冷たい窓ガラスに
一匹のヤモリがいた
わたしとヤモリは
互いの存在を
ほんの一瞬で認め合う
空気がほんの少しだけ
動いた気がした
目が合ったのだよ
確かに
あの時

人間と虫
 ....
キリストよ、早く降りてこい!危ないぞ!”

と教会の屋根の先端で十字架に張り付いたままのキリストの自殺行為を一応止めたのは禿げ頭の吟遊詩人である。
彼は文字通りあの神の国、或いはこどもの国に禿 ....
耳をふさいだ
魚をたくさん入れたバケツをひっくり返したように
空は近距離で
青かった
今夜あたりが祭りの頂点か?
ぼくは彼女の心を缶詰に入れて
持ち歩きたい気分だった
完全に ....
   ―歩いていたのは七〇年前―

前方は霧に閉ざされて
先導する人は見えない
が 上空に山の頂が透け
笛の音は聞こえる

山の頂き
そは 蜃気楼か 実象か
先導する者は知っていると ....
こんな潔癖に晴れた朝でも
新しいものなど何もないのだ
木にしても空にしても光にしても
すべては太古からの使い回し
真に新しいものなど何もなく
きわめて古いものが形を変え
手を変 ....
翼と靴を売って、歌を買いました 黒髪ボブに茶色いメガネな顔色悪いな文学三十路
(ルビ:ぶんがくしょうじょ)をこうだと決まれ
ば突っ走るしる二十歳に二年たりない歳からフラ
フラっとな根無し草くさ知りたいなってな一冊の
詩集が私 ....
AVの延滞料で救えた命がある 花冷えのトランペットの長い音 夢みていたのは二十歳を越えることだった
学校も卒業して社会に出て(とりあえず
予感していたのかな)挫折した
そのまま 挫折 を歩いています
挫折ってとても素敵
いまがあまりにも素敵だから ....
うまれいずるものを
おさえこむちからもなく
うまれいずるものは
しずくとなりわたしの腕から流れ出る。
宿命と名づけた
うまれいずるものは
わたしの耳を支配し
目をからめとっ ....
時計の針が壊れた残骸のある
人気のない広場で口笛を吹いている
早朝の光に満ちているが
もはや早朝といった時間を超えている
みな、何かを確かめようと躍起になっている
私は既に確かめ ....
価値を洗う

匿われた秘め事に添えられて
命の枝葉を派生させてきた
夜の露の中でしか満たされない静寂を
静かに土中へと引き寄せる

裏切りの奥を問い詰めれば
逃れられない渇望と
分か ....
ちりめんじゃこを
食いながら
一匹一匹に
詫びを入れる
イルカの絵買ってから音信不通やけに激しい風が吹いてる こんなにも
ひろびろと
あおい風のなかで
ぼくらは
鳥になれない

だから
雲よ
ぼくらは
こうして寝ころんで
風をつるのだ

頂にさく
空のしずくのように
お腹から卵を一つ取り出して 私は一つの「し」をつくる
月に向かって 卵を放り投げておくと
月は空で泪目になるころ 「し」をこぼす
私は卵を産むために 屋根裏部屋で猫とじゃれ合い
卵を夜 ....
今日も漂いクラゲになって

疲れ果ててもおれは歩く

いにしえにこだわるきみ

変わりゆく言葉は生き物

出せないきみはなにしてる
わずかな時間の中で
何度も
何度も訪れ、もう
その存在を信じることも
できなくなった情景
静かだった場所はそうでなくなり
またすぐに静かな場所に戻

誰かがいたことに
気づくの ....
いつだか忘れるくらい昔のことだ
うたたねをしていたやかんは飛び上がった
お尻に大火傷を負い落っこちた
あららお水を入れ忘れた
それにしても駄目なやかんねえ
優しいおばちゃんは呟いた
無茶苦 ....
「暑いよ、暑いよぅ」

振り向けば
声の主はキャベツらしかった
東八通りでおれは
扉が透けた
コインロッカーのようなものに
入れられたキャベツに
助けを求められていた
これが新型 良 ....
KISSのことAって呼んでいる人の頭上に浮かぶ藤子不二雄A  
 
理由のいらない椅子が並ぶ
未明に墜落した紙飛行機の残骸と
食べかけのルーマニア菓子
砂浜の砂の数は
既に数え尽くしてしまった
栞の代わりに挟んだ魚が
静かに発酵して
すべての ....
人間としての純粋さは
美しすぎる少年のように夭折した
私はそれを補うものとして
社会という書物を解読する意欲に満ちて
純粋なサラリーマンになった
だが純粋なサラリーマンはあっけな ....
煎餅の臭いとディーゼルカーの音 男と女がイビキで話す


背比べ ギャラリーいてもいなくても 靴は厚底 踵は浮かす


「セミの今年最初の声を記録せよ」 無理難題を気まぐれに課す
 ....
人生の沸騰する地点に足を踏み込むと
風景は次々と変転する映像となり
社会の新しい通路がどんどん扉を開き始める
人生は貪欲な海のように
人から物から制度から巻き込んでいき
至る所が ....
酔い酔いて塩なめる

塩なめて初めの味を知る

浜に出で潮の匂いただよう

岩塩をこつりと噛む苦さ

身体を走る潮の匂い
雨粒が小さな花を咲かせては
微かな匂いとともに散っていく
この瞬時の花々は
大地のてのひらに握られ
次々と貴重な命を失っていく
これは供犠であろう
あるいは祭儀であろう
今日 ....
生まれてくることを
たくさんの罪行を
積み重ねていくことを
風の広がりそのものである
行政官にゆるされたときから
私も同じ分だけ他人の罪行を
ゆるすよう定められていた
私は未 ....
〝おれは頭はいいが狩りは苦手なんだ〟
ジェンマは呟いた
〝誰にだって得手不得手があるってもんさ〟

同じ年に生まれた若い狐たちからは
「下手くそジャンマ」
「まだ一度もうさぎを捕まえたこと ....
アラガイsさんのおすすめリスト(7499)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
跳躍- そらの珊 ...自由詩17*15-6-29
感電- A-VOW自由詩215-6-29
太陽とデニム- オダカズ ...自由詩1*15-6-29
「ハメルーンの笛」に曳かれて- イナエ自由詩11*15-6-28
新しさ- 葉leaf自由詩215-6-28
高原の青い薔薇- もっぷ自由詩615-6-28
会ったこともないのに、よく知ってる感じ/即興ゴルコンダ(仮) ...- こうだた ...自由詩4*15-6-28
AVの延滞料で救えた命がある- 北大路京 ...自由詩915-6-28
花冷えのトランペットの長い音- 北大路京 ...俳句215-6-28
感想- もっぷ自由詩315-6-27
ヤモリ- あおい満 ...自由詩715-6-27
時計- 葉leaf自由詩415-6-27
◎価値を洗う- 由木名緒 ...自由詩11*15-6-27
ちりめんじゃこ- もり自由詩5*15-6-27
イルカの絵買ってから音信不通やけに激しい風が吹いてる- 北大路京 ...短歌315-6-27
空のしずく- 草野大悟 ...自由詩5*15-6-26
屋根裏部屋で「し」を作る- 為平 澪自由詩1115-6-26
孤毒- レタス俳句215-6-26
明るいところはどこにでもある- noman自由詩215-6-26
やかんとおばちゃん- 宣井龍人自由詩11*15-6-26
良心- もり自由詩2*15-6-26
KISSのことAって呼んでいる人の頭上に浮かぶ藤子不二雄A- 北大路京 ...短歌715-6-26
理由- たもつ自由詩1615-6-25
かなしみ- 葉leaf自由詩515-6-25
セで始まってスで終わる- 深水遊脚短歌2*15-6-24
- 葉leaf自由詩115-6-23
海より- レタス俳句1*15-6-23
雨粒- 葉leaf自由詩415-6-21
ゆるし- 葉leaf自由詩315-6-18
『聖母ジェンマ』__卵から始まるはな詩②- ただのみ ...自由詩22*15-6-17

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