこぼれてくるものの形状が
君の感覚野にまで届くことがあるだろうか
凍えるカーテンの向こ ....
ひなびた温泉地の
居酒屋で
地酒の熱燗を呑む
まわりは
方言を使う
地元のお客ばかりだ
あさりの酒蒸し
厚揚げ豆腐を
肴に
2合の徳利を
猪口に注ぐ
木作りの梁
温 ....
きょうの
わたしの
脳層
しわくちゃなので静かな紙面に舟を浮かべると
宙の上で均衡がとれるように
その点において
静置する
対になるその
たゆたう舟の影も
水底でしわをつくって静置する ....
あるひのいっしゅん
みどりにひかる
わたしの元素
萩原朔太郎といえば、条件反射的に、西脇順三郎の名前が連想されるのは、
この二人の活動が時期的に近く重なり合っていて、多くの全集本では、一
冊に纏められているためがあるでしょう。朔太郎の次に私が愛 ....
僕は正装してそこへ向かい
ドアの前に立ったのだけど
鍵穴から嘘が見えたので
そのまま部屋を通り過ぎ
隣の部屋で服を脱いで
行きずりの女と一晩過ごし
手紙も一切残さずに
あなたのもとを去っ ....
記憶と思考の距離はとても近く
まるで月と太陽のように惹かれあい
影響を与えている
重力のように
忘れたい記憶は忘れられるのかな?
一つを忘れるたびに 忘れようとするたびに ....
あなというあな
ささやきあいつながらない
他という他
なかというなか
すくいあえないたよりなく
よくというよくがうようようやく
なかよくなく。
{引用=
満月の夜には
外にでてはいけないと老婆はいう
ふらふらと外にでて
川を遡上
青い山に囲まれた
いちばん星空に近いその湖に行ってはいけないと
ゆらめ ....
二十数年ぶりに見た
人の骨は
白く
しっかりとしていた
ついさっきまで
人として
形をなしていたものが
手術台の半分くらいの
てらてらした
金属板の上にある
寿命 ....
たんねんに こさえた ゆきうさぎ
あなたが ふりむいてくださらないから
きょうも 赤い目の ゆきうさぎ
い 色恋は風の道
ろ ロケットは落とすもの
は 恥知らず有頂天
に 妊婦忍耐 産んでも忍耐
ほ 星の数よりヘボ詩人
へ へカテ元アフロディテ
と トイレはシステムの始まり
ち 痴漢の ....
もろくずれるようで
なみだもろくなく
ただようばかおも
しろくもろくやわらかくひかるしろへ
(2011・1・2mixi)
寅から兎へ
ひきつぎはぎ
はずれはぐれさき
けなげでありたく
ゆがみのたえられないおもさを捨て
あけまして
おめでたく候
2011
(2011・1・1mixi)
へなちょこ人のへらへら絵がかかれた薄っぺらなかみがくねくねしながら、
「ちょいと、そこのあんた、あたしと遊ばない?」と、指を誘う。
蓮っ葉かみは、指に抵抗ざらざら。
さらさらときれいに流れない ....
わたしのなかの楽譜
(2010・12・28mixi)
妻が突然
海に帰りたいのと言い出した
あの日、裸足で駆け出したのは
お魚くわえた
どらねこを追いかけたわけじゃなかったの
なぜ今になって
しゃべりすぎたことを恥じるようにそんなこと ....
されて
き
ちがい
ちがわない
どうにもここにも
きになる
(2010・12・27mixi)
次女を産んだ 赤十字病院は
母子同室だった
その日は 満月で
ベビーラッシュ
土屋さんは もう大丈夫よね
そう 看護士に言われて
まんまるの目の大きな新生児は
半日 ....
夢に根ざした情熱は
けれどガラスのように脆い炎だ
その熱情は外に向かって放たれ
壁の前に砕け散る
それでも消えずに突進し続ける
ドン・キホーテの姿は哀しい
ゴッホの空咳 コッホ、パスツール ....
するからこい
(2010・12・25mixi)
とまれない夜
(2010・12・24mixi)
ひとはみな
死を まとって 生きている
生まれ 出でた
その日から
生を 全うした もののみが
宇宙へと 溶けこみ
次の生へと 流れていく
死をまとい 迷い まとい
今日も ....
高野山僧侶四十名による声明
坊主になれ坊主になれ坊主になれ坊主になれ
坊主になれ坊主になれ坊主になれ坊主になれ
坊主になれ坊主になれ坊主になれ坊主になれ
坊主になれ坊主になれ坊主になれ ....
自然など存在しないこの世にはすべて人工この木も草も
夕陽受け際立ち光る葉の裏は真っ暗闇で不平等
陽が落ちてそれでも光が残る頃その石からも流れ出すもの
残酷な夢を見たあと心澄む切られた ....
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