東京スカイツリーから
自称詩人を突き落としたい
自称詩人のことだから
地面に激突するまでに
自称詩の一つでも朗読してるだろう
いや、ひょっとしたら
落ちずにそのまま飛んで
カラスみた ....
何も言わない
誰かとすれ違っていく
夜の街灯の 道を 僕は
歩いていた
誰かを追い越していった
あの水平線に向かって
自称詩人をぶん投げてやりたい
室伏が投げるハンマーのように
美しい弧を描いて
太陽とともに水平線に沈むところが見たい
地球一周して
また此処に戻って来たら
その ....
あなたの中に
花が灯ると
迷いの森の
出口が見つかる
あなたの中に
花が灯ると
憂いの雲間から
光が射し込む
自分の中に
花が灯ることを
あなたは知らずに
健気に微笑 ....
寂れた町の匂いのする
季節外れの席でビールを飲む
砂粒だらけの赤い足で、
板張りの床を踏んでいた
濡れた髪の女の子が
ハンバーガーとポテトを運んだ
台風が去った跡の景色が、
そのままこの ....
慈悲とつれあって深夜のスーパーを歩いた
あるいは慈愛とつれだって萩の花をばらまいて歩いた
おれたちにとっての幸運が猫のしっぽであったような、
あるいは取り残された者たちの最 ....
ありがとう
空よ
私の至らない部分が
人のこころを傷つけてしまうのは
私が至らないからです。すると
みんなが至らないよ、と
空は
青ざめてくれる
空よ
ありがとう
いくつかの雲は ....
梱を解く
潮風に鳴る 缶ごみ
いろどる 比喩たちの面皰
梱を解く
あなたの二枚の手を思う
ひらたく延ばした糊状の意味
荷はひろげられたまま
....
馬鹿な連中が屯していたって
今日は気にしない
街角の商売女にだってそうさ
何故なら今日俺は大宮少女に会いに行くんだから
京浜東北線に揺られ荒川を越えてさ
一週間は長い
デスクに坐ってパ ....
苦悩というものについては、ぼくは、よく知っているつもりだった。しかし、じつはよく知らなかったことに気がついた。ささいなことが、すべてのはじまりであったり、すべてを終わらせるものであったりするのだ。た ....
相手を嫌えば
自分も嫌われる
相手を好きになれば
自分も好かれる
人間関係お互い様
口で言わなくても目でわかる
口に出して言えばもっとわかる
好きな人嫌いな人苦手な人
人はさまざまそれ ....
かさかさと地面をすべってゆく、殺伐とした風に、押しだされた、すっかりと茶色くなってしまった落ち葉も、もう動かなくなってしまった蜘蛛の手足も、気まぐれに、かるく爪弾いただけで、いともたやすく砕けてしまう ....
パリパリのラスク
粉がこぼれて
僕のスカート汚した
僕のお気に入りのスカート
この地球を産んだという
大層立派なスカート
夜空に翻る
白い足がちらりとのぞく
宇宙の一部も隠してしまう
....
動画クリエイターの橋本美千夫さんが、拙詩集『ソナタ/ソナチネ』所収の一篇「夏の水」を見事な「映像詩」にしてくれました。
朗読は詩人・画家の印あかりさん。使用音楽はショパンの練習曲作品25-1《エオリ ....
{引用=直視できない静物}
しっとりした朝だ
一夜で山の色味はずいぶん変わり
黄ばんだ光の川底
紫陽花は
くすんだ化粧の下
よく肥えた死を匂わせる
寡黙な季節の形象を前に
ついこと ....
ピントを甘くして
眉を和らげて
眺める
風ブレを気にしないで
意味を追い駆けないで
眺める
昨日までのわだかまりを
水鳥が曳いていく
明日からの気がかりが
湖畔の欅を越え ....
星は輝き、
夜霧は流れる。
{ルビ美=うる}はしの、祭の{ルビ山車=だし}よ、おさらばさらば
今日は人生に文句が無い。
静かな夜の公園で、
独りベンチを暖める。
小さな犬が寄つ ....
歯痒い思いをしたのか、それとも、迫り来る死に抗おうとしているのか、群青色の蛇がバ・ダ・ダン、バ・ダ・ダン、と、鞭のようにしなりながらのたうち回っている、俺は、リズムとしては一貫性の無いそれを、パン ....
夜道を歩いていると、今日は、ゴロツキたちはいなかった。ゴロツキというのは、外でメシを食っていたり、ベンチに座っていたり、飲んでいたりする連中のことがそうで、心の中でそう、呼んでいた。通りに立ち止まって ....
床で起き雨を見
首をくくらなくてもいいと感じた
またまぶたを閉じ
網戸にわかたれた空
や
半開きの窓についた水滴、
つめたいにおいのフローリング
そういうものを荘厳したくて
お ....
日の暮れ方の川辺り、{ルビ湯女=ゆな}の手の触るる神の背の傷痕、
──その{ルビ瘡蓋=かさぶた}は剥がれ、金箔となつて、水の中を過ぎてゆく……
({ルビ魚=いを}の潰れた眼が、光を取り ....
その朝出来たばかりの仔猫の屍体に、
雪は、しらじらと降り積つた。
屍体は、何にも語らなかつた。
木枯は夜通し窓を鳴らしてゐた。
雪はしらじらと、しらじらと降り、
屍体は何にも ....
クリストシュトレンとおせち料理
みんな忙しくて家族バラバラ
熱い肉はでない年始の食卓で
シュトーレンを食べながら
、おせち料理を食べている
クリストシュトレンとおせち
三日三 ....
藁人形に自称詩人の
名札を貼り付けて
丑三つ時に神社の
スギの木に
五寸釘で打ち付ければ
自称詩人でいられなくなる
という風習が
山形県のとある地方に
伝わることは
自称詩人に
酷 ....
これは骨
これは皮膚
血もある肉も内臓もある
食べたことはないけど
食べたら美味しいかもしれない
これはぶよぶよ
これはどろどろ
よくわからない生き物で始まった
すぐに名前がつけら ....
あなたと見た県境のダムはゆたかな思い出をたたえ
ときをへて今もわたしのもとに春の潤いをとどけてくれる
ふたりでダムのうえを歩いて堤体の縁をなぞり
底にしまわれた互いの想いを胸にだきいれたあの ....
死生観のような雨を避けて、廃墟ビルの中で壁に背を預けて座り込んだ、雨音は右心室で染みになり、睡魔に負け始めた俺は次第に薬物中毒者みたいな微睡みの中へと溶け始める、小さな火がそれ以上広がりもせず、だ ....
牡蠣のピッツァ、
とめどもなく分泌されるもの、
舌の上で厚岸の海をふくんだ、
牡蠣肉の貝汁と、
液体のように熱々にとろける、
チーズの塩見が絡みついて、
トマトソースのあかい酸味とともに、 ....
{ルビ蟇蛙=ひき}よ、泣け。
泣くがいい。
ぎやあろ、ぎやあろと
泣くがいい。
父は死んだのか、
母は死んだのかと
泣くがいい。
....
生活に行き詰まり
孤独に苛まれて
生きていたって仕方ない
と泣いているあなた
夢に破れ
自分の存在価値を疑い
立ち直れないと
自暴自棄になっているあなた
あなたの隣をご覧なさい
....
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