行方不明者の残した手紙は
どんな気持ちで読めばいいのかわからない
閉じ込めた引き出しは空っとぼけている


ソプラノのリコーダー、その割れた吹き口の残骸、観賞用のナイフみたいな役立たずの ....
  <初恋の味>

イチゴは
甘くて酸っぱい
マーブルチョコレートは
ちょっぴり甘い
初恋は
夏ミカンの味
体じゅうが夏ミカンになって
ピアノをさぼった
今日のわたし
カルピスを ....
 この世の真理が溶けているという湖へ、入水自殺でもしようかと車を走らせる。近づくほど耳鳴りが和らいでいく。さながら告解室にいる気分だ。
 朝な夕な哲学やら宗教やらに明け暮れていた女を、昨日殺して ....
人並みに生きるって案外難しい
スプーンにいっぱい分の幸せを測るより難しい

パンひときれ分の幸せがあれば満足
それとも地球一個分なければ不満足

欲望が煮えたぎり
吹き零れそうだ

 ....
うっすらと
黄昏ふりくる流星群
みえない心で死んでゆく星



好きなあの人と夢で手を繋ぎ
あてどなき地の
サファリを駆けたい



恋なんて安心できたら恋じゃない
 ....
人の子供を人が育てると、人になる。犬の子供を人間が育てても人間にはならない。しかし、犬に育てられた人間の子供は、決して人間のようには育たない(多分)。昔からまことしやかに、都市伝説のようにその存在が語 .... タイムマシンは実現できるのか、ということを考えて、考えを整理していたら、近頃「youtube
」で時々みかける「ブロック宇宙論」なるものと同じような展開になったので、どうしてそうなったか記してみたい ....
サイパン島にも近年、大型の台風が
来るそうである。旧日本軍の墓守を
されている方がいて、このままだと
島の地形も変わり、洞窟なども破壊
され遺骨などを守れなくなるとtv
のインタヴューで ....
長い階段をゆっくりと
転がり落ちていく乳母車には
誰も乗っていません
あなたたちが見たくないと
目をそむけたから
あの子は最初から
いなかったことにされました

だから
母の悲しみも ....
この灰色の朝に
雨滴の落ちる
葉から葉へ
落ちた雨滴
つーぅと滑り
拡散して消える

繰り返し繰り返し

靄の中へ
手を振り
消える
君の姿
一瞬見え
はっとして
ベンチ ....
{引用=春の宵

巨人の足あとに水が溜まつてゐる。

ここからは月が近いので自転車で行かう。}


{引用=(二〇一八年四月十八日)}



  昼下がり


どうにもな ....
 
 誰かいる様な気がして ふすまを開けた

 隣の部屋は誰もいない

 更に隣の部屋のふすまを開けた

 そして また隣の部屋へ 隣の部屋へ

 どの部屋も 同じ様な部屋だ

 ....
  なつぐも
{引用=―エミリ・ディキンソン " AFTER a hundred years --"に基づく―}

ともだちがだれもいなくなったとき
わたしはその野原にいき ....
息子が米寿を終えた母親に
あと一年したら帰ってきていっしょに住もうか
といったら
一人暮らしが自由で一番いい!
といって断った
淋しくても不安があっても自由が一番いいようだ
清く正しく生きようとするやつが気に入らねえ
欲ボケて腹の弛んだ肉玉も気に入らねえ
政治家のケツをブログで突っついてるやつが気に入らねえ
海外ボランティア活動に志願するやつが気に入らねえ
 ....
{引用=おーさまーのみみはろばーのみみー
あれじゃなんにもきこえない きこえやしない
らんらんらんらん らんらんらん らんらんらん らんらんらん
みんなでうたおうらんらんらん らんらららんらんら ....
がらんどう
でなけりゃ鳴らない
灯りはいらない
隙間から射し込む程度
《{ルビ外面=そとづら}はいつだって焼かれているさ
がらんどうで
鳴かねばなるまい


万華鏡を回す要領
青白 ....
雨が降っている
間断なく

なぜ 雨を物悲しく感じるのだろう

たとえば 勢い良く降る驟雨は 元気で精悍ささえ感じる
まっすぐで 常に潔い

でも 夜になり 家のなかで ひ ....
.
―――― よくわかる話です。私も、ごく身近に性暴力被害に遭った人を知っています。彼女たちがその後どうなるのかは、体感的にわかっているほうだと思います。 従軍慰安婦という性暴力の極限的な形態を経験 ....
なにもない
わたしのなかには
わたしがいるだけ
気だるげな猫のように
死後硬直は始まっている
小さな火種が迷い込むと
すぐに燻り 発火し 燃え上って
肉の焼ける匂い
骨が爆ぜる――生枝 ....
北朝鮮を米国が
攻撃するかどうかが
連日テレビで取り上げられて
いろんな評論家がいろんなことを
言っているが
僕は二つの大事な視点が
抜けているような気がしてならない
北朝鮮攻撃をした場 ....
そらの匂いが
あじさいの花に
かぞえきれないかげを穿つとき、
虹の残り香が めをさます。

こどもじみた言いわけみたいに
するり、と
きえてしまった
あるはずだったものたち。

( ....
 父は十代後半に大原に入植。昭和二十年前半だったと思われる。
三十三年に私が生まれ、開拓村で生まれたので隣人が拓也と名づけたと聞く。
妹は五年後、自宅で産婆のもと生まれたのを記憶している。
 幼 ....
一日に一編の詩を作ろう
出来上がらなくてもいい
案だけで、発想だけでもいい
作ろうとする気持ちだけでいい

書けない日もあるだろう
其れが続く日々もあるだろう
それどころではない時期もあ ....
宇宙には壁があった

宇宙にも壁があったのだ

壁は油断していた

まさかぼくに触れられてしまうとは

思ってもみなかった

それでも壁は慌てるそぶりも見せず

慌てたところで ....
          {引用=

 (君、あの鞄は君に似合うが荷物になるかもしれない。
 (なぜなら、荷物とわかるには一度持ってみなけりゃわからない。
 (鞄がお荷物とわかったならばただのクズだ ....
 剽窃したい人はそこに居て、夏のセロリをしっぽから齧っている。水は生温い 
 が金魚鉢の赤い魚たちは夢を追わずきょうも元気だ。猫は背を丸めしっぽりと
  寝ている。 
 猫を抱き ....
富士は日本をしたがえて

フルスイングする屹立だ

ぼくは涙をしたがえて

外灯もゴッホの星月夜

富士は地球をしたがえて

フルスイングする精密だ


ぼくらは今夜宇宙の片 ....
   
 生きたまま花の化石になりたい
 という少女がいて
 街は、霞のようにかすかに
 かそけく 輝いているのだった

 ちちははの眠るやわらかな記憶の棺たち
 少女は母似の瞼をとじた ....
子供たちはそれぞれに武器を手にして、頭を押さえつけてきた街の中に飛び出していった、程なくいくつもの銃声がこだまする、男の声、女の声、年寄の…さまざまな悲鳴がビル街を跳躍して夜空の黒の中へ消えて ....
アラガイsさんのおすすめリスト(6671)
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