前方見据える少年の
斜め後ろに 立つ私
光 放った彼の眼鏡、
捉えた朝の密度濃く
信号機は青になる
優しさをちょっとだけでも懐へいれてカイロの代わりにしてる
エベレスト見上げる少女みたいだな澄み切っている瞳忘れぬ
街人よきたる極寒言葉すら発した途端凍るだろうか
雪が降る街でデー ....
父の祈り母に添いたる秋の夜
秋を見て父を見てただ心静けき
送りまぜ今日はかくやと嘆きおり
父の背に後の月を見し夕間暮れ
十六夜の月は空にはとどまらず
この雨を人にそむいてわれゆかむ
茫々とときに朗々とひかりをひとりゆかむ
雨に海に身をさらす赦されない身を
海よ空よゆるせよわがこころ人に赦されず
ふたり夜の海見るたましひと ....
君と過ごす時間
安心出来る空間になる
言いたいことを言えて
喧嘩もするけれど
時間が経てば落ち着く
大きな喧嘩はない
些細なことばかり
ちょっとした口喧嘩
基本的な考え方は ....
海をみてひとりと思うわが性は
哀しみとして海にほほえみつつ泣く
海の面にうつりこむかみなし児のわれ
わが性は孤独でありしまた海へいく
松林を海へ突っ切るひとり
カモメはや ....
不器用に生きている君の笑顔が好きでたま
らない僕は、なおのこと不器用なんだろう。
そんな日々で幸せを数えてゆきたい。
さあおいで
僕はいつでも心のこのへんのとこ
開けて ....
数珠玉を見ずとも秋は深行けり
紅葉葉の落ちるはいずこ思い出か
栗を刈る季節をひとつ通り過ぎ
三日月にぶら下がるのはネックレス
眠りのなか秋の色にわたしも染む
あまりにも純粋で
故に{ルビ果敢=はか}なく捉えがたく
けれど
強く深く
轟きでもあり
静寂でもあり
満ちあふれ
けれど虚ろで
鋭く
けれどやわらかく
かぎりなく甘 ....
海哀しこの身たよりに恋をおもう
あめつちもなしこの身がたより
海、山哀しここにぐっとこらえる
恋のひとみの焦点のうるむ、山
風わたるくさはらのくさが避けて
はつなつの青空 ....
私はうたおう哀しみどものわけ捜す
酒にもひとへもいかぬ哀しみをこらえる
おとなりのピアノのおとに酔ってしまうよ
燃える若さもなし智慧を武器にいく
艶やかな妻の髪と鬱屈しているわ ....
落葉の 紅葉一枚 二枚三枚 探している秋
白樺の 葉の数だけが なんとなく いつか見上げた 秋の暮れと思う
何も考えず ただ水槽の 魚を見 あさにひるに かんがえないとき
....
薄ら陽を
追いつつ鉢を離れ得ず
小さき金魚の褪せし思いして
胸の底 暗く重く
ちろちろ火の燃え続ける
雁の使はるか果てまで独り言ちて
蓑虫のなつかしさかな手を伸べて
愛らしや鶏頭の声千の風
渡り鳥今はまだ季節に遠く
悲しみの扉を開けて秋静か
玩具箱固い扉に秋深く
イノチガ フト
オモタクテ
窓ヲ アケルト
ヒトツ フタツ ミッツ
カゾエテミタラ
ココロガ カルクナッタ
アカイノ
ホントニ アカイノ
イマニ コガラシガ ....
窓を 開けると
取り残された柿の実が赤かった
よく解った 空の高さ
窓を閉めた私は
夕飯のお味噌汁の大根きざむ
平成も残り少なくなってきたあまり実感なく通り過ぎる
通学路変える変えない決まらない団地が出来て交通量増え
田畑消え家建ち並び様変わり自然の声はボリューム下がる
県民の森は夏場は濃い緑 ....
({ルビ天=てん}{ルビ使=し}の、{ルビ骨=ほね}の、{ルビ化=か}{ルビ石=せき}、じつと、{ルビ坑道=かうだう}の、{ルビ天盤=てんばん}を、{ルビ見下=みお}ろして、ゐた、……)
({ル ....
船場汁っちゅうのは
塩鯖のアラを使い、
その塩気と、
だしだけで食べるもんや
汁の具は鰭と目玉、
鯖の骨やらのアラのほかに
大根の薄切りをつかう
そんだけでもう十分やろ
板張り ....
安全な
ところから
何を言う
わかりようもない
戦地の気持ち
はたして
ここは
安全か
裏路地に
死屍累々
熊も
わかってる
人が弱ってること
プーの面影も
テディ ....
貴方の低い声に
瞬間 止まってしまう私の心
ポツリ と
残った高い音
ヒマラヤ杉が激しくゆらいで
薄暗い講堂の辺りは
まるで雨と風しか無く
あの時
何故 貴方に手 ....
青き時宵闇に秋葉溶け込んで
身に染むや孤独の病時経ちて
泣きたくて秋の夜には涙の雨
秋の朝しらじらと明け身震いし
柿の実や生らずになってもう幾年
葡萄の実母の位牌にささげ ....
それほど
私の愛は深くは無いので
終わらせてやることは出来ません。
ただ、魂のそばに在るだけ
それしか出来ません。
ああ何故だ
何故
と今は
のっぴきならないことを
問うのは止め ....
赤
夕空と海の混じり合うそのすきまに
すべり込むうみどりの影のさみしさ
赤い包みのキャンディーをポケットから取り出すと
口に入れる間もなく
風景に溶ける
橙
”ちかみちは ....
ふと迷いふと振り返り秋の宵
秋高し目の奥にあるおとぎの国
歳時記をめくって今日も秋は澄む
菊の花人それぞれに花それぞれ
思い出を遠くに手繰る秋の初風
ましら酒自然の奥深さ ....
見知らぬ誰かも愛おしい
くるってる
くるったままがいい
知らないお爺さん
今日も虚言癖愛おしい
くるってる
のは私
楽しそうだから
すごいすごいと
話に入っていった
私は明日から大 ....
揚げ物にしょうゆをかけたら
変人扱いされて僕は困った
魚貝類のフライなら解るけど
コロッケとかトンカツにしょうゆは
理解できないと言われたあげく
僕がしょうゆ顔だから許すとなったが
そ ....
なにになるのかわからぬまま
船を漕ぎださなければならない
河岸を変え
肉に刃を入れ
針を刺し
名をあらため
これまでの日誌は燃やした
空は暗く北極星もない
羅針盤はくるくる回り ....
ひよどりの姿を見ては振り向いて
痛みを越えセイタカアワダチソウを見る
眠れぬ夜アメリーの乳房と人は言い
あとは打つだけの稲田で緘黙し
秋の田や眠れぬ夜に沈みゆく
流れ星星 ....
最初に好きな色を決める
ほんとはどれでもいいんだけれど
聞かれたら困るから決める
駅までの道のりがいつもより遠くて
それでもいつもより頼もしく見えるから
挨拶ちゃんと言えるかな
ネクタ ....
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