東京の空がせまいと言ったのは
ちえこだった
彼女は感覚と真実を
せまい世界から発信していた
ぼくはひとつの特権だ
ぼくしか聞こえないちえこなのだから
ひとりカフェでのむ珈琲
この炭汁を彼女にも分 ....
飛んでいきそな首ひとつ
(自転車はゆく 歯車はゆく)
必死に右手でおさえつけ
(自転車はやく 歯車はやく)
....
寒々しい棘が
いちいち目の端に溶け込もうとする
裸の地面を踏みしめて
遠くで頼りなげで
幽かに揺れる街の灯を見下ろす
生ぬるいそよ風が通り過ぎるたび
背中を抱えて連れていこうとする ....
気付いてたんだ
ある朝起きると母さんが味噌をお玉ですくわず鍋に容器ごと入れてスーダラ節を歌ってたんだ
火が強火なもんだからあっという間にプラスチックと味噌の焦げた匂いが台所を支配した
変 ....
これを説明していては
この事件は
詩にはなれないのだろう
夜道を歩いていると
マンションの明かりや
外灯にてらされて
かげは俺ひとつきりしかなかった
それでも秋虫はないていて
孤独と ....
ローカル線のまだ暗い無人駅
駅舎から少し離れた作業小屋
中ではストーブが赤々と燃えている
長靴についた雪はとけてゆく
庇には
外灯に照らされたツララが生っている
ほの明るいオレンジ色を ....
関さん、という鳴き声の
鳥が鳴いている
それはある種の進化かもしれないし
退化かもしれなかった
私は河原にいた
どのような経緯で
この河原にやってきたのか
遠い昔の記憶な ....
昨日の大失敗を払拭したくて、
(そうしなければ、明日から耐えられない)
鴬谷へ。
自転車でぶらぶら、
ラブホテルを物色してると、
なんだか秋の日のいい匂いがする。
くだもののような匂い。
....
僕の誕生日のお祝いに 空旅にでたままの 兄とプロペラ機に乗る夢をみました 僕の口は開くのに 何ひとつ 言葉にできない扉のむこう くやしま ....
左耳から右耳を目指して
針金が進んでゆく
脳の内部がちりちりと痛んでいるから
ぼくはお砂糖をかけました
甘くなった脳みそは
外側から溶けちゃって
甘い汁が耳から垂れた
きらき ....
あなたの亀など知りたくなかったの
済んでしまったあとで
どうしようもないけれど
私のことは二度と思い出さないで
電話もメールも絶対によこさないで
心変わりと思っているなら
ちょっと違う ....
ゆるりと目を開ける
雨夜は私の体温さえも{ルビ蝕=むしば}む
寝ていては私の命が危ない
蒼い瞳をぎょろり動かして
アスファルトの溝に水たまりを見つけた
少なくとも今日は飲料水には困らない ....
めざめると午前のひかりがくっきりとしていた
きょうの天気をもう決めたかのようだった
ベッドわきのまどをすこしあけて
ベランダもあけるとカーテンの透き間から
ひらべったい雲が水い ....
99円ショップは恐ろしい。
800円も持っていれば、
週末分の食料はじゅうぶんに買える。
じゃがいも一袋104円(税込み)。
パスタも300gで104円。
トマトの缶詰。
餃子18個。 ....
(私はいつも仰向けで寝入り
決まって仰向けで目を覚ます)
その日天井のしみは、妹のクラスメイトの顔だった
昼下がりに学校を早引けしたきり妹は姿をくらました
(私はいつも仰向けで寝入り ....
いつか通った雨は 何処
逃げ出した 木陰の檻
巻きつけた 小さな青い淵
黒い蜜に ひたす
重ねた 背中の羽
たてよこと 2速蛇行の 雀の子 ヘソが茶湧かす 強気な憂き者
自動販売機のコイン投入口に
すいこまれていく女の人をみた金曜日の夜
ポッケの底のおつりの枚数をかぞえていた
裏面をやさしくなぜながら
口当たりの良い絶望味のコーラをぐびぐびのんだ
昔乗用 ....
『また明日!!』
あの日から
その言葉をきくと
もう会えない
そんな気持ちはが胸をよぎる
それでも
『また明日!!』って帰っていく貴方の後ろ姿を見て
どうか無事でいてくださいと
....
啄木のこころ親しくあたらしい
小さな文庫の小さな文字で
風あらしざらつく息の事始め
考えの糸あかるく保つ
自己肯定あふれるときにただ迷う
処刑の前のあきらめだろうか
正しいと思 ....
つまづくはずのないところで
足をくじき
恋に
落ちてしまった
わたし
すっかりからまっていて
逃げ出すことも出来ない
あなたの前
ほとんど裸じゃない
ただ、いたずらに
マシュマロを ....
耳たぶがかさかさすると思ったら
どうやら蟻が一匹のぼってきてたらしい
上半身だけゆっくりと身体を起こす
よく伸びた夏草が足を覆いかけている
さっきまであおいろばかりだった空に
いつの ....
雨 雨
切々と うたう
わたしはピアノを弾いている
絵も描けず
詩も書けず
下手な暮らしをしているが
わたしはピアノを弾いている
今この瞬間
いくつもの
想いが
浮 ....
ふたつの魂は
暗い
音も無い
宇宙に
溶け込んでいた
彷徨っていた
魂の居場所を
探して
そのちょっとした
魔に
ふたつの魂は
ふれあった
いや
ふれあっ ....
雨は
あたしを眠りに誘う
悪夢をみた夜
空を飛んだ昼
気がつくと
もう
外は闇
眠りは死に近い
いちど 死に
また
生まれ変わる
ために
眠る
眠る
....
こんな
二等辺三角形を
埋め込んだ
見たこともない
青が
備わる
午後の影を
見遣り
フレームだけの
都市には
ガラスの雲
が置いてあるので
立体ラジオの
気象予報士は
....
ただ
ほんとになにげなく
コンビニに寄った帰り道
君の後ろから
とことこと歩いて
空を見上げて
シャツの裾を引っ張って
『ねえねえ 空 きれいだよ』
なんて
言ってみたい
秋の風が
袖から出た腕 ....
貴方は
振り返らずに
行ってしまった
私の未練を
振り返らずに
行ってしまった
馬込大使〜っ、ピロピロピロピロ♪
大田区が生んだ正義の馬込
特に縁もゆかりもないけれど
手塚先生の話題で盛り上がったら
ふと頭に浮かんだこのダジャレ
どこまで引っ張れるか分かりませんが
....
飲みかけのまま冷めた
珈琲、煙草の味
忘れた頃に思い出す
君の声の澄んだ白
錆びた鐘を打って
不協和音を降らす
オトフラシの瞳
瞬きする度、澱む
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