蒼き美しい馬よ
最後の飛行曲線は
その航跡雲によって
大空に刻み込まれ
いつまでも
消えることはないだろう

蒼き美しい馬よ
ありがとう
そしてさようなら
きみが蒼き鬣を
風に靡 ....
厚紙の病院ではやさぐれた傷みが 長椅子に寝そべり仮眠を取る

肋角の一粒を重ね冬季の余韻を造る 乳白色のシャッターが少し

補聴器を合わせたパンプスが ネオンサインにお喋りする瞬きに

行 ....
世間、世間、世間世間世間、あんたら世間好きだねぇ、世間っていったい何だい、そいつは実体のあるものかい?そんなにムキになるくらい、素晴らしいもんなのかい?まったくどいつもこいつも二言目には世間ってそ .... 穂渡りの君が
口笛を吹く

錦糸町にお蚕さんの面影を重ねてみる
ほら
そんなふうに季節を忘れた町に
探している何かを求めている
探している


穂渡りの君が
嘘をつく

 ....
雨上がりの後に時間があると

少女は
いつも散歩にでかける

行く先は
街の高台にある
見晴らしのよい公園

ベンチに腰掛けて
虹のでるのを待っている


今日もまた
い ....
軽石が 重荷になって 冬の海 二〇一八年六月一日 「断章」


断片はそれぞれに、そうしたものの性質に従って形を求めた。
(ウィリアム・ギブスン『モナリザ・オーヴァドライヴ』36、黒丸 尚訳)


二〇一八年六月 ....
真水に白線を正して、記憶が薄まるのを待つ
どうせ影は伸びて滲む
こたえは ひとつでなく
深層に寄せた若気も廃れ
丸裸の木の葉に、踏みしめて道とする。
しかし
ふくれている、あまざらしのさく ....
検査するごとに確実に上がっていく数値
体重
血圧
血糖値
尿酸値
胴回り
年金は上がらず
数値だけが上がっていく
自分の体の中で
僕の知らない異変が起きているって
よく考えるととて ....
水、の音をさがしている
  すっかり消えてしまった
   匂い、の足跡をたどれば

  猫が水をのむ

     舌が生きている
 手首から流れだす
   脈絡なく文脈もない
 ....
{引用=声の肖像}
どこかで子どもの声がする
鈴を付けた猫がするような
屈託のないわがままで
なにもねだらず行ってしまう

風がすまして差し出した
果実は掌で綿毛に変わる
ぱっと散った ....
シルエットのほうが美しい

とでも
言いたそうに
絵画のなかで

熱心に
シルエットを見つめているのは

シャルロッテに恋をした
ゲーテという詩人

若き乙女の
可憐なシルエ ....
隣り合う、背にして、ただ微笑む 貴腐の林檎がある

    あなたを犯している。影はもう捕らえられて、
         眩しくて、見上げることも、ない

     わたしは
     と ....
白い砂漠に
矢のような光が突き刺さる朝
摂氏五十度の砂嵐に
ラクダが弱音を吐く

そのころ
私たちの小さな家では
つば広の白い帽子を右手で押さえ
吹きあれる海を見ながら
女が
あの ....
育て上げられたダイヤグラムと、降り注ぐばかりの五線譜が射貫く
ひとつあわせのカルタ、破れにくい腐敗臭に流れ星をあてる、

菫色を広げた 地平線の証。戸口はしまり 小上がりに充満する 
劣情に横 ....
経済的に自立できない障害者にスーパーマーケットの惣菜の売れ残りを配る

おれは誰かを傷つける必要がある
真人間になるために
おれは瞬間接着剤を耳の穴に垂らす
音が聞こえなくなると
おれは善 ....
額に、頬に、指先、肩に、下腹に、クリームをすり込みながら、世界が嘘になった時のことを考えている。もしくは一時本当だった世界のこと。いま飾ってあるのは、八重咲きの小さいオレンジ色のすかし百合、白に赤 .... たった1。Cの寒暖差で
きみと僕のこころの隙間が
埋まらない

君と僕は似ていても
1。Cの差をゆずらない

修辞学を駆使しても水溶性の会話は
多様性の海に拡散してゆく

ノルウェ ....
とてもめずらしい光景が
竜王戦の第4局で現れた

終了まじかの大盤解説で
説明役のプロ棋士が混乱している

ふつう
投了の近い最終盤になると

不思議と
解説のプロ棋士の読みが
 ....
歯がゆいだけ うまれたがる。
砂で汚した濡れた未知。
モミジのように、
蜘蛛の巣に通りかかった、
天使はもとから羽根もない。

えんの下、指の股から、花が生まれていく
銭の視覚、とめども ....
二〇一八年五月一日 「迷惑メール」


 迷惑メールが何通もくるのだけれど、いま見たら、「ワンナイトラブでかまいません。」と書いて、女の名前で書き込んであるの。笑っちゃった。こんなメールに返 ....
四冠の誕生日プレゼントを
ありがとう

とは
師匠が自分の誕生日に

大変な偉業を成し遂げてくれた

弟子にむかっての
喜びの思いだが

まてよ
この日は僕の誕生日

師匠 ....
深く深く息を吸う
 それで灰の海に飛び込む

 薄明にも満たない冷たいだけのうねりに、
 なんども溺れながら。
 何処へ 向かおうと言うのだ

朽ち葉の思慮はない
ただふるえる筆に少し ....
○「生き方」
生きていくというのは
大変なことなのに
親も先生も
生き方については
教えてくれない

○「死の自覚」
1日1日死のゴールに向かっている

○「動物動画」
犬や猫の ....
随分と明け暮れた
袖が長くなった
言葉は短く
体毛は薄く白く
はかないものに近づいていく

そんな母に高齢の魔女たちが詰め寄り
うらみつらみの思い出話に花は咲かずに散りしきる
というよ ....
朝五時半に起きて六時に県外の医療センターまで
人間ドックに車で出かけ七時頃に着いた
受付の人の言葉遣いを聞くと
異国にきたような気分になる
受付をすますといつものようにトイレに尿とりにいった
 ....
最近
ライカの70年も前のレンズに夢中になっている

ズマリットという名前だが

現代のレンズでは決して得られない
その写りが面白い

プロの女性写真家が
好んで使うようになってから ....

僕たちの半分は 燃え残り
がらくたを 集めはじめた
不完全なまま 笑ったり
食べたり 愛した

頂点の すこしだけ手前で
自我をもった がらくたが
誰かのかわりに 泣きはじめた ....
{引用=   我が友、田中修子に}



時折西風が吹く
そして天使が笑ふ
するとさざ波が寄せ返し
沖を白い帆が行き過ぎる

砂に埋れた昨日の手紙を
まだ浅い春の陽ざしが淡く照らす ....
風を食べていた鳥は
夢を食べはじめるようになってから ずっと
腹をすかせ
風は
その鳥を食べたせいで
空を吹けずに
地を這うようになった

たくさんの綻びた男たちと
肌をあわあせてき ....
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タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
飛行機雲という名の馬- 花形新次自由詩121-11-28
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軽石- st俳句421-11-23
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青開透詩- あらい自由詩221-11-22
人間ドック- ホカチャ ...自由詩2*21-11-21
水導- 帆場蔵人自由詩421-11-21
演者たち――眼差しの接吻- ただのみ ...自由詩6*21-11-20
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まんまるかじつ- あらい自由詩121-11-20
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1。Cのうた- 梅昆布茶自由詩1521-11-17
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