1 岐路
私は毎日岐路に立つ。朝の窓を開け放ったとき、お昼どきのコンビニで小銭を落として放置したとき、アサヒとキリンとサッポロとサントリーとどれにしようか悩んで結局奮発してヱビスにしたとき、私は ....
悪魔がおった
まだ動ける洗濯機や朝日の凧や風に舞うはずれ馬券
潮溜まりでたゆたう割れた鏡の反射裡に
悪魔がおった
夢にも愛にも解決されない憎しみや
みなし子らが消えてしまう足波に ....
死を覚悟したあの朝の太陽が僕の命を揺るがせたまま
「鬼は外」から逃げた鬼が自炊して豆などを煮て暮らしてる村
今日もまたそうめんだけで生き延びた、梅雨の終わりを少し祝った
....
藁人形の呪術など
やってみたことはないけれど
若気の至りで似たような実践を試みた
思い出ならばある
どんな効果があっただろうか
あの頃 片付けたはずの居室で三日もすれ ....
山の夜、
(きみが行ったことの無いところに
連れて行ってあげたいけれど)
このままで
生きてゆくのは一歩ずつ
底無し沼に進むにも似て。
そうよ今なら空が明るいのだわ
見上げてよ
あの雲と虹のむこう遠くに
もしオズの国があるのなら
そこにだれも死なない国と
音楽とカラフルな謎と
すてきな魔法と
エメラルドの都に向かう道 ....
来週はまた緑に溶けてゆく
透明な水をかき分け
鮮やかな{ルビ生命=いのち}を奪う
舌鼓を打つたび
一粒だけ涙を流す
眼いっぱい
ふるえる木洩れ日
ちいさな朱い鰭
息の仕方を忘れた朝に
滲む菖蒲
色香の移った骨抱いて
影は濃く
跪拝する
落涙に 蟻のもだえ
狂える記号たち
傷みの価値 ....
水の上に花が咲いている
花の姿が水にゆらめいている
それをながめながら
幾重にも愛を囁きながら
幾重にも別れにふるえているような
このひとときに
いちばん告 ....
○「パワースポット高千穂峰」
登山口の高千穂河原に車から降りると
僕はいつも霊気を感じる
御鉢のガレ場の急坂を登りきると
高千穂峰の気高い山容が
目に飛び込んでくる
不気味な御鉢の火口を横 ....
僕は生まれ変わったというと
いぶかしがる大衆のなかから
君が一歩前に出てきてため息
「、、、ついて、嘘ついてとか
本当のこととかは奥にある、人
生きる上、形而上ではねっ」ト
創 ....
水泡ひとつ
コ|ヒ|カップの上にみる
向かい合う顔の間の空間は
隙間なく埋められている
水蒸気が凝結
水滴が付着したグラスには
水が鎮座する
口に運ばれるのはあまりに容易で
喉越し ....
突然の嵐に襲われ躊躇した
飲んで 飲んで 飲みまくり
今夜は酔いつぶれ
明日は本音を吐くから
信じてください何時までも
私の周囲にあったものは、すべて私と同一の素材、惨めな一種の苦しみによってできていた。私の外の世界も、非常に醜かった。テーブルの上のあのきたないコップも、鏡の褐色の汚点も、マドレーヌのエプロンも、マダ ....
《鏡の中のじぶんを斬る》、みたいな
過去に書いた短歌がなぜか読みたくなり
過去作を探して読み返しているうちに、
めっちゃいいタイトル(あ、むろん自画自賛)
みつけて。
そ ....
○「ほんとうの愛」
僕は昔からほんとうの愛を求めてきた
しかしほんとうの愛は今だにわからないでいる
ここに僕の不安、不満、空しさ、落ち着かなさ、苦悩などの根がある
ほんとうの愛とはなんだろうか ....
あの原稿を送った後のことだ。ジュネの『葬儀』を読んでいたら、こんなことが書いてあって、驚かされた。
とつぜん私は孤独におそわれる、なぜなら空は青く、樹々は緑で、街路は静まりかえり、そして ....
揺れる楕円がことばを塞ぐ
甘い香りと露出した果皮が目前に迫り、
獰猛な括れと若い膨らみが
荒い呼吸とともに 静寂を犯した
仮面を剥いだ匂いを指がなぞる
然も危険な場所を呼び覚ますように
....
光をいただき
空気をいただき
水をいただき
食事をいただき
愛をいただく
生きたい。生き残りたい。この宇宙のいのちの星に
一つのいのちとして生まれたからには、生まれ持っ
たこの本能を、せいいっぱい開放して謳歌したい。
だから俺は、自らをごまかさない。自分の欲求を恥
....
夕暮れになると虫を求めて燕が飛び回る
蝙蝠の飛翔よりずっと気分がいい
燕はハレの礼服になれたけど
蝙蝠は傘にしかなれなかった
自分の大学がイスラエルの企業から恩恵を受けている
そ ....
ジャン・ジュネの『小さな真四角に引き裂かれ便器に投げこまれた一幅のレンブラントから残ったもの』にある、「ある日、客車のなかで、前に腰かけていた旅客を眺めていた私は、どんな人も他の人と等価であるという ....
灰色の瞳のひとに
なりたいな
ひとの純白な夜のかたすみの
憎しみはほんとうのところ
涙が綺麗だと勘違いしている愚かさに似る
炎上する胸の奥から飛び散る汗と
同じ色しかしていない命 ....
むらさき色のあざが
胸のあちこちにあって
それが昨夜夢でみた絶望の傷だと
朝起きて震えながら気づくことはないか?
咲かないちいさな希望の花が
そっとふわりと揺れる風は吹き
....
哀しくも
ぼくは詩人ではなかった
虚実を織り交ぜ
誰よりも大切な人を深く傷つけた
詩人ならば歓びを与えられたはずなのに
ふわふわ 浮いてる、どこまでも 浮いてる
私は海の中、どこまでも透明に拡がっていく、
私は今、肯定している、否定している、うちが外を包む、
はい、は、いいえを肯定しているし、いいえ、 ....
悲しいですね
人は誰でも独りで生まれ
独り死んでゆく
後ろ姿を追いかけても届かず
想い人が亡くなっても日々は変わらない
☆
楽しいですね
....
願わくば
五月の空に浮かぶ
羊雲になりたい
ぽかり ふわり
風に吹かれて
☆
強がりな若葉に誘われて
渓谷の流れに身をまかせ
透明な水に ....
小学生の男の子が
人知れず深刻に悩んでいた
「自分がどこから産まれたかということで」
ママに恐る恐る尋ねたら一喝された!
この男の子は
「ママのうんこの出るところから産まれた」
と思い込ん ....
暮れかかる街並みに
オレンジが引き潮のように
消えてゆき
すこしだけ悲しげな
夜がやって来る
ほんのりと満月をみあげて
流れる雲のかたちを目で追う
子供が描いたT-R ....
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