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脳の奥にいつまでも残る風景。この上なく優しくて、これ以上無いくらい、大切な景色。秋の生暖かい涼しさが部屋の中まで浸み入ってきて、全身を包む。とげとげしい、狂った秒針が僕の中で震える。手の付 ....
ティーポット、熱湯の中心で 草の根からしみ出てくる成分が
私という容れ物に落ちれば そこでもまた精神作用をしみ出させる
陶磁器は地中海のような白さと 中東のように丸みを帯びている
知らされて ....
洗濯槽の水底
左折する
何もない身体
空っぽのタクシーが
隙間に落ちていく
昨日会った男は
鼠色の袋を
大事そうに抱えていた
都市の壁を
そのための朝を
〈間奏〉
貫く植 ....
一緒に行くはずだったこの景色を、
病床の君に見せたかった
写真を1000枚撮って、君に見せた
1000枚目を手にとって、君は息をひきとった
悲しみ超特急が
目の ....
アマゾンが独占禁止法で訴えられていると言うニュースを私は見た。この間はグーグルが同様の案件で訴えられていたと思った。アップルはまだ訴えられていないがマイクロソフトは訴えられていた。まだアップルの製品に ....
春の水蒸気は何処に行つたのか
この空は{ルビ禊=みそ}ぎするものの色
永訣の色
地上は百色さんざめき
めざましくもゆたかである
いちめんの輝かしき生存
疾風は田園の暮色をよ ....
お腹いっぱいになる
幸せいっぱいになりうる
だけど またお腹すく
また幸せ求めちゃう
人間て欲張りね
全然 満足しないの
そもそも なんで 人間て幸せを求めちゃうの ....
賃貸の部屋のベランダがバルコニータイプなので、雨よけのために屋根を設置した。ネットで探し出した簡易テントだ。夏も終わったが、秋なので良い運動になるのではと考えたので、それを設置するためのアクションを起 ....
男が 居た
美しい男だ
あぜ道沿って咲き誇る
紅のみち
彷徨って舞いわたる
男が 居た
彼は蒼白い顔に大きな目を光らせて
おしゃれなスーツで包む
細い し ....
自称詩人の首に
縄を掛けて
橋の欄干から
吊り下げたい
日本中の自称詩人を
みんなそうしたい
だってお前ら
その姿が一番似合って
いるんだもの
胸にそいつの
代表的な自称詩を貼り付 ....
股が痒いときに
自称詩人の髄液から作った
軟膏を塗ると
爛れて激痛が走るので
痒みを忘れることが出来ます
「嫌なことを忘れたいなら
生き続けること
もっと嫌な目に合って
前の嫌なこ ....
遠い話とほいはなし
ああそんなところだね
いまとなつては
大気は海の継子じみて
地中海色のタイルの
すました青磁のなかに透けてゐる
カラカラした浴場のなかで昼寝してたら
いつのまにやらお ....
ラベンダー絨毯の中、東へ東へ向かうバス。
点在するハーブ園、スィングするカラフルな
文字、流れる。ラジオから「セージ、パ リ、
マリ 、タイム、、、」と聞こえ、「行くの
ですか」と問い掛ける。 ....
たった一言で夢中になる
そんな
魔法みたいな言葉があったなら・・・
ねぇ 空想したことない?
一気に あなたの方へ転がせられる
そんな ヒミツの言葉があったなら・・・
わた ....
人の見ているのは光
その向こうを歩く
サラリーマンは光自体にその肩を照らされている
電車の音がしている
大型トラックが川の前を通り過ぎる
深くため息をついた
川の向こうには彼らの暮 ....
二人でいても一人きりの世界に秋澄む
匂いは最も原始的な感覚遠花火
足がなければもっと距離を大切にしていただろうか
逃げても逃げても戦場から遠く
秋の蝶冷たい水が染みる
中 ....
私の中にたくさんある言葉
君のために取り出してみれば
悲しみも希望も一緒になって
一つの流れあふれ出す
涙と笑顔が私の心
どうしたってたどり着けないところ
もしも知っているなら連れて行って ....
必要のない階段がわたしにとって必要なのは
閉鎖(とざ)されたスクラップ工場の壁にひっつく残骸で
時代にとりのこされた孤独の分身そのものだから
この苦々しい感傷をくろい笑いでわたしが踏 ....
社畜会社員
お互い人見知り
初日不安
店でそっと指を掴まれる
昆虫のケージで連れ帰る
ずっと後ろ姿で拒絶
毛に触れたらジャンプして吹っ飛んだ
ヒマワリの種即食い
ご飯で間合いを ....
好きな詩・好きな言葉
好きな言葉は「折々のうた」。
ネット詩オタクを代表していわせてもらえばそのときそのときで
好きな詩好きな言葉好きなフレーズ好きな映画俳優は変わるか
と、思った ....
好い天気だ。
聖地の{ルビ陽光=ひかり}が混じりつ気なく鳴り響く
こんな好い天気だ。
振つ切れたやうな気圏のまつただなかを
透けた{ルビ南風=みなみ}がかるがると翔び
雀の子等はあどけなく驚 ....
キンキンに冷えた間柄
いま ふたつ星みつけた
風が鳴る今日
雨の中で 絡み合う体
秋のおでまし
鈴虫が仲良く合唱
実りの秋に愛が生った
ススキの穂みたいな ....
ここには注意書きをよく読まずに入ってしまった。ここに一度入ってしまったら出られないと知ってから何年が経っただろう。出口がないこの場所も、今では色んな人の言葉で溢れ返っている。中には持ち主に捨てられて、 ....
何かを感じとることは
夕暮れの空に似ている
冬に 太陽の 向かう
一生に一度きりの時間
きっと 誰にとっても
店を出ると街は夜だ
光のロータリーに灯された
どこに彼らは帰るのだ ....
術師たちが部屋に入ってきてしばらくすると、死刑囚たちの頭に被せられていた布袋が、下級役人たちの手でつぎつぎと外されていった。どの死刑囚たちにも、摘出された眼球のあとには綿布が装着され、その唇は、 ....
昔から縷々とおんなじおはぎかな
自称詩人に取り囲まれて
危機一髪のときに
自称詩人撲滅隊が
キンチョールを持って
助けに来てくれた
キンチョールさえあれば
自称詩人の百万匹など
一網打尽にしてくれるわ
危うく自称 ....
崩れそうな わたしを背負う
涙涙の日も ありえる
干からびるまで 愛して欲しい
愛がいとしい 恋が恋しい
神秘は神秘な ままにする
暴きたいのが 人のさが
結婚 ....
ワイフが関東へ遊びに出かけたので
近くの店に弁当買いに行った
弁当やおかずを見ていたら
目の前の炊飯器に炊きたての白いご飯があった
そばにはどんぶりぐらいのプラスチックのお椀も
置いてある
....
開いた本に落っこちた
女が煙を紡いでいる
乾いていく魚の目の中の
月が自傷を繰り返す夜に
雷鳴に臓腑はふるえ
雨はつぎつぎ駆け抜けた
沈黙は縫い付けられたままずぶ濡れで
自分の頬を噛 ....
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