最初に
魚影がよぎる
同時に
背骨が見つかることもあるが
大抵は時間がかかる
次に
尻尾が見つかるが
順番が逆の時もある
頭はどうでも良い
後で取って付ければ良いのだ ....
・クリスチャンでない僕らは上手な祈り方を知らなかった。
日曜日になると、僕とレモンは当たりをつけた家を訪れる。金属製のドアノックを叩く。臆病な小鳥が屋根から飛び立つ。家人は不在だ。そういう決 ....
たった独りの部屋でさよならと言い続けた
たった独りの部屋でそれを言い続けるには
たった独りであることを忘れなければならなかった
冷たい世界は骨を
機械のように冷やして
....
音だけが交差する 黒い海
波間にキラキラ 海蛍
お願いだから消えるなんていわないで 海蛍
非定型な雲は生硬な定型でしかない
ぼくを尻目にとりとめがない
ぼくのO市
かのじょのN市
どちらも雲と坂が多い街であるから水っぽい
川が
なにか ....
南天の実は 何想う
小さな赤い実 何憂う
昨晚 闇夜が長すぎて
ふかづめ しずぎてしまったよ
剥き出しになった指先が
世間に晒され 泣いている
夏に実を結う南天はない ....
雨降りのこと
君はきっと、雨降りだと気分良く過ごせる人だ。昼近くなって目を覚ました君は、雨どいから垂れ落ちる雨の音に安堵する。一日をやり過ごすことには常に理由が求められている、君は眠る前に何度 ....
日常は何もすることもない。多くの人間は暇なのだ。なぜ日本人は働かされているのだろうと思う。立派な人間であり、失業者である彼らを何が働かせようとするのだろうと思う。働かない自由があって当然だと思う。大学 ....
世界がきみを見放したと感じるときは
甘いカフェオレを飲んで横になっているといいよ
だれもそんな気分に風穴など開けられやしない
きみは自分が紙かなにかで出来た人形みたいに感 ....
川辺の光の
光のあやとり
すぎるものたちが
映り映らず
すぎてゆく
生きものは生きもののまま
在るものも無いものもつながってゆく
降る会話 巡る会話
水紋ではな ....
その海は
私の海とつながっている
嵐がくれば
たちまちぷつりと切れてしまいかねない
一本の麻のロープの
あやうさで
私の心とつながっている
その海は
もはや この地のどこにもない
....
校庭に響くチャイムが空にまいあがってゆく
ぼくは思いっきりボールをけってはしる
ボールはぼくの意志のように草むらにとまる
ねころんで見上げるとぼくが世界の中心になった
大地 ....
蟻んこの墓は小さ過ぎて見えない
やっぱりそれは土の中
甘い罠にはまった末の
ガラスの蟻地獄でもない限り
だとしても
斥侯も出さない女王蟻が
弔意を示す訳がない
無きに等しい一介の
労働 ....
出会いと別れはとなりあわせ
どんなに好きでも嫌いでも
惜しんでも惜しまなくても
長く付き合っても短く付き合っても
出会いと別れはとなりあわせ
あなたにはつらい別れ ....
首吊り自殺はハードなヨガだと思う
肉体はなくなっても
晴れ渡った世界を見てるんだと思う
だからほんとうは
サドゥの恰好してやらなきゃいけないんだと思う
....
さようなら
遠くへ行くあなたにたった五文字のことばを借りてくる
日本人の祖先が紡ぎ億万の同胞が借りた
在りふれたことばを
さようなら!
まるで吊るしの背広に初めて袖を通すようだ
....
手とベッドがあり
熱帯の尖った赤い花に口づける鳥の声は
小さな吐息よ羽の揺らぎ
*
コタツに蜜柑に長い睫毛
青い紺のセーターと花模様のスカート
両 ....
三角くじを引いた
三角形の赤い紙が
二枚合せに貼ってあり
それをはがすと
一等
二等
三等とか
なにがしかが書いてあるようだ
スピードくじとも
いうそうな
アナログなスピー ....
あなたを乗せた船は故郷に近づき
ふたりの思い出は遠ざかる
幸せになりなよと、そんな一言のメールも打てぬ間に
死期に近づく夜がある、のさばって、蔓のように
暗闇に絡まるわが身を夢想しながら
古い漆喰の壁がこぼれる音を耳にするような夜が
チェコスロバキアで小型旅客機が墜落して日本人旅行 ....
?. ヘンリー?
{引用=His Royal Harness Prince of Wells United King-damn In Gland}
ヘンリーって変なやつ
変なやつ 変なやつ
....
さしすせそ
が
歯に沁みる朝
凍ったままの思考を
ポケットに突っ込んで
背中を丸めて歩き出す
たちつてと
が
舌で弾けない昼
すっからかんの頭に
ラーメンをすすり込 ....
好き という気持ちは
天使ではなく
悪魔が運んでくるのかもしれない
この胸の痛みは
鎌状の針で
突かれているからだ
思いもつかない
衝動も
悪魔とは
悪さと書くが
....
美しい人でした
骨になった その人は
けれど
骨になった その人を
もう わたしは その人だとは呼べなくて
いただいた ブローチこそが その人
水引細工
結びの花 ....
朽ちた共同住宅の
一室に忍び込んで
凍えながら
急ぎ足の雲を眺めた
夕暮れのせいで
躍起になってるみたいに見えた
どんなことをして大人になった
どんなことをして大人になった? ....
かがり火が灯る冬の夜
どこかで
誰かが泣いています
寒々とした出窓に置かれた
ピエロのオルゲエル人形
1ミリたりとも動くことはありません
ネジを巻かれたのは
いつだったか
もう思い ....
いつからか
生きてるわたしたちよりも
そちら側のほうが多いのね
銀色のきみの命は動かないまま
綺麗になるね
きれいになるね
時間をかけて選んで
魔法で作るイチゴのケーキに
甘いホイップを乗せましょう
メレンゲの大地に
パウダーシュガーの雪を降らせて
テーブルクロスにキャンドルを並べて
朝を待ちましょう
....
パーテーションっていう教室をしきる板を2枚持って運んでるときに「阿部君磁石貸して」と声をかけられた。ぼくを呼んだのは吉田さんっていう人だった。「左のポケットに入ってるから勝手にとって」って答えて立ち ....
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