ちゃんと
キスして
挨拶じゃない
キスのためのキスをして
たこ焼きは

少し冷めてから食べる

帰る途中に温もりを

暗闇の中

川沿いの公園

ベンチでつまんでいると

カップルが街灯近くの木の下で抱き合っている

ゆっくりとゆ ....
わだかマリは美辞麗句に対する発酵した恋情を
月明りに晒された真っ赤な隠語に注射しながら
言葉が死滅した宇宙を金縛りのまま浮遊する

陽気な殺意のクラリネットが舌先を蛇のように操ると
殻も割ら ....
遠慮がちにドアを叩く音

家が帰ってきた。

喧嘩して家出していた家が。

家との喧嘩は大変だった

棚のものが全部落ちたりして。

どうでもいいことで喧嘩になった。

あんな ....
真夜中を過ぎて
潮騒が近くで鳴る

砂浜で水夫たちは
休んでいました
座礁した帆船からは
食料を運び出すために
彼らは夜を徹して
運搬を交代でしながら

海では嵐が来たけれど
水 ....
空は、終わっているものたちで溢れていて、術のない鳥たちが嘆きながら羽ばたいている、雨模様から懸命に抜け出そうとする太陽は、幸せを主張しすぎて磨耗した群衆を疲れさせている、誰の言葉も届くこと .... どこにも行くなお前はおれのもの
誰にも笑うなお前の泣き顔が好き
いつでもおれのことが一番だと言え
洗面所で
顔を洗っていると
母が居間から話しかけてくる
何を言っているのかわからない


洗面所で
歯をみがいていると
母が台所から話しかけてくる
何を言っている ....
雪に重なる雪の音
角を曲がり 消えてゆく
光のはざま 分かれ径
樹々のかたちに倒れる霧


光の壁に光が
影の壁に影が浮かび
輪郭だけが吼えている
誰もいない街に吼え ....
いわゆる「きのこ」
食用のそれを求めて
山に赴く事もあったが
芝生しか育たない
痩せた土壌の公園などにも
美味しいのが生えるのだった
「駄きのこ」と呼ばれる
だがそのアミノ酸類は
美味 ....
どのメールも返信がない轡虫 寝るまえにたましいをとりだして
枕元におく

悪いことする夢がみたい
すべてをこわすような

ひとの事情を考えずに
地球の痛みをむしして

こわして
うばって
ひとりじめにして
 ....
 中村くらげさんの提唱された「自分の詩を読み返そうキャンペーン」に、短歌もありと拡大解釈してのってみました。作品数が少ない私ですが、いつも5首まとめて投稿している短歌をバラしてみたところ、ベスト3 .... さほど
離れてはいないところ、の夏

されど
懐かしさがにじみ始める、夏



夕暮れを
言葉で描いてみるけれど

この手に握る貧しさが
あらわになるだけ



 ....
それにしても遠くまで
神田の古本屋街
電車賃を足したらぜんぜん安くない
なるほどねえ
学びの為の資料は安くない
おまけに店主の狡猾さ
ソレに負けない
「どんな本がお入り用かね」
「醸造 ....
わけを探してよけいに悲しい 大人になれば女だって立ちションが普通
どの家にも出入り口脇には
風呂の水を落とす瓶があって
三方板囲にした小便用便所と兼用
此処で男も女も用を足した

  厠小屋もあるにはあったが
   ....
 ねえ、聞こえる? 聞いてるよ。何だい? なんでもない。ただなんとなく、気になってさ。何が? 聞いてるのかってこと。聞いてなかったらどうするの? 死ぬの? 死にやしないさ。でも気になるんだ。気にしてく .... ちょっと長いけれど
暇だったら聴いてください


私は小学校五年の頃 
お化粧に興味を持ちました
鏡台に姉の化粧品が入っていたので
ある日 赤い口紅を塗って
三面鏡に映った自分を見てい ....
 山脈や湖が私の臓器である
 海流や雲海が指先から皮フに走り寄せる
 各地の毛細血管で猫が平和に
 寝ている欠伸している
 私は月の鏡を覗きこみ、睫毛にこんもり
 オーロラを ....
雨のなか傘を差す
魚みたいな子供たち
誰一人笑わないから
かえって可笑しい見開かれた目

視界に言葉が散乱する
散乱した言葉たちが産卵する
そこから魚たちが生まれてきては
身体をくねら ....
宇都宮しをんが
新作を出すタイミングと
製紙メーカーの株価の間に
強い相関性があることを見出だした
経済学者のA.V.キング博士は
キング-夫人の公式により
ノーベル経済学賞を受賞した
 ....
他人のように思えないが他人でいたい 生きあぐねては
バイオリン
青と黄色の夜泣きする
恨むなら
火の粉舞い
瞳の水面に沈み往く
夜露の匂い
あなたを紐解いた誰かが
咥えたままの台詞
植物たちの黄昏
古いグラビアに
 ....
ど う し て 生 き な い の だ
 な ぜ わ た し た ち は 
な に も な い か ら な の か
 砂 で 在 る の か
砂 で あ る な ら 
 僅 か で も 砂  ....
          140917
メニューと聞くと
カレー
カレーと聞くと
平べったい魚だ
ライスは何処に行ったのだと
3等兵に探させているが
今日中には見つかりそうもない
ライス抜き ....
夜空には前夜があった。
液晶に情報が重なってゆく
それと同じように。
細かい星がたくさん生まれては
次々と死んでゆく
君に影響されて書いた詩で
照らせる事があるとして、

9月の液体、 ....
9月の朝には
怒りの帆を揚げた船が行く
9月の夜空には
羽ばたきをやめない鳥たちが
どこまでも転げ落ちていく

お前は赤いサンダルで
落ち葉を何枚踏み躙ったか

9月の朝に
僕は卑 ....
      「朝日新聞」


{引用=新聞屋さん、どちらへ?

夕日に向かっています。}
今夜も月が綺麗だ寝る
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