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十日前の旅先を思い出そうと 
揺り椅子に腰掛けて  
手にした「大和路」の頁を開く 


一枚の挿絵は 
{ルビ夕暗=ゆうやみ}の時刻 
唐招提寺の円柱に 
そうっと片手をあてる 
 ....
{引用=


一 ゆらゆら、尾ひれ



  いい匂いがしたもので
  いい気になって
  追いかけて

  できないことは
  どこにもない、と
  一目散に
  忘れも ....
闇の中を漕ぎだしていた
引きよせるのは
奈落からのとろりとした旋律


あらがわず
身をゆだねることの心地良さ
どよんとした
澱に堕ちていく意識
にぎった櫂がゆっくり波紋を描く

 ....
天 からおちる

白 い花

惚 けてもいい

指 頬 首筋

お尻 まで濡れ

知る

そこは 小さな駅で
ときどき SLも通る駅で
小さな改札口の前には
電車を待つ人のために
素朴な木のベンチがあります

ベンチと改札口の間は
すぐ近くにある大きな駅に行く人の
通り道に ....
loop

三十回目のバースデーの朝
女は眠りの靄のなかつぶやいた

目をあけカーテンを開ける
飛び込んでくる朝陽
loop

携帯が光っている
Eーmailあり

午後3時の ....
両手をふさぐ
理想を詰めた12ゲージ
脇に収める
希望を込めた9ミリ
身に纏うは
夢を編みこんだジャケット

一方で
シャツの下には
一般を編みこんだケブラー
足首に忍ばせるのは
 ....
僕を裏切った人達が居る
確かに僕は路を間違える事もある
そんな時は手を強く引いて
ほしかった

声をかけても無反応
他人よりも遠い存在で
もう僕は独りであると
わかった

脚に絡み ....
死のうと決めたあの日
僕は函館の深夜
朝を待つ待合室にいた
電車はもうない
待合室には他に何人か雑魚寝していた
この人たちは
そのナップザックに
人に見られたくない
何かをしまっていた ....
 窓から覗くのは人の気配の消えた通り
 街灯が暖かい
 自分の部屋にキャンドルを灯す
 それは神聖な時間
 それは私だけの時間
 誰からも邪魔されず
 深深と心の奥の細道に踏み出して行く
 ....
落ち込んだとき
泣きそうなとき
励ましてくれた あなたが好き

哀しいとき
嬉しいとき
じっと話に耳を傾ける あなたが好き

二人でならこえてゆける
ハードルってあるね
ひとりでは ....
           080114



90万円のクルマ
ホイホイ
希望を乗せて
山のような荷物を載せて
北から来たのだと
大人のような顔つきの
青年達が
温和しく坐ってい ....
うつ、という言葉が好きではありません

その言葉で
ああ、自分は、そううつというヤツなのだ、
と思えば
すこし、居場所をあたえられたような気にもなりますが
なんだか、その言葉ひとつで
自 ....
窓硝子越しに見えますは
黒装束の参列です
列の中央に柩らしき箱
あの中には無数の過去の粒子よ
誰が眠っているのでしょう

わざとらしく顔を伏せ
道をゆっくり歩き
向かう先は大きな墓地で ....
言葉でうまく紡げない夜を
上手に{ルビ梳=と}かしてくれ
海を幽かに織り込んだ
雪にもなれない
中途半端な雨風が
並ばなかったピースを
山のふもとに吹いてゆくから

  こんな夜でも
 ....
朝がくるまでに
悪いことしましょ

朝がくる前に
悪いことしましょ

 願いごと叶えてあげるわ

 悪魔のKissしてあげるわ



朝がくるまでに
悪いことしましょ

 ....
冷凍庫に
たくさんの思い出が保存されている
消費期限が古いものから解凍して
毎晩妻と二人で食べる

これは去年の夏の海ね
妻がうれしそうに話す
去年の梅雨の日のドライブ
まだ残って ....
しんえん と呟きながら
浅瀬をえらんで 辿ってゆく
夢をつたうひんやりとした風が
時折 うなじに触れてゆく
誰かが指をつないでくれているような
そうでないような気がする

深淵
踏み込 ....
{画像=110528133359.jpg}

イデオロギーも歌もみんな遅れてやって来た。
生きて来た時間と意識の時間のずれを想う。

遅れてきた少年かな ?

良くものが見えず、回りを確 ....
柔らかな世界を
忘れたくなったので
アスファルトと
同化する夢を見ました
 
 
たくさんの人に踏みつけられて
なんだか悲しくなったので
あの青い空に
飛んでいってみました
 
 ....
ホームレスが灰皿に
深々と頭を下げている
制服の女性が後ろで睨みつけている
歩道に頬杖を付き
Yシャツに血が滲む
彼女の脚の下
フォーカスをぼかし
そこいら中に降ってくる
皮のアイスピ ....
初詣デート前日

明日 お参りした後
おみくじ ひくことになるだろう

『大吉』か『大凶』じゃないと 中途半端だから
さきに神社に行って『大吉』か『大凶』出るまでひいておこう

『大吉 ....
一月一七日が近づくと 朝靄の中 仮設住宅の立ち
並ぶ 通学路を抜けて 初めて学校へ行った日を思
い出す 眠る街は 雪を待つ すれ違うこともでき
ず 呼び止められて 思わず受け取ってしまった 優
 ....
 雨が降っている
 今は夜中
 過ぎ去る日々は音もなく


 ないものねだりの心に雨音
 一人の夜
 決して寂しくもないけれど
 それもどうしたものなのか
 ただ、日常に麻痺している ....
ポットの注ぎ口から
授乳温度の液体ネコを流出させて
膝の上に置く

ネコは不定形
とろーり とろーり
湯気を立てて 
うたた寝をしている

ネコの脳波はカップの上で波紋を立てて
き ....
とおくがこっそりと
ぼくにメールを送信してきた
とおくに行きます
雨の日は洗濯物を干さないで下さい

とおくの方では
誰かが
階だんを作っていた
インスタントラーメンが出来上がるくらい ....
貴方だけ
心を許すのは
貴方だけ
私を愛する人は

私だけ
攻めるのは
私だけ
守るのは

激しく
強く
速く
優しく

お日様はいつも明るく
接してくれる。
あたた ....
ペンキの剥げた 
「幸福の青いベンチ」に腰かけ 
いつまでも手の届かぬ恋の花や 
身を粉にしても報われぬ仕事の 
やるせなさを思う 

誰の手もふれられない 
こころのうつむきに 
寄 ....
かっちぃが積み木を積んでいます
黄色のしかくいのを二つ並べ
赤い円柱を二個
青い円柱を二個
と 上に上に積み重ねていきます
最後に三角の緑を二個乗せて
かっちぃのお城が完成しま ....
地球が滅びるとき
進化が過ぎて
全種類のいきものが
一斉に空を飛ぶ
大気圏を越えて
少し離れたところから見た地球は
丸裸になっていた







そんな夢を見てしまったら ....
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