声を触っているうちに
忽然とある日ひとだった
言葉は貧弱だけれど
壊れることのない強さと温かみがあった
恋をしていたのだと思う、生きるということに
固形の身体と
呼吸はいつしか覚え ....
軽やかに
紡ぐ
内から
沸き上がる
思考の糸を
生まれたての
子供のように
普遍の宇宙を
舞いながら
世界の響きに
身を委ねて

沈み込む虚脱は
苦痛の肉体と共
忍耐を背負 ....
貧しくても陽は昇る
と慰められたが
富を握る1%にも陽は昇る
ご来光は闘いだ

「もう武器は造りたくない」
と彼は日記に書いた
書いただけで
今日も陽が暮れた

舗装された道路で
 ....
○「WBC」
投手のことはかなり話題になっている
一方で捕手のことは
ほとんど話題になっていない
160キロを越える球を
きちんと受け止めるというのは
大変なことであろう
投手が活躍でき ....
あれとって
とかいう瞬間の落下
これがわたしだとさしだしている宇宙へ
さしいれられた手紙の中で
きみはうんとないてもいいし
たくさんわらってもいい
どっちでもない状態を
保っていてもいい ....
僕の部屋は世界の一部を切り取ってできた図書館
明るい修道院でフィヨルドの冷たさを内包している

戦争でたくさんの僕が死んでゆく
たくさんの君が失われてゆく

誰も混沌からの道筋を知らない
 ....
 六棟の高層マンションが近距離で建つ
 そこに住民の憩いの場として
 児童公園とグラウンドが設けてある

 広場の桜並木には二人掛けのベンチ
 一脚に休憩中の清掃員が一人座っている午後
  ....
第七章……そもそも詩とは?


 再び、秋の夜です。「〈根源悪〉の原体験/異邦の恐怖(改訂8)」」という詩を批評し終えて、わたしは少なからずほっとしています。この批評はリアルタイムに書き ....
いつも優しくなれなくて
ざらざらしている舌を
外に出せるほど幼くはない

昨日の影に怯えながら
誰かの愛を求めても
オブラートみたいに包めない

きっと破れて
光の方を選ぶでしょう
 ....
○「横から目線」

上から目線よりも
横から目線のほうが
胸へすとんと落ちる
今日の友人からのアドバイスがそうであった
「二段伸びはしない。立て伸びだけ」
というアドバイスを参考に練習し ....
毛糸の陽だまりにも春は来ていた
健気に母が計算した数式は
今朝、消しゴムで消しておいた
経験だけではどうしようもない
結論や結果があって
けれども僕らは
健康な明日を願うのだった
 ....
戦争が平和を利用する
平和とは略奪だ
子供たちを巻き添えにして
パンとチーズのために、
俺の家族のために、
容赦ない 機銃掃射で平和を願う
皆殺しによって、
街に平和を取りもどす
年老 ....
○「独り言格言」

*「人の一生を充実させるかどうかは
  学ぶ力にかかっている」
*「グローバル社会
  円安によって我が家のおかずも一品減った」
*「自分を知れば道は見えてくる」
* ....
世界は崩れ落ちたりなどしない、その中で右往左往する無数の個が、語ることもままならず腐り落ちていくだけだ、眠ることのない二四時、薄暗がりの部屋の中空にそんな言葉が捨て置かれていた、後頭部を包み込む枕 .... 順番がきて
名前を呼ばれて立ちあがったけれど
なんて言えばいいのか、なにを言えばいいのか
わからなくって、ぼくはだまったまま
(だまったまま)うつむいて立っていた。

しばら ....
ゆでてあえるだけ


コーヒーのパスタを食べた
ゆで過ぎたべたべたパスタ
変わる味の微妙な茹で加減

スタバでコーヒーを飲んで
家に帰ってまたも挑戦して
ふるいレシピをコピーして
 ....
さくら錯乱


さくら錯乱でも気さく
サクサク歩く桜道

月あかりに照らされ
ぼんやりと

音のない映像見つめた
部屋の中にしのび寄り

現れたのはさくらの霊
染井吉野は泣い ....
○「青春の回想4」

僕の友人の話である
中学生の時に二つ上の先輩から
いきなり呼び出されてめちゃめちゃに殴られた
どうして殴られたかはまったく心当たりがなかった
しかししばらくするとそれ ....
ふるさとは1行の詩よりも価値がない

と 少女は似合わない口紅のような言葉で
潮騒を1行に書きとめます

1行の言葉の地図を広げ
次の1行へと飛び移る

くりかえせば
言葉が連れて行 ....
 机の上で
 アレはこうして
 コレはああして
 この角度は写りがよくて
 ここにはフタをして

 ああ、貴男は
 いつもいつもそうだった
 かっこよく 生きたいのですね
 その ....
それが一匹、目の前にいる

それは狂暴ではなく、捕獲も容易だが
肉が硬く、臭くて食べられない

猫や犬のように見た目が可愛くもなく、
吃驚するほど大量の餌を必要とするので
飼育にも向かな ....
 積もり(の)

 桃(の)

 {ルビ舞踏=Tanz}(こそ)

 檻(だった)

 {ルビ芋=pomme de terre}(的な)

 {ルビ庵=iori}

 遂に
 ....
僕とだめになってよ
僕とだめになってよ
たばこやめるから
こころ忘れるから

僕とだめになってよ
僕とだめになってよ
酒飲むのやめるから
きのう忘れるから

寒くない日はずっと ....
薬指には琥珀蝶
唇には迷酔蛾を
硝子の自鳴琴が砂にかわるころ
万華鏡を抜け出して
朔の元を去ります。 

角を亡くした手鞠が気ままに転がっていく
この鬼ごっこも追いかけるのもまた自由で ....
やっと運ばれたラーメンに
小さなゴキブリが入っていたので
店員のお姉さんを呼んで苦情を言ったのだが、
なぜかマトモに話を聞いてくれない
挙げ句の果てには
「もう、これ以上粘着しないで下さい」 ....
○「シルバー会話」
年寄りAが
「あそこのあれよ」というと
年寄りBが
「あそこのあれね」とこたえた
まわりは爆笑したが
AとBはきょとんとしていた

○「不同意性交の禁止」
こんな ....
朝おきてお布団から見る天井は
思うより遠くて広い
へー てなる

たまにしか見ないし
忘れちゃうのか
年に数回
へー てなる

そんな朝は
年間ベスト何位かの良い朝なんだと思う
(ボクの知るところでは、
納得しきれないぐらいの綻びがある)

      宇宙旅行に行くには、まだまだ背丈が足りなくて
 生け垣の間からのぞけばまだ、遠く遠くが見つけ出せるほど
    ま ....
オレの青春は終わったんだ
そして人生がはじまった
でもオレの人生は磨り減るばかりではない
なぜならオレの青春がオレの胸に息づいているから
青春は呼吸し
青春は轟いている
悲しみさえオレの人 ....
家族みんないい気持ちで 
青空 桜なんか窓の向こうで舞って
つまみ食いをして怒られて
ウイスキーの空き瓶が窓辺でキラキラ

鮭を 箸で割って
骨が嫌だなーと思いつつ
テレビの音が大きいっ ....
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