つめたい空気を吸い込んだ
早朝の僕を見つけてくれてありがとう
昨日は月の光を追いかけて
ハルモニアの響く場所をを目指して歩いたの
(きのう月の年齢を数え始めた)
つめたくて尖がっていた僕 ....
この問いは答えでできている、この答えは問いになっている。あらゆる嘘は事実の隣にしか存在することができない。わたしは何かを探そうとしている、ただしいものを探そうとしている。傾いた夜、かわいた秒針 .... 0.序論

 詩は言葉の信用性を失墜させていないだろうか。詩は、一方で、表現主体の内面を最も率直に表現する媒体として使用され、もう一方で、読者にとって美しくなければならないという要求のために真実を ....
酒乱のゼブラは
いつも酩酊で店に来た
五十五歳
痩身で長身、顔は土気色
ギトギトの黒髪と銀ぶち眼鏡
三白眼が据わっている

「やらせなさい」
「無礼者、下がれ!」
初めて怒鳴られた時 ....
いつものように仕事をしていた
アパートの郵便受けに貼られた
よくある 空室 の文字をなぜか
一瞬  そら室 と読んでしまうと
ドアの向こう せまい間取りの境界が
ぼんやりしてきて 真っ青な空 ....
夜が蓋をあけて覗き込む
よく 寝ているよ

運んでいるのは
ぱりぱりと笑う
ロウに遊ぶ 火
綿入れの中 冷たい手
雪のかまくら 水化粧

あしあとに あしかさねる
のののん しんし ....
葉緑素のような若々しさが抜け落ち

いのちはその住所に透明になるのだった


いのちはくれないだった

たしかに若さは欲望だ

いのちはきいろだった

傍若無人の欲望だった

いのちはちゃいろだった
 ....
嫌なものはイヤ!
そんな思いと折り合う

でも、おとなの分別とかじゃない
ひとが生きるって
爪先から血が滲むほど世間ってやつにしがみついて

それで何とかまっとうできる

違うかな
 ....
爪は残る

ひとはいない



しめった沈黙をやぶるとき
いつも声が漏れている
いつも雨が降っている

河になる 河になるA



(ひとのこえきこゆれど)

(さむざ ....
 詩とは何だろうか?詩の意義とは何だろうか?その意味とは?・・・・こんな朝日新聞の三面辺りに載っていそうな議題を打ち出してきたのは、この問いに答えるためではない。この問いを破壊するためである。詩人は、 ....  階段が、坂が、川が、ゆっくりと幅を狭めて、水から炎へ、その蔓の雨から暴風に向かって、感覚を遠く、近く、また遠くへと、ねじれた船舶の直線をたわませて、神殿は太陽を覆した、階段が、また階段へと、大理石の .... [http://kai-you.net/interview/528とhttp://dproject2.iza-yoi.net/about.htmlとhttp://www.otherman-record .... さようなら 
さようなら 
さようなら
もうこの世に未練はなにもないのです


私にやさしくしてくれた 数少ない友よ
どうか悲しまないでください
どうか自分を責めたりしないでください
 ....
私自身の
昆布〆を食べる
という日常
の先にある血のついた手
交尾の記憶も生しいままに
後悔をしながら
新茶の香りを楽しむとき
にわかに起こる
彼方のなだれ
氷山の崩壊と
吹雪の中 ....
シャボン玉割れたら春がきた


春を運ぶ春日通は空いてゐる


春まみれのスナフキンがやつてきた


春と云ふ字を書けないでゐる風の子


道を渡るとそこは春であつた


 ....
海はどこに隠れた? こんなにも空は涼しく、こんなにも山は遠慮しているのに。/それが教授と愛人との踏みならされた日々の果実のような疑問だった。/僕は居てはいけない人間なんです。あらゆる部屋、階段、交差点 .... 何度決意しても

捨てられないものがある

過去に生きているわけじゃないけど

宝物のような思い出は。

そっとそっと
しまっておいて
温かいままでいたい

こんな寒い雨の夜に ....
冷たさの切っ先を研ぐ月光へと
自殺志願者の息が首をもたげる
いっとう美しい行いの後も
彼は彼のまま生きるだろう
あぁ穴だらけの空が光っているよ


サナギではないというのに
殻であ ....
0.はじめに

 詩人が、詩を知らない友人に詩を紹介する。さて、よくありそうなこの風景の中では、いったい何が行われているのだろうか?
 まず、詩人は詩には価値があると考えているだろう。ではなぜ、 ....
洗面器に彼女は顔をつけたまま
これっぽっちの水で溺死すべきではない
近所に駅が開通し、都心へのアクセスがスムーズになったが
人身事故による遅延の恐怖で外出できない

歴史的な労働力が堕落する ....
草むしりをする最中
うぐいすが唱える
私は、
この一本に活かされている
むしる事により
今を(ずっと透けているのは闇といっしょ

私は秘密だ
むしって来た千草一本一本に感謝 ....
死神の舌のような夕暮れのなかを、ひとりの少年が路地の影に向かって歩いてゆく。かれには親が無く、生い立ちが無く、名前が無い。まともな言葉を知らず、まともな服を持たず、まともな道徳を持たない。理由 ....  
 
ひまわりの振りをして 
きみが咲いている 
太陽の方を向いて 
きれいに咲いている 
ぼくは影の振りをして 
地面に横たわる 
こうしていると何だかとっても 
時間の無駄だね ....
いまじゃブルーや白色に

取って代わられているけれど

省エネにはならないけれど

あなたが生まれた光を愛して

今日も落ち着かない日々を過ごしている


子供のころクリスマスが近づくと

街はみどり ....
見えないものに
なりたいな

癒えないものに
なりたいな


光らぬものに
なるもよし

至らぬものに
なるもよし


切れないものに
なれるかな

消えないもの ....
きみのペースに生きている
ゆるまったり急いたりして
かたちを自在に変えながら
音楽を奏でるいきもの
春の空をゆびで容易くひろげて
降りてきたきみなのでしょう
川辺の花に鼻をよせ
草にむし ....
0.はじめに

 殿岡秀秋は弱い人間である。だがこの弱さは詩人にとって必要な弱さである。まず、殿岡は武装しない。思想や理論や謀略や機知をことさらにめぐらすことをせず、時間や連想の流れの中に素肌で漂 ....
 
目が覚めたらやっぱりおっちゃんやった おっちゃん

ひとりやったら泣いちゃう おっちゃん

そんなおっちゃん、やさしいしたってやー


 
水面ははるか上
光は届いていないはずなのに
ぼんやりと明るい

呼吸の仕方を覚えたのは
もうだいぶ前のこと
少ない養分にも慣れた
清さがいまは心地よい
先のことはまだ分からないけれど
 ....
巧みな話術
タクラマカン砂漠
ラジオスターの悲劇
リンゴ・スターの打撃

豆腐一丁
一丁目の銀杏
ちょうちょ捕まえて
情緒不安定

束の間の夢
伝う馬の船
つま先立ちの毎日
 ....
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