焼き場で
まだ熱い骨を拾いながら
生きててえらかった
と言う
レエスの縁のハンカチが
小さなポケットからはみ出して
花に埋もれたあなたは
びっくりするほど小さい
いつ終わるのか ....
僅かな振動、それは肉体の中で生まれていた、リズムが求められ、理由は求められなかった、進展が求められ、完成は求められなかった、渇望は凶暴だったが、今夜はそのまま表現されることは望まれなかった、暴風の ....
1584年の天正遣欧使節の後、
反カトリック勢力である
ネーデルラント北部7州の独立後、
オランダ東インド会社の設立と
アムステルダム銀行の設立を見たうえで
伊達政宗は支倉常長に命じて
ス ....
○「価値観の見直し」
「文明主義」
「自由主義」
「民主主義」
根幹がゆらいでいる
新しい価値観が必要とされている気がしてならない
○「ヒューマンエラー」
僕の田舎では
「言った! ....
幼いとき
旧電車通り と大人たちが呼ぶ
ながい一本道を渡り
手習いを教わった
空も海もしらない
蛍光灯の平板な光がまぶしい
美しくも醜くもない
手本を右に
半紙をよごしてばかり ....
あれは五年前、ぼくがまだ大学院の二年生のときのことでした。実験室で、クロレート電解のサンプリングをしていたときのことでした。共同実験者と二人で、三十時間の追跡実験をしておりました。途中一度でも ....
大地が揺れ
津波が押し寄せた
家屋が押し潰され
多くの住民が下敷きになった
山が崩れ
道路が壊れた
言葉を失う震災冬景色
そして冷たい大雪が追い討ちをかける
食べ物がない
水がな ....
畔のみちを濡れながら
駈けて行く少年が
不意に 透明になってしまった
もう同じ姿では帰ってくるまい
寂しさが静かに
胸を浸してゆく時がある
貴方と再び相逢う日のない事 ....
○「バースデー登山」
昨日は僕の誕生日だったので
友人と山に登った
よくこの年まで無事に生きてきたな
と感謝しながら
素晴らしい眺めと池田湖の菜の花に元気をもらった
○「老害」
年を ....
夢のなかに
大好きだったおじいちゃんがいる
しずかにわたしを見つめている
なにかを言いたくて
なにも言えず
冬は皮膚がかたくなる
さみしさを大切に抱きしめて丸くなる
さむいよ
また ....
永遠と続くような
耳鳴りの海と
目に入るのを遺棄する光線
何も見えない私が
愛になる訳がなく
一時、一時、一年
夢とする
どこを彷徨っているのかしら
暗雲であるということ
誇れないそ ....
絶対届かない詩がある
死者への詩だ
私はまだ生きている
そんなにじろじろ見ないでくれ
独り言は遠い
秋過ぎて
名残の風は
漂泊の
想いで刻む
たむけ花
{ルビ荼毘=だび}に付したる
{ルビ骸=むくろ}には
五色に浮かぶ
{ルビ懸想文=けそうぶみ}
てのひらほどく
文様も
....
古書店に入ると
老夫婦が内田百閒の日記について
話を交わしていた
百閒先生は
なして小倉については何も
書いちょらんのかねえ と
うねる波の発音に
懐かしい歌謡を聞き分けた
....
ズズズズズズドンッと
とつぜん、学校が
手足をのばして
立ち上がる
で、ドドドドドッスン
ドスンと、しこを踏むと
走り出した
窓から、扉から
子供たちがこぼ ....
僕は買い物は一分でも早くすませたい性格だ
だから
「あんたこれ賞味期限見て買ってきたあ?」
とか
「これまだうちにいっぱいあったのに!」
とかワイフにいわれることしょっちゅうである
また値 ....
登場人物 夫──壮年のサラリーマン。
妻──夫より三歳下。専業主婦。
娘──短大出たてのOL。
舞台 東京都世田谷区の一戸建て住宅。
(平成二年、八 ....
もやぐ朝
夜が朽ちて
朝が生まれる
霧に覆われた街は
港へと変わる
赤い太陽は
無音の出港の合図
けれど想い出は
いつでも切ない
胸に
錨をおろしたまま
さ ....
若い頃は
「○かⅩ」の思考であったが
近頃は「△」が増えてきた
老いるということは
△とともに生きていくということかもしれない
ともに歩いている砂浜、
こちらをむいて、
つよい波風にすこしウェーブがかかる、
花のように、首を、傾ぐ、
ながい黒髪の、まるでオニキスのようにまるい、
とてもおおきな瞳、
しろいレース柄の ....
ふたりで拾った
透明で硬く紅い卵
ぼくが生き物係になって
手のひらで暖め孵化を待っている
何が生まれるのかわからない
虫眼鏡で眼を凝らしてみると
真ん中がトクトクと脈動している
....
古稀を過ぎた女房が
医者から「五十肩」といわれうれしそうである
患者に喜ばれる病名なら治りが早いかもしれない
これは「美人鼻炎」です
これは「エリートハゲ」です
これは「イケメン腰」です ....
○「他人の目」
他人の目が気になって
電車に乗れない人のように
他人の評価が気になって
詩が作れなくなったら困る
僕が詩を作るのは
ボケ防止のためだから
○「派閥裏金問題」
大谷選 ....
さて 一度だけふり返り
降りたばかりの船を見る
木犀の香が夜に{ルビ水脈=みを}をひく
徒花とは呼びたくない
旅の仲間が好んでた
南洋の煙草が髪に残る
裏町の匂いだと笑ってた
襟の正 ....
夜の{ルビ静寂=しじま}に独り遊びは慣れている
悲しみと 愛しさの狭間でウイスキーをあおり
君を待つ秒針だけが過ぎてゆく
期待と不安がよぎる交差点
ヘッドライトだけが過ぎていく
ぼく ....
ぼくが帰るとき
いつも停留所ひとつ抜かして
送ってくれたね。
バスがくるまで
ずっとベンチに腰かけて
ぼくたち、ふたりでいたね。
ぼくの手のなかの
きみの手のぬくもりを
いまでも
ぼ ....
ウクライナはもう終わったんですか?
今はパレスチナですか?
ウクライナはもう終わったんですか?
あの怒りやら涙やら全部
今はパレスチナのものですか?
ウクライナはもう終わったんですか?
も ....
その手についた砂が
立小便したペニスにはりつく
まなざしは少し不安げで
夜の川の冷酷さに溶ける
パンダを見た先週の
頭のふけがサラサラと落ちる
まるで小穢い悪魔の様だ
弱い酒がくるりと廻 ....
曲がり切れないカーブは
初恋の人の背中に似ていた
触れたくても逃げていく
それは風のように柔らかく
ほんのちょっとの憧れを
焦がしてしまった
胸の中に太陽がいる
私の瞳だけは
....
その日、二ヶ月に渡る療養の挙句に会社に見捨てられた私は、まっすぐ家に帰る気にもならず、電車にも乗らずに当てもなくぶらぶらと歩いていた。田舎の高校を卒業して六年間、特別な野心も意欲も無いまま働き続けた仕 ....
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