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 つぶれた靴を
 見ていると雨を思い出す
 ほの明るい 窓硝子のむこう
 僕の心が僕の心に変わっていく
 その間も絶えず 雨は降り続けている
 昨晩 新宿で友人と呑んだ
 バーでは若い男女が
 資本主義の終わりを論じていた
 会計前に女はキスをせがんでいた

 友人は家庭に問題を抱え
 僕は三十七で 家庭を持たず
 僕らは ....
 カメレオンの眼は
 薔薇に似ていなかったかと思い
 検索してみたがどちらかというと巻貝
 今し方 ハヤシライスを食い
 煙草をすい 部屋の暗いあたり
 眺め
 ほつれそうな体 仮初の ....
 谷川俊太郎さんが亡くなられた
 十一月十三日二十二時〇五分 老衰のため杉並区内の病院で

 谷川俊太郎さんが亡くなられた
 この一文はずいぶんと不思議だ
 生や死を超えた感じのある方だ ....
  桜ばながおおいに散り、
  けものたちの背に 描かれた
  わたしは するどい雨になって
  丸ノ内のビルを降っていく
  記憶の 蓋に添えられた 女の髪の束
  俳句のような
  矩形
  プリヴィズの夕日は歪む
  ためらいがちに衣服をぬぐ
  口づけは言葉の数をこえて重なる
  梱を解く
  潮風に鳴る 缶ごみ
  いろどる 比喩たちの面皰

  梱を解く
  あなたの二枚の手を思う
  ひらたく延ばした糊状の意味

  荷はひろげられたまま
  ....
  通り過ぎて
  あなたの胸に
  影になってから
  はじめて言葉がきらめいた
  海老蔓の秋 はじめから 記憶の形をして
  みぞれ雪が 都市に注いで
  ごくすみやかに歌となる
  その疾さで のどがかわいていく
  煙草を 二口 吸う
  毛皮のコートを着て出かける
  章魚の 小道に
  イデアの 紙吹雪く

  わたしは歯
  あなたは顎
  おおいかぶさる
  ぬるい 数

  おそい 雪
  わたしは峠
  あなたは蹄
  云 ....
  順々に
  液状の名詞が
  格子に垂れてしたたる
  世界のおおよその大きさが
  張られている 複数の 頭蓋
  額縁にぶつかり 欠けてしまった
  顔のような 意味

 ....
 菜の花を食べて
 咳きこんだ


 あの日の熱は
 そのあたりに置いてある
 曇り硝子
 ロー・テーブル


 けれども 一体どこなのだろう
 ぼくはきみを見たことがある
 ....
  東京
  透けた卵管が
  標識のたかさに浮いて
  われらを 孕もうとする

  香港
  銃声のようにみじかく
  中毒のようにながい
  発狂が四角に建つ

   ....
  波間で
  花びらを
  持とうとする
  すごい 忘却の速さで


  水のように
  貴方の部屋にいた
  そのことのすべてを
  分かろうとするけれど
  とても ....
  昼過ぎまで 魂をみていた
  ローソンに車を停めて
  海辺の商店街で

  わたしに友達はもういなかった
  腐った犬などがわたしの腕だった
  わたしの歯が彼らの瞳だった
 ....
  まるい
  光のとかげ
  うしろから頸を締めた
  深い 叫びのつぶて


  むかしのきみの幻に
  許してほしいと上目を遣った
  とっくに許されているくせに
   ....
  銀鮭の
  苔かおる底を、
  小河らの肌がすべる 春という時に
  生きることができてよかった

 
  灰色の水に 憶えている
  歌の果てに燻る 哀しみの螢火
  耀 ....
  方形のネイビー {ルビ夕布=ゆうぬの}に包み
  ガソリン 尽きそうな軽自動車に
  挟まり 岩屑 染みた海岸 転がり
  闇の 端を すこし 三角に 切り取り
  {ルビ憂=う} ....
  ずっと、
  戸は開いていたが
  入ってくる者はない
  おまえの魂が、刻一刻と
  アケビの形に変わっていくのが
  ここから見えているだけだ
  夜以外の時間を少しでも
 ....
  四、
  という数字は
  光線に貼付きやすいのかもしれない
  高架橋のナンバープレート群が何故か
  西洋の婦人画をおもわせる夜、
  わたしの精神はまたひとつ
  緑色の ....
  半刻ほど前から
  組んでいた指をほどいて
  あなたが落とす銀箔に似た笑み
  ガソリンじみた水溜まりにひとつ、
  爛れたショパンがしゅんと跳ねた
  敷布に押しこまれた
  あなたのからだは私が
  思ったよりはるかに固かった
  きたない床をつま先でやりすごす
  垢のういた日々が私たちの居場所だから
  言葉のなかにかくさ ....
  午後六時十五分頃の
  日に焼けた街のことをきみは歌いたかった
  八月……
  その燻すんだ終わりにむけて
  けれどもきみの細い首で
  ネックレスが曲がっている
  飴色 ....
  三点リーダで終わりにしよう
  夕暮れ時、空は実に赤い
  今日は長いようで短かった
  


  誰が誰を裏切ったとか
  誰が誰を茶化したとか
  そんな与太話もやがて ....
   かなしさは夜のなかにある。



   体育の時間、ぼくはだれともペアをつくれ
  ずに、みんなが踊るフォークダンスを眺めて
  いた。それは濁った河を渡る水牛を眺めるの
 ....
  あなたは
  夏のひざしのように
  あらがえないひとだった



  よごれた窓をやぶり
  ヤニくさいカーテンをそっとくぐって
  卓上のパンを照らした
  空になっ ....
  昭和と平成の間にはさまって
  押しつぶされてしまったような工場を
  眺めながら煙草を一本喫う
  犬の散歩をする{ルビ母子=おやこ}は
  怪訝な顔ひとつ見せず通り過ぎる

 ....
  透明な鍵盤に置くかのように
  あなたの指が宙にとどまる
  噎せ返るほどに暑い八月
  そんな形で朝は始まる



  夢のなかでそれは確かに
  風靡く草原を鳴り渡って ....
  天窓からの陽射しでカレンダーは
  上のほうだけが日焼けしてしまった
  うんとこしょ、どっこいしょ
  ヤマメが冷たい川の流れを
  いそいそと掻きわけてゆく
  うんとこしょ ....
{引用=   1.服を着ています
     私は分けています
     したがって私は健康です


   2.一房の葡萄を
     あなたに任せています
     何処に捨てる ....
アラガイsさんの草野春心さんおすすめリスト(38)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
自分(2024.11.29)- 草野春心自由詩324-12-19
資本主義の終わり(2024.10.27)- 草野春心自由詩424-11-21
カメレオンの眼(2024.10.25)- 草野春心自由詩524-11-20
谷川俊太郎さんが亡くなられた(2024.11.19)- 草野春心自由詩6*24-11-19
剰余、散華- 草野春心自由詩4*24-10-30
矩形- 草野春心自由詩2*24-10-30
梱を解く- 草野春心自由詩323-10-23
海老蔓- 草野春心自由詩10*23-10-1
みぞれ雪- 草野春心自由詩322-6-4
章魚- 草野春心自由詩321-9-16
格子- 草野春心自由詩521-9-16
菜の花- 草野春心自由詩620-5-17
都市について- 草野春心自由詩420-2-16
波間へ- 草野春心自由詩1020-1-26
- 草野春心自由詩419-5-11
天国- 草野春心自由詩11*19-5-5
midori- 草野春心自由詩216-3-12
kado- 草野春心自由詩216-2-26
- 草野春心自由詩614-11-18
- 草野春心自由詩314-11-3
爛れたショパン- 草野春心自由詩914-10-29
雑巾- 草野春心自由詩514-10-13
ネックレス- 草野春心自由詩913-9-23
三点リーダで終わりにしよう- 草野春心自由詩313-9-16
かなしさは夜のなかに- 草野春心自由詩20*13-9-13
ひざし- 草野春心自由詩3*13-9-1
工場- 草野春心自由詩10*13-9-1
天籟- 草野春心自由詩7+*13-8-4
ヤマメが冷たい川の流れを- 草野春心自由詩7*13-7-7
詩の磁場(1)- 草野春心自由詩712-6-27

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