坩堝の絶咲
あらい

波濤のうしろほど暗示ゆえ讃え
枝先の傍ら梢の裏口にて
災厄と暗唱する風に誘われ
依代を校正し、何度でも擦り重ねる

瓦礫の山であって 露わにする 坩堝の絶咲
そよそよと、在る。
気持ち重く比重傾く 前後不覚の明窓浄机

不可逆の物音を亡くした場は乱暴に腐っていたが
光を溢した一握りが未だ生を残しているのだから
またこの部屋の時間はとどまることを知らなかったと言える

傾カシいだ物音が身に反響する事によって侵略から夕べを外す

ケムを殺した嵐が暗黙と赫赫とそぼ降る
残存する誇り
陀仏に残渣は媚び残土が微塵に腑抜ける
遊蕩の天国と円舞曲とのたうつ。

一ツだけ、そこにあるフラクスンは大分抜け落ちて
はらりとこちらに向かせたのだ

背に軸を射して翼が腐りはじめたばかりの青眼も濁りに充ち
唾棄殺し刺し転がしたまま、永遠に変わらないビスクドール

釈迦にも似て 芽を醒ました、
月の肌をも吊る 妍ウツクしい 毀れもの
2023/04/27


自由詩 坩堝の絶咲 Copyright あらい 2023-04-27 00:36:30
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