眼球のピントは崩れ
右目と左目があさっての方を見る
世界は歪んでいる
その目には確かにそう見える
交通課の事故処理ばかりを目にした一日
救急車で運ばれる誰かの呻き声
深刻そうな顔し ....
窓の外は春らしい春の日
郵便配達員などもいつもの時間どおり
うちの中では冬を生き延びた一匹のハエがお試しフライト
楽しそうだ
でもあまりはしゃぎすぎるとウィルスにやられるかもね ....
使い方のわからない
キッチンのスパイス
去年の日付の賞味期限
クミンやカルダモンを
ゴミ箱に放り込んで
鍋の中には
ニンジンと玉ねぎ、じゃがいも
簡単に共感して
勝手に見切りを ....
等間隔に立ち並ぶビルディング 一斉に変わるシグナル
巨大なターミナルから3.6秒のテレポーテーション
緑の溢れるプロムナード 清潔な空気の濾過装置
AIシステム搭載された最新型のメガロポリス ....
人間なんて
生まれりゃ 死んじまうわけだし
今更うろたえてもしょうがない
旧式だの 新型だの
湯沸し器でもあるまいに
見よ
ぶた食い野郎らであっても
....
コーレアの妖精が
冬の夜にランプを灯して
寂しい心を探して
飛んでいる
暖かな色で
そっと寄り添って
想い出を探してる
恋の色を探してる
赤くふくらんだ
ワンピースから見える ....
{引用=糸}
絡んだ糸も根気と時間さえあれば解くことができる
だが砂粒のように固く結ぼれてはどうしようもない
ギミックとトリックを切り捨てれば 見えるか
見えないか 糸は揺れ
微風にも抗えず ....
空にぶちまけられたビタミン剤の
人工的な着色がキレイでキモい
今年のトレンドは太陽の皮膜で
詩人なら必ずネタにしないとね
偽りの価値観が崩れたあの日は
テーマとしては申し分なかったの
....
ひとりぼっち、の人は
ひとりぼっちの景色を
知っていて
遠くを静かにみつめている
たまに夜半の丘に立っては
叫んだり泣いたりしている
眠れば星雲の渦にまかれて
わからない ば ....
目線の高さにあなたが来た時
私は少女なんだと気がついた
遮断機の降りた踏み切りの外に
連れ出されるような熱い視線が
降り注ぐだけで幸せだった
有無を言わせない優しさなんて
矛盾するけれどあ ....
冬のプラネタリウムが
初めてのデートだったのよ
パパはずっと小さなころから
星が好きだったわ
ママが星に詳しいのは
パパのせいなのね
プラネタリウムって
どんなところなの
私も ....
長く学校を休んでいる
小さな女の子に
セントポーリアが届いた
白桃色と深い青
部屋の空気が
嬉しそうに動く
ベルベットが張られた
バスケットから
葉が溢れ花が揺れた
青い ....
月見さんのお葬式に行くために
月見さんと一緒にいる
彼女はただ薄目で虚空を見つめながら
静かに手をのばしている
僕は凪いでいる
泣いてはいない
晴れてもいない
月見さんのお葬式に ....
騒々しい球体がずっと頭蓋骨のあちこちを転がり続けているみたいな目覚め、ふやけた景色が見覚えのあるものに戻るまで起きていないふりをして憂鬱をやり過ごし、生存確認のような慎重さで身体を起こし気温の低さ ....
この狂った騒ぎが終わったら
君を港区にある物流博物館に
連れていこう
正体の見えないウィルスで
恐怖に駆られた人達が
狂ったようにトイレットペーパーを
買いあさるドラッグストア
「工場に ....
過ぎてゆく疾風が眼を切った冬、春を信じてただ走る君
見られるのが嫌だなんて言わないで正しい片恋なんて知らない
あの雪で転んで笑われやけくそで手渡したチョコでも想いは ....
誰もいない場所で
本当は蹲っていたかった
踏切の音がしている
春の陽射しはあたたかくて
此処にいるのが可笑しいのに
誰も指摘はしてくれない
そういうものじゃあないよ
そういうものじゃ ....
お客様が来て壊れた扇風機の話をする
いつから動かない、とか
動かないから涼しくない、とか
壊れるようなことはしていない、とか
その間にもお客様は松月堂のケーキを食べ
美味しい珈琲ですね、 ....
たぶん自分は「ある」物ではなくて、「いる」者にすぎない。
いま・現れている世界は、ただ・「そう」慣れ親しんでいると、
自分の知に基づいた、ただ「そうだ」と思い込んでいるだけの世界にすぎない。
....
{引用=(*昨年書いて現フォに投稿せず忘れていたもの。アーカイブ目的で投稿。石村)
}
しつこい梅雨が明け
夏がはじまつた
はず であるのだが
ひさびさに傘を持たずに
散歩なん ....
光と影の色で編んだ
窓際のブランコに乗って
強くも弱くもない体を
運んでいくまで空は続いた
通り過ぎるたびに何かを捨てて
寄り掛かるたびに背中を見せた
ミントの風に吹かれて白くなる
頭の ....
新型
新型
新型
新型
感染
感染
感染
感染
ウイルス感染
ウイルス感染
ウイルス感染
ウイルス感染
不安
不安
不安
不安
自分が感染してないか
....
天体望遠鏡で垣間見る宇宙は逆さまで
ときどきのぞくだれかの素顔に似ている
必要のない事と
必要があってもままならない逆さまが
混在している毎日が好きです
僕たちの情報はトイレ ....
田舎道でつまずく
膝をなでながら
石を睨む
あれ?
前にはなかった
土が持ち上げたのか
掘ってみると
尖って掌にのる
じっと待って
狙っていたのか
こんな小石に
負けるとは
....
ここに来て
自称詩人に対する憎悪が
今までの五億倍以上になっている
自称詩人がクソみたいな
自称詩を垂れ流しているその時
一般の人達は
雨が降ろうが槍が降ろうが
ウイルスが降ろうが
必 ....
そういえば
この土地に海はないのですね
水平線に沈む夕陽は遠い記憶のかなた
フリージアの花もストレチアの花も咲いていないのですね
トコブシは今でも獲れるのでしょうか
塩焼き、味噌漬け、煮付け ....
仕事で疲れ果てて休みを取った日、君は仕事に出かけ、そのまま遠くの病院に行き実家に泊まってくる予定だ。僕は仕事からも君からも離れて、独身の頃のようにワープロソフトを開いている。人生は端的に切ない。そこに ....
雲が解けたら雨が降り
水溜りに映る逆さまの街は
さよならを出会いに変えて染まり
追い駆けても追い駆けても
きっと太陽は沈まないだろう
秒針が動く隙間を狙って
私の心はあなたを想い
夕立が ....
初めて履いた運動靴で
私たちはどこへでも行けた
リュックサックを背負い水筒を持ち
少しのお金と自転車のペダルに乗せたその足で
行きたい所へとハンドルを切れた
時間は私たちの足の後から付 ....
神様。あんまりですね。
叶わない恋にせめてものお慈悲を与えてくれたのですね。
同じ時を共有できても、それはチャンスではなく諦めをもたらすための瞬間瞬間を
痛いほど浴びて
心に穴が開きそう。
....
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