5月28日
黒いペンで書かれた
カレンダーのさりげない予定
几帳面な字

その翌日
あなたは
日めくりの裏のような
真っ白な予定の永遠に続く
向こう岸へと
踏み出してしまった

 ....
 
 仮設足場組立工事が始まると 
 いつの間にか ダークグレーな防音シートは 
 しのつく雨に暗く、まるで
 封建制度の時代にたてられた牢獄の様に
 そびえていた

 からだのモヨウが ....
「恐れ入りました。祭祀クーラスには、帰国後に、
 あなた様のご意向をお聞かせしましょう。しかし、本当に……
 イリアス様の生殺与奪を我々に任せるというのですか?」
「当然だ。王室には王室の流儀と ....
「奴隷も捕虜も?」フランキスは息を飲んだ。
現状、クールラントがアースランテに負けないとは思っていた。
第一次ライランテ戦争の後、アースランテはその国土を、
三分の一ほどにまで減らしていたのであ ....
「グーリガン・ハルガンテは、この度のファシブルとの
 戦争に参加しなかったことにより、五年間の幽閉を命じる。
 イリアス・ガ・ラ・ハルデンも、その頃には目が覚めていることだろう。
 彼女は、グー ....
「それでこそ、アースランテの女だ。
 アースランテには、臆病者はいらない。男でも女でもだ」
「しかし、妙なことがあります。イリアス様は、
 自分が王位継承者だとは知らない模様でした」

「彼 ....
「しかし、アイソニアの騎士、グーリガンが諾とは言いますまい。
 彼が敵となることは、貴国にとっても大いなる禍をもたらすと存じます」
ここまでは、祭祀クーラスの思った通りであった。
しかし、ハッジ ....
 
 熱帯植物のあでやかな緑生い茂る中に
 消えていった友人の後ろ姿
 
 呼吸の度 緑の香が私の心染めてゆく

 樹々の名前など知らない
 私の身体中が
 心中が
 熱帯樹のしめり ....
「祭祀クーラスはつくづく間抜けだな。近いうちに命を落とすかもしれんぞ」
「それが、デーモンであるラーディガンと契約した国家ですか?」
「デーモン? 所詮は我々人間とは違う種族。
 契約が身に合う ....
「ところで、お前は馬車何頭で来た?」
「はい。三頭でございます」
「汝、イリアス、そして護衛の者か。だが、
 我が軍はすでにラゴスへと攻め入る準備が出来ている」

ハッジズは続ける。「汝らが ....
「あなたは一体……ラーディガンとどんな盟約を交わしたのですか?」
フランキスはその顔をこわばらせながらハッジズに尋ねた。
「ラーディガンと? それは些細なことだ。この世の人間の、
 半数を葬る。 ....
ゆとりがある
こんなに静かで深くてよいのか

時は深く根を下ろし
かぜはなく 電気は通電している

精神の砂時計は脈々と時のなかに砂を落とし

溢れる歓喜の声は静かに躰中をかけ揺ら ....
日差しは木漏れ日のなかに差し、青葉は道を確かめてゆくように私の歩みの中に風と戯れていた。
新しい日々が、五月の若い初夏に緑は深くまた私を誘っている。

私は永遠のなかの刹那になかに生きている。
 ....
ハッジズのこの提案は、ラゴスと争うにあたっては願ってもないものだった。
しかし、ハッジズの野望はそこにはない。いずれは、
ライランテ大陸のすべてをアースランテの手中に治めるつもりだった。
だから ....
「この戦争を止める、とは申しておりません。
 ただ、我が国は貴国との和睦を願っております」
「人質を取っておいて、よく言う。しかし、
 イリアスは人質の用をなさぬぞ」と、ハッジズの声。

「 ....
フランキスはアースランテに王である、ハッジズとの面会を取り付けた。
アースランテ軍は今、全軍がラゴスへと向かおうとしている。
そんな中、ハッジズはクールラントからの使者を疎ましく思っていた。
( ....
陽も出でず
閉じ込められて
雨は降る

遠くに行った隣人の
電話の声は
やわらかい

雨は人を遠ざけて
馴染みの犬も
来やしない

痛みが取れた右腕の
指動かして
詩が書け ....
アルコール三パーセントの発泡酒

目に沁むや真白なる百合庭の隅

そこはかと匂へる先に百合の群
 花の時がすんで
 雨の時が来
 山の青く美しい時がすんで
 薄墨にけむる時が来

 それでも あなたがそばにいてくれると
 私の心は
 ブラインドカーテンから差し込む朝の光に
 床を ....
そのころ、イリアス・ナディを乗せた馬車は、
アースランテの首都ハンザガルテに迫ろうとしていた。
フランキス・ユーランディアが同道している。
(なんとしてでもアースランテとの和睦を取り付けねば…… ....
ラゴスの議事会議長、ケンパ・ハルラージャは言った。
「国家の威信と国民の命、どちらが大切ですかな?」
アウゼルは一瞬言葉につまった。
「いずれもが、国家にとっては大事である」

アースランテ ....
かくして、アースランテ軍の剣先はすべてラゴスへと向けられることになった。
この二年の間に復興を遂げたアースランテを、
アウゼル・ローガンテも侮ってはいなかった。
アースランテは民兵の質も高い。
 ....
I あがないの子羊



I・I 刺すいばら、苦しめる棘


その男は磔になっていた。
目は閉じていたが、息はまだあった。
皹割れた唇が微かに動いていた。
陽に灼けた身体をさらに焼 ....
 僕の隣に立つ女は長身でショートカット
 切れ長の吊り目が奥二重
 パーマのかかった短いまつ毛
 手に布製のブックカバーを持っている

 ああ、どうして彼女は
 こんな下地の色に淡雪の様な ....
 灰色の空に
 厳しい線を画いている古城の天守
 何百年の年を支えてきた様に
 あなたは私へ
 愛を 支えようとしてくれている

 それなのに
 私は人の心を
 見つめられ
 ない
 ....
こうしてファシの街は、アースランテの手中に落ちた。
しかし、アースランテは傀儡政権を置くことはなかった。
あくまでも、ハッジズはファシブルを併呑しようと考えたのである。
当然、ミーガンテもその牢 ....
悪政はつづいている

自分は死刑制度は維持するべきだとおもう

国家が戦争を廃止しないかぎりは

国民であることの怒りとして

悪政を行った者に

不正を行った者に

 ....
激戦は一週間続いた。しかし、ラゴスからの援軍はなかった。
アースランテの主力部隊は、ファシの宮殿に押し寄せる。
クレール・ア・ラ・ガランデは叫ぶ、「マリアノスはどこだ?」
だが、宮殿内にはすでに ....
今、ラゴスの首都ラディアに向かって、
ファシブルの早馬が駆け付けようとしていた。
アースランテの軍勢がファシの城壁内に侵入してから、
ちょうど二日目のことである。

しかし、ラゴスは未だに静 ....
ハッジズは一向に進まない攻撃に歯噛みをしていた。
(ファシブルの魔導士たちがこれほどの力を有しているとは……)
「前衛部隊はどうした? 前衛には剣士たちが当たっているのであろう?」
ハッジズは息 ....
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